第24.5話『11日目②』初戦闘!



サエデが仲間になる、ちょっと前。

私とアルは、ヒイラギ村に向かって、ガタゴトと、猛スピードで馬車を引いていた。


「リアリ〜〜〜!!!ちょっと止まって〜〜〜!!!」


アルの悲痛な叫びに、急ブレーキをかける。

見ると、アルの顔は真っ青だ。


「………大丈夫?」


「………大丈夫……でも、ちょっと休ませて………」


フラフラとした足取りで、馬車を降りるアル。


「ちょっとそこまで散歩してくる………」


「わかった。三十分後には出発しないと、多分ちょっと間に合わないかも」


「わかった……、善処する………」


よろよろと、おぼつかない様子で歩いていくアル。

………正直言ってかなり不安だが、待っていようと思う。




馬車のちょうどいいでっぱりに腰掛けて、ただひたすらに時間が経つのを待つ。

暇を感じるこの瞬間が、ただただ幸せ………。

ただっぴろい青空を眺めながら、ほけーっとしていると、

索敵に反応があった。

これは………魔物だ!


気持ちを切り替えて、馬車の中に放り込んでいた両手剣を手に取る。

『想像』を手に入れて、初めての戦闘だ!

非常にワクワクする。


魔物が来る前に、十分に体をほぐしておく。



ちょうど準備運動が終わったところで、魔物が到着した。

魔物。所謂モンスターとかいう奴。今回はスライムが五匹のようだ。



本当によく聞く魔物ナンバーワン。

倒しやすさもナンバーワン。


………若干がっかりしてしまった。

もう少し強ければよかったのになぁ。


はぁっと大きなため息をつき、左手に闇の球を出現させる。

闇のイメージは、全てを消し去る物。

その見るからに強力な効果のせいか、消費する魔力も少し多めだ。


そのまま、闇の球を、スライムへとぶつける。

シュゥゥゥンという収束音とともに、闇の球は消え、後にはえぐれた地面が残る。


「………戻ろうか」


スタスタと、馬車まで戻る。


味気のない初戦闘だった………。




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