第18話『8日目②』賢すぎると思う



「で?1ヶ月も休みの理由って何でしたの?」


そのまま私はシュテの家の庭へと案内され、庭のテーブルに二人で座っている。


「あれ?言ってなかったっけ?迷子だよー。1ヶ月間ずっと道に迷ってたの」


「確かにリアの自由奔放さなら、それもありえるわ。

………でも、今回は違うでしょう?顔にそう書いてあるわ」


じっと顔を見ながら返される。

それでもなんとか言葉を返す。


「いや、今回は道に迷ったんだって、聞いて………」


私が適当な事をでっちあげようとすると、シュテは私の口に手をかざしてきた。


「言いたくない、というか言えないのでしたら、私が推理して差し上げてよ。

そうね…………先日、アル王太子殿下がご帰宅なさった事。

それから、どうやらそのアル王太子殿下は、とあるダンジョンを攻略なさった事。

それに関しては、情報が全くない事。

………リアが1ヶ月間、行方知れずだった事。

もう答えは明確に出ているわね?アル王太子殿下の婚約者様?」


スラスラと喋っていくシュテに目を見張る。

シュテには隠すの、諦めようかな………。


「………ねぇ。シュテって、神様って信じてたっけ?」


「………何の話?」


「いいから。お願い、答えて欲しい」


「………一応教会に通ってはいるけれど、此処だけの話、信じているわけではないわ。

あなたが言いたい事って、教会の人達みたいに信仰しているかどうかって事よね?」


「そう!よく分かってるじゃん!

………じゃあ、大丈夫そうだから言うよ。

いや、それよりかは見せた方が早いか」


「何を言ってっ!?」


私が右手にテレビ魔法でテレビを出現させ、

左手に火の矢を出現させると、シュテは無言になった。


「………多分シュテの考えてる通り。

私はアルととあるダンジョンを攻略した。

これが、ダンジョン攻略の恩恵ってわけですよ」


「その不思議な魔法と教会と一体どんな関係が?」


「………これだけじゃないんだ。

私は、魔法を作ることができる。

………これで伝わるかな?」


「っ!?それはつまり、神の力を借りずとも、魔法を使えると?」


「………そういう事。

お願いだから、他の人には内緒でねっ!」


私はテヘペロをして、眼前にピースサインを構える。


「………本人が、危機感が薄すぎるのが、不安ですけど………

分かりましたわ。この事は内緒にしておきましょう」


「ありがとう。シュテ!」


「親友ですもの。当然ですわ!」


非常に嬉しい事を言ってくれたシュテ。

………友達でよかった。

そう思って涙ぐんでいると。


「………それでは真実を聞かせて貰った所で、聞かせて貰いたい話がありますわ!」


「へ?何?」


「ダンジョンでおよそ1ヶ月間。その間に、今まで何も無かった二人の仲は、

どれくらい進展しましたの?」


シュテはずいっとテーブルから身を乗り出して聞いてくる。


「え、ええっ!?私とアルの仲!?ないないないっ!一切進展なしだよっ!」


「そんな訳ありませんわっ!1ヶ月間ずっと二人きり。

これは絶対に何かありましたわ!

ただでさえ、幼馴染という関係なのに………。

それを聞くまで、今日は返しませんわ!!」


「そ、そんな………」


この日、私はダンジョンの中での事を全て返すまで、本当に家に返してもらえなかった…。




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