第13話『5日目②』うきうき説明会

「じゃあ、説明をするぞ。

まぁでも、違いは簡単だ。

物を作るか、魔法を作るかの違いでしかない」


「それって、どういうこと?」


私はグリデウスさんに聞く。


「つまりはこういうことだ」


グリデウスさんは、左手に炎を出現させ、それで私たちの周りを円状に燃やす。


「こっちが『想像』ファイヤーサークルってところで」


グリデウスさんは右手にスイッチと穴の空いた四角い箱を出現させ、

スイッチを押し、光魔法のレーザービームを撃つ。


「こっちが『創造』レーザーボックスってところかな」


私たちはぽかんとする。


「それって、凄いことでは………?」


「ああ、嬢ちゃんの言う通り、凄いことだ。

よし!取り敢えず、二つの力の性質は分かったな。

じゃあ、特訓。と言いたいところだが………」


グリデウスさんは私の方をじっと見る。


「嬢ちゃん、力を受け取る時、頭痛がしたって言っただろう。

多分嬢ちゃんが『想像』を継承してる。

………だから、嬢ちゃんは、一人で特訓してくれないか?」


「へ?」


突然の一言に固まる私。


「『想像』は、教えてわかるもんじゃねぇ。

そいつが持ってる『想像力』が大事なんだよ。

だから、俺が教えてやるこたぁできねえ。

すまんな!」


グリデウスさんが、私に指を指して言ってくる。

………じゃあまぁ、仕方ないか!


「分かりました!」


「おう。俺はこいつの訓練をするから、嬢ちゃんは上でやってくれ。

屋敷には風呂もあるし、食べ物もある。

………まぁ、不自由はしないはずだ」


「え、グリデウス様、俺のご飯とお風呂は?」


「男なら、1週間ぐらい大丈夫だろ?」


あ、アル青い顔で顔をブンブン横に振っている。

私は、良い笑顔で階段を登っていく。


「じゃあ、1週間後なーー!」


グリデウスさんが大声で叫んでいる。


「分かりましたーーー!」


私もそれに返す。


さてさて、アルはどんな1週間になるんだろう?



そうして、屋敷のある階へ戻ってきた私。

是非とも、チャレンジしたい魔法は山のようにあるのだ。


まずは食事。

屋敷の中を調べてみると、山のように肉や野菜があった。

ダンジョンの中なのに不思議ーー。


当然、貴族だから料理はできない!

………となりそうだが、生憎私は別世界の記憶持ち。

肉や魚の調理の仕方なんでお手の物である。


そうして、美味しいご飯をとった。


次にお風呂。

………正直地獄だった。

毎日水浴びはするようにしていた私にとって、

およそ二十日間もの間体を綺麗にできなかったのはキツかった。

ずっと隣に男がいるし。


今はもう自由!

お風呂には洗剤は流石になかったが、それでもあっつ〜い風呂に体を預けるのは、

めっちゃ気持ちがいい。


「ふい〜〜っ」


また何か言われそうな声を出しながら、湯船に浸かる。


「あ゛〜〜っもうさいっこう!」


ここは、かつての気質が受け継がれたようで、思わず声に出してしまう。

そして、さっぱりした後は!


「寝るか〜〜〜」


そのままベッドに入る私。


今日ぐらいおやすみおやすみ〜〜


修行は明日から………ZZZ


そのまま寝入ってしまい、次の日の昼に起きて、ようやく修行を開始した。


そうして、まぁ、1週間が経過したのである。

………正直言って、1週間ではなかった。


まぁ、時間にして1週間が経過したのである。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る