第2話『1日目』私とあなたのビギニング
神歴12年、占の月、3日。
私こと、リアリ=ニア=レイトン誕生。
黒髪黒目で、前世と同じ日本人のような見た目に生まれた私。
所謂、「異世界転生者」という分類に入る私は、幼少期から自分を磨くことに熱心だった。
こうでもしないと、横からトップを掻っ攫われるのは目に見えている。
そう「前世の記憶」が言っているのだ。
前世の私は、中学校2年と言われる年まで学年一位というものを他の人と取り合っていたそうだ。
しかし、中学3年。今まで誰も気にしていなかった変人に首位を独占された。
その後、中高一貫という学校であったため、高校でもずっとその人が一位だったそうだ。
いくら努力しても一位は叶わなかった。
世の中には、そんな化け物がいる事を知っている。
だが、もっと若い頃から努力をしていれば!
そういうわけで。
魔法があることを知った私は、生まれてからずっとずっと。
魔力を鍛え続けている。
魔力を増やし、そうして、精密に扱えるように鍛え。
気づけば、八歳で、世の中にいる生物の中でも、有数の魔力の持ち主になっていましよ。
………まだ八歳なんだけど……、と八歳の頃、苦笑いしたのは覚えている。
そうして、魔力を鍛えたら、次は、魔法をマスターしようと努力した。
家中の本を読みあさり、色々と使ってみたり。
魔力って、体内器官の一つらしい。
体内で魔力は作られるって、その事実にビックリ。
だって、前世じゃそんなもの無かったんだもん。
とは言っても、あるものは仕方が無い。
それにしても驚きなのが、「属性」の説明。
まぁ、RPGとかでよくあるよね。
でも、きちんと理由がついていた。
その理由って言うのが、なんか、神様が付けた制限と言われている。
それを説明するのが、「ステータス画面」ですよ。
HPから自分の使える魔法の種類、スリーサイズまで完全網羅。
どうやら、情報を表示させる魔法で見えるらしいが、
人間には使えなくて、教会でしかしてもらえない。
そこで見せてもらった情報が、びっくり仰天の内容だった。
(さすがに本人しか見れない)
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リアリ=ニア=レイトン 十歳
(ステータス省略)
属性:光を除く全属性
スキル:未登録
説明:レイトン公爵家の三女。
(その他省略)
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ステータスは、色々あるので省略させてもらいました。
「その他」もです!乙女の体重は秘密なのです。
「スキル」と「説明」は自分で設定する。
見せてもいい相手には、名前と属性とスキルと説明のみが表示される。
大きな点はそれぐらいです。
恐ろしきは属性の欄である。
普通、魔法の属性は一つあったら普通の魔道士、二つで結構凄腕、四つ以上は賢者とか。
ちなみにこの結果をお父様に伝えたら、
「おぉ!属性を持っていたのか!良かったな!」
と私を抱きしめ、そして胴上げした。
お父様が属性を持たず、無属性なのは知っているけど、
問題なのはそこじゃ無いと思う。
お母様は
「まぁ、すごいわねぇ。全部ってことは火も使えるのよねぇ。私と一緒よぉ」
と持ち前の天然を遺憾なく発揮した。
お父様と一緒で何処かずれている。
うちの弟に伝えたら、
「バブー」
と、それを僕に教えてどうする、という呆れた目で返された。
………まだ赤子なのに、私よりも歳がいってる反応をする。
隣に住んでいる農家のおじさんに言ったら、
「どっひぇ!そいつはすごいなぁ」
と驚いていた。
………これが普通の反応だと思う私は、家族とは違って普通なんだと思いたい。
魔法とは、単純なもので、「決まった文句を唱える」か「魔法陣に魔力を流す」
かで発動できる。要は、「この魔法を使います!」と強く主張するのが大事らしい。
それが神様に届いて、魔法が使えるのだとか。
「神様に祈る」とか腑に落ちない点がいくつかある元「神様には祈らない」がモットーの人間であるが、そこを気にしなくても魔法は使えるので、忘れることにします。
でも、酷いのが、魔法の数!
魔法って神様に認められないと使えないらしくて、今現在、魔法の数は数十個しかない。
だいたい全ての属性に2つずつしか魔法が存在しない計算だ。
魔法の世界なのに、そりゃ無いだろって思った。
だから私にとって、一番の学びになったのが、魔力を纏うこと。
これは、魔法ではなく、単純に体の硬度を上げることができる。
………ただ、武器とかに纏うのは無理らしい。
魔力を纏うって、ただ、体から出ていく魔力を留めて置くだけだから。
私は、自分の魔力量を活かして、大量に放出し、大量に留めておく術を身につけた。
………一応、その道の凄い人では、ドラゴン並みに硬くなるという。
私は、試していないので、よくわかんない。
そういえば、幼馴染の紹介をしていなかった。
私は公爵家な訳で、当然、婚約者もいる。
それが、アル=スラー=ルールド王子というわけ。
アルとは、小さい頃から仲良くしていた。
それこそ、私が魔法の修行の最中、まさにガキ大将になっていたとしても、
冷静なツッコミ役として、頑張って貰っていました。
アルは正に魔法の天才。私が10努力した所を易々と乗り越えてくる。
いつの間にか、私に並ぶ魔力を備えてしまっていた。
………これだから天才は………
でもやっぱり、時々カッコいいところを見せてくれるわけで。
前世の記憶と言っても、それが精神年齢に大きく影響を与えたわけではなくて。
いつのまにか、アルの事を目で追いかけてしまうようになっていた。
でも、それは十歳の事。
取り敢えず、公爵家の一員として初めてのパーティーに参加した時の事。
私は、まぁ、初めてのパーティーという事で、かなり緊張していた。
いざという時はアル、助けてよ〜!という気持ちもありました。
でも、そのパーティーの最中。
なんと、アルが倒れてしまった。
会場の人々は大慌て。
何せ、この国の王位継承権第一位の人が突然倒れてしまったわけだから。
当然、王位継承権の争いかと思う人もいる。
数日後、アルが目覚めたそうなんだけど………
その日から、アルは変わってしまった。
部屋に引き篭もってしまったのだ。
当然、婚約者である私は、アルに会いにいく。
でも、それでも彼は部屋の扉を開けてはくれない。
「出て行ってくれ!そして二度と来ないでくれ!」の一点張り。
私は数日間ずっと会いに行った。
しかし、彼が出てくる事は、ついになかった。
それどころか、彼は近づく者に嫌がらせを始めたという。
光魔法で、扉に虫の幻覚を見せたり。
または水の魔法で他人を濡らしたり。
使用人いびりも始まったという噂もあった。
うちの父は、ついに私がアルの元へお見舞いにいくのも禁止してしまった。
父曰く、「うちの娘が嫌がらせを受けたら……」との事らしい。
突然、アルが変貌した理由も知りたかったが、全く動く事が出来なかった。
仕方がないので、自分の体を鍛えつつ、時期を待つことにした。
そうして、5年が経った秋の事であった。
物語が動き出したのは………
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