(3)

 今ならしっかりと認識出来る。目の前に転がっているのは間違いなく、ただの女学生の死体だった。死体は苦悶の表情を浮かべたまま静止しており、その体も数秒としないうちに足の先から消え始めた。


「鹿島、大丈夫か!」


 東雲の死体、正確には死体があった場所を避けながら青貝が駆け寄る。


「怪我は無いか?」


「あ、ああ……」


「アンデスの方は?」


 鹿島は意識を集中させ、アンデスのセルフメンタルチェックを行う。


「……大丈夫だ、機能を取り戻してる」


「そうか、よかった。……それで」


 青貝は床を見た。先ほどまで残っていた東雲の痕跡は全て無くなっている。肉片はおろか、血の一滴も残っていない。


「何だよこれ……」


 腰を抜かしかけている青貝が尋ねるが、答えられる筈もない。そんな二人を見て、少女はふんと鼻を鳴らした。


「ただの蒸死じょうしよ。見るのは初めて?」


「蒸死だと?」


「人から羽化した存在が死ねば肉体も失い、死体にすら戻れない。実際は蒸発したのか急激に風化したのか、彼らの世界に連れて行かれたのかは私にも分からないけど」


「彼ら?」


「天人よ。〝神様〟って言った方が分かりやすいかしら?」


 天人の単語に、二人は嫌でも体が強張るのが分かった。頭では既に可能性を感じ取っていながら、理性がそれを拒んでいる。


「馬鹿言え。あいつらはもういない筈だ。先の戦争で敗走し、天穴の中に消えちまったじゃないか」


「へえ。決まった姿形も持たない霞みたいな存在なのに、どうして居なくなったと言えるの?」


「だって世界中のお偉いさんがそう言ってるし、それらしい兆候はどこにも現れていない。今じゃその為の観測所がコンビニ並みに設置してあるんだ。万に一つもあるものか」


 冷静ながらも青貝の言葉には怒気が含まれていた。彼の父は天人の攻撃によって死亡した初めての人類だから、怒りも人一倍強いのだろう。


「貴方がそう思うなら、そうしておけばいい。その方が幸せだもの」


「なんだと?」


 鋭い目つきをする青貝を見ても、少女は態度を変えなかった。怒りを知らない彼女からすれば、友の言葉はただの思考放棄でしかないのかもしれない。ただ否定したいがために割り込んできた青貝を、快く思っていないのは間違いない。


 天人から連想される様々は、鹿島の胸に鈍い痛みを広げた。空に七次元も上等な穴を開け、夥しい数の人々を死に追いやり、常識的だった人類史をファンタジーに一変させてしまった者達。彼らの存在は人類にとって忘れたい過去であり、機械で誤魔化してでも消したい存在だ。


 肩を上下させ始めた青貝を宥めると、鹿島は少女と向き合った。少女は二人から視線を外しながら、手を服の端で拭っている。


「訊きたいんだが、東雲さん、さっきの彼女はもういないのか?」


「ここにはいない。さっきも言ったように溶けたのか消えたのかまでは分からないけど、もう私達の前には現れないでしょう。香典代も要らないわね」


「ゼミが始まる前、俺達は別の場所で東雲さんが死んでいるのを見た。だがさっきの彼女は明らかに、意志を持って動いていた。死んだ筈の人間が元気になって俺達を襲ってきたのはどういう訳だ?」


「それが羽化したって事。繭になる、いわゆる自然縊死をした人間は普通なら蘇ったりはしないけど、天人の影響を受けるとあんな風に羽を生やして蘇り、悪さをするのよ」


「悪さ?」


「人を殺して仲間を増やすの。多くの人を絶望させて安らかな繭にし、一人でも多くの天使を生み出す。きっとここには誰かを羽化させようとしてやって来たのでしょう」


 少女の言葉に、鹿島は冷や水を浴びた思いだった。それが事実ならもし彼女が自分を助けるのが遅れていたら、自分もまた体内から飛び出た糸でグルグル巻きにされて死んでいたかもしれないのだ。


 話を聞いた青貝は、生意気そうにふんっと笑う。


「まるで大昔のゾンビ映画じゃないか。天使ってのは感染病か何かなのか?」


「茶化すなアホガイ。それで、誰かって誰だ?」


 彼女の視線の先には、変わり果てた水谷教授の姿があった。荒縄でグルグル巻きになり、米俵のようになって死んでいる。その姿はどこか仰々しく、霊験を謳う神社の霊石か何かのように見えた。人としての形すら留めておらず、微かにはみ出る頭髪や袖の色だけが人間である事を思い知らせた。


 少女は先ほどと違い、憐れんだ目でその米俵を見た。


「水谷教授は旧人類、体内にアンデスを持たない人だった。精神汚染の防護も無く、嘘偽りない感受性を持っていた彼は誰よりも死に近かった。それを羽化した東雲さんは感知したか本能的に察知したかで、狙いを付けたのでしょう」


「ここにいる誰よりも絶望させやすいから、先生が狙われたのか」


 恩師といえども、師弟愛とは無縁の関係だった。東雲さんもまた同様で、飲みや打ち上げに誘われた事も無ければ、雑談だってした覚えも無い。だからといってそれは不思議な程に、彼らの死に悲しまない理由にはならない。


 気が付くと、青貝は悔しそうに顔を歪めていた。彼は鹿島の横を通り過ぎると、東雲さんがいた場所に向かって手を合わせた。死体すら無いこの状況で死者を哀れみ慈しむなど、常人なら古臭い人間だと笑うだろう。田舎者だの懐古主義者だのとドン引きされ、人と距離を置かれる行為だ。


 だが気付けば鹿島もまた、彼の横で手を合わせていた。掌が触れ合った瞬間、懐かしい思いが蘇る。


 これが〝死〟なのだ。死は突然どこからともなく現れ、人を物言わぬ肉塊へと変えてしまう。関わりを僅かでも持ったが最後、死は人の心を豹変させるのだ。


 様子を見ていた少女は、不思議そうな目で鹿島らを見た。


「貴方達、もしかして旧人類?」


「いや違う。俺は四期の量産型で、コイツは改三期型だ」


「改三期ってことは、役人一家? 嘘でしょ」


「おい、その言い草は……」


 鹿島の言葉に、青貝が口を挟む。


「それよりも、さっきの君のアレは何だ? 東雲さんの変化もおかしいが、君も十分に常識外だ。あの時暴れ回る彼女を止めたのは、どう見たって君のその髪の毛だった。東雲さんが変化した怪物だって言うなら、君だってそうじゃないのか?」


 包み隠さぬ青貝の言葉に、体を強張らせる。確かに今は平然と話してはいるが、どちらも体から歪な糸状のモノを生やすのに違いは無い。さっきの天使との差は正気の有無でしかない。


 少女は半ばうんざりしたような目で鹿島らを見て口を開きかけたが、それも一瞬だった。


 ギシギシと、何かが軋む音がした。音の方を振り返ると、水谷教授の繭が胎動していた。


「まさか、こんな早くに──」


 彼女の声が終わらぬうちに水谷教授の繭は膨張し、破裂した。ちぎれた荒縄が紙吹雪のように周囲に降り注ぎ、中からゆっくりと水谷教授が立ち上がった。


 繭から現れた教授は生気を取り戻し、背には東雲さんと同じく羽が生えていた。巻かれていた荒縄と同じ麻色をした羽が、全身と同じくらいの大きさに広げていた。


「お、おい。教授まで変身したぞ!」


 慌てる二人とは裏腹に、少女はどこまでも冷静でいる。


「羽化の早さ、羽の大きさ……。先生のお気持ち、お察しします」


 彼女は葬式の参列で遺族にするように、うやうやしく頭を下げた。所作の一つ一つに対し、真摯な哀れみが感じ取れる。


 だが青貝と違って、彼女は手を合わせようとはしなかった。それは好感や倫理や価値観に関係した結果ではなく、彼女が人を区別する明確な線引きのように見えた。


 下げた頭がゆっくりと戻るまでの間に、教授天使の荒々しい縄羽は少女の首元へと伸びた。東雲天使の薄羽とは違う強度を持った羽は貫く事をせず、物理的な暴力を以って少女の頭をもぎ取ろうとしていた。


 だが少女の頭から蛇のような黒髪が動き出すと、縄羽は教授の体ごと縛りあげられた。


「一曲〝手遊び〟」


 黒髪は四方へと分散し、蛇のように彼の四肢と羽に巻き付いていく。教授天使は汗も流さず筋肉も動かさない無表情のままもがき、少女の目をじっと見つめている。


 鹿島はその光景を、ただ見ているしかなかった。見た目にはただの毛髪でしかないものが、得体の知れない怪物を封殺している。教授天使もまたストレッチをするように体の各所を動かし、動作を確認していた。一つ動かす度に弱所を見つけ出し、縛っている髪を解いていくのが分かる。


 だが少女は承知していたように息を吐くと、縛っていた髪の毛を一気に引き戻した。突然解放されてバランスを崩した教授天使が前のめりによろけるのを、少女は見逃さなかった。


「二曲〝河流れ〟」


 少女が頭を傾けると、鹿島らの視界に黒線が奔った。東雲さんの体に風穴を空けた時のように、光を通さぬ直線の闇が教授天使の体へ一直に伸びて行った。


 槍の如く伸ばした黒髪は教授天使の胸へと突き刺さり、勢いをそのままに壁へと叩きつけられた。コンクリートに水を詰めた袋を叩きつけたような音が周囲に響く。風を切るような速度で人体が壁へ叩きつけられる姿は、人身事故の目撃に似た心のざわつきを感じた。


 だが少女の黒髪がどけられると、そこには平然とした教授天使の姿があった。背中からは意志を持った何本もの荒縄が、触手のように蠢いている。


 恐らく叩きつけられる寸前に、背中の羽がカバーしたのだろう。その姿に鹿島も青貝も慌て始めるが、少女は舌打ちをしただけだった。


「やっぱガイア寄りのミネラルか。厄介ね」


「ガイ、ミ……。なんだって?」


「糸の特徴みたいなものよ。教授の羽は自然物と無機物両方の特徴を持ち合わせている。多分あの羽、中に何か混じってるわね」


 教授天使は蠢いていた荒縄を纏めると、二対の雄々しき羽を形成した。荒縄は藁を編んで作った自然加工物だ。だが少女の言う通り縄の中には、電灯に反射して光る何かが含まれている。


 ふいに教授天使は右手を上げると、少女の頭から垂れた黒髪を指差した。生気に満ち溢れていながら死体以上に何も語らない教授の行動に、鹿島も少女も身に力を入れる。


 まさか指先からレーザービームでも出るのだろうかと思ったその時、本当に見えない何かが飛び出して少女の黒髪を引き裂いた。


「チッ」


 髪を切られると同時に、少女は後ろに飛び退いた。飛んできた斬撃は床に縞模様を付けながら彼女の後を追い、窓を打ち付ける雨粒のような音が廊下に広がっていく。


 少女はバックステップでそれを避けながら次の一手を考えているようだったが、彼女もまた攻撃の正体を読めていないらしい。


 少女は再度黒髪を伸ばすと、また教授の四肢に巻き付けて動きを封じた。教授の動きが再び止まり、ウネウネと荒縄の羽がのたうち回る。


 だが鹿島が見る限り、黒髪は先ほどよりも教授の動きを止められていなかった。彼女の体力が落ちたのか、教授が対策を身に着けたかは分からない。少なくともこのままではジリ貧である事は明らかだった。


「おい、大丈夫か?」


「大丈夫に見える?」


 そう言った彼女の額には、大粒の汗が流れ出ていた。冷静さも幾分か取り戻し、思わず助けに行こうとするが彼女はそれを片手で制する。


「貴方には無理よ」


「でもこのままだとあんたが……」


「なら、試しにやってみなさい」


 少女が顎を動かして促した先には、教室から撒き散らされた多くの本が転がっていた。そいつを投げつけてやれという事だろう。


 鹿島と青貝は本を拾うと、教授天使の顔に投げつけた。全力で投げつけた本は教授の顔面、目元のところにヒットした。角度からして一番固くてダメージの大きい角の部分に当たった筈だが、教授は微塵も柔和な顔を動かさない。


 それでも鹿島はもう一冊本を拾った。常識を超えた存在に古典文学をぶつけたところでダメージが無いのは予想出来るが、このまま少女に任せて何もしない訳にもいかない。無力な自分が今出来る事といえば、せいぜい教授天使をキレさせて意識を逸らすくらいだ。あの教授をキレさせる事で、自分の右に出る者はいない。


 だが二投目に投げた本は先程と変わらぬ軌跡とスピードで向かいながら、教授天使の顔をすり抜けていった。跳ね返ったのでも消されたのでも吸収されたのでもない。ただ顔を通り抜けて、向こう側の窓に当たって落ちた。


「どういう、事だ?」


 それを見た少女が、小さく息を吐く。


「言ったでしょ? そこにいるのはもう水谷教授ではない。教授の姿形をした天人よ」


「教授の、天人?」


「もっと言えば三次元、概念ではなく物理的干渉を可能にした天人よ。物質に触れるも触れないも自由に選べるわ」


 鹿島は思い出す。そういえば東雲天使は、教室の扉を入って来た。そもそも彼女は浮いている訳でも羽ばたいている訳でもなく、地に足を付けていた。彼女の言う通り天使は物体に対して、自由に接触の不可を決められるのだろう。


 だがそうなると、絶望的な思いが浮かぶ。鹿島の気持ちを代弁するかのように、青貝が叫ぶ。


「そんなの、誰も倒せないじゃないか! 物理的攻撃が意味をなさないのなら、対処のしようがない。すぐに助けを呼ぶべきだ!」


「だから、何が来ても意味無いっての! 銃もナイフも毒も放射線も効かないし、きっと地球が爆発したってピンピンしてるわよ。こいつらは効く効かない自体を、自分で決められるのよ」


「じゃあどうしろと?」


 青貝の言葉に、少女はまたふっと笑った。いつだったか彼の誘いを断った時も、確かこんな顔をして断っていたような気がする。


「何も無意味という訳ではないわ。天使に対しても、意識外なら攻撃を加える事は出来る。これならナイフでも拳銃でも、外傷は与えられるわ」


 確かに最初の教授天使への攻撃は、教授が少女へ意識を向けていた時の攻撃だった。だが二発目を躱された事を考えるなら、教授天使は自分達に対して意識を向け始めたという事だ。これがどういう事か。


 自分達は既に、天使に狙いを定められているのだ。例えこの場に重火器があろうとも、攻撃は一切効かないだろう。


「そ、そんなんでどうやって倒すんだ! 悪霊化したゾンビみたいな存在を、どうやったら殺せるって言うんだ?」


 創作物のルールに則るならば、ゾンビなら頭や脊髄を壊せば死ぬ。悪霊ならお祓いなり呪文なりが効くだろう。


 だが目の前にいるのは天使なのだ。聖なる存在を殺す方法は誰も知らない。


 鹿島の叫びに少女は鼻で嗤うでもため息をつくでもなく、ただ笑みを浮かべた。


 その笑みを見た瞬間、鹿島はまた過去の記憶を引っ張られる思いがした。


 歪だった。天人がこの世界から去り、喜びと安心から生まれた笑顔とは違う、不幸を携えた笑みだった。与えられた己の状況に対する全ての可能性を毟り取られ、ここまで堕ちれば後はもう笑うしかないという、絶望の笑みだ。


「鹿島、だっけ? 確かに貴方の言う通り、普通の方法では天使には絶対に勝てない。一度死んだ生命をもう一度殺す事が出来ないように、天使はあらゆる方法を無に帰す。肉体を粉砕しても数日経てば再生するし、過去に天人を退かせた精神波状攻撃も人間の肉体では効果が無い。十次元の住人である彼らからすれば不便極まりない肉体も、この世界で活動するには良い防護服なのでしょう」


「じゃあどうやって?」


「簡単よ。相手が死者ならば、私達も死者になればいい」


「……は?」


 少女は両腕を天に伸ばすと、大きく息を吐いた。


「アンデスは世界に広がる精神汚染から防護し、他者との感情共有エンパシーによって幸福を増幅するナノサイズ細胞。神と人を隔たるそれを棄て絶望を操る彼らと同じ攻撃を加えれば、天使はこの世から完全に消滅する」


「つまり?」


「体内のアンデスの機能を完全停止させ、精神汚染を受け入れながらも意識を保つこと」


 さも当然の如く少女は言った。いくら現状が荒唐無稽を表していても、それもまた同じくらいに馬鹿げているかは今の人類なら分かる筈の事だ。


「バカな。アンデスを捨てて生きる事など、出来る訳が無いだろう?」


「どうして? ほんの十数年前まで、人類はそうして生きてたのよ?」


「第一、どうやってアンデスを取り除く? 君が言ってる事は、身体から特定の細胞だけを取り除くと言っているようなものだぞ」


 青貝の言葉に少女は目を伏せると、またあの薄気味悪い笑みを浮かべた。


「一番簡単なのは、精神に大きな負荷をかける事。つまり……」


 少女は鹿島の目を見ると、呟くように静かに言った。


「死にたくなるまで絶望する事。そして飛び出た糸が首に絡まる瞬間に激しく後悔し、みっともないくらいに生きようと抗う事。すると体内のアンデスは完全に機能停止して旧人類よりも更に昔、開拓時代を生きた人間に戻る事が出来る。飛び出た糸を操る力のオマケ付きでね」


「そんな事が……」


「ただ代償は大きいわよ? アンデスを捨てるという事は、これからの希望と安寧を諦めるという事。常に天人の攻撃に晒され狙われ続け、心に襲い掛かる絶望からもう何も守ってくれない丸裸の状態になる」


 少女の言葉はどこか遠い世界の話のようだった。最初から拒否をし続けた旧人類とは違い、アンデスの加護の味を知りながらアンデスを失って生きるという事は並み外れた苦痛ではない。


「人は苦しみを忘れて新人と成り、その先を進めば羽を広げて天使ちょうちょになれる。でも人らしく苦しみのままに生きようとすれば、芋虫イモムシとして生きて行かなくてはならない……」


 それは失楽園だ。幸福と安寧の味を貪った後に落とされる、精神の飢餓状態だ。そうまでして出来る事が天使を殺害するという罰罪であり、逆を言えばそうまでしなければ天使は殺せない。


「己の中にある〝絶望〟が孕むと、絶望はアンデスを超えた先にある十次元の能力を産んでくれる。繭から羽化する事を拒み、地面に這いつくばる芋虫として生きる決意を固めた者に現れる絶望の糸屑」


 少女は黒髪を靡かせると、静かに言った。


「それが、メンタルフォルスの糸」


「メンタルフォルスの、糸?」


「ええ。絶望に打ち克てるのは、別の絶望だけ……」


 そう言うと彼女の頭から、美しい黒髪が伸びた。


「ただ貴方の言う通り、今だけは力を貸して。貴方達の希望の為にね」

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