お題:任意の作家の文体を意識


(この辺で少女が怪物と出会い覚悟を決めるシーンをやってる)


                    ◇


「喝采を! 礼賛を! 我らが姫への試練をここに!」


 どこか遠く。

 遥か彼方。

 誰も知らないその闇の先。

 星々が天鵞絨のカーテンを織り成す場所で、一人の女が歓喜に歌う。


「なんて、なんて素敵なんでしょう!

 あの子の話を彩るものが、今此処、この場所、この時間!

 第1章のクライマックスに、颯爽華麗に現れたのよ!」


 それは魔女。

 それは女王。

 それは母親。

 世界の果ての魔法使いは、少女の歩みを称えている。

 何時か少女が己の元へと帰ってくる日を、信じつづけて願うのだ。


「第一の試練は焔の魔物。

 家を焼き、人を焼き、世界すら焼く終末の火(ラグナロク)。

 我らが姫はどれだけ持つか。一合出来れば十分か?」


 側に傅く道化が嗤う。

 少女の努力は無意味であると決めつけて、絶望の先を臨んでいる。


「いいえ。いいえ。あの子はやるわ。あの子は勝つわ。

 試練の果て、物語の末、最後の頁に辿り着くまで!

 我らが夢を託した姫よ、貴様の舞踏に祝福あれ!」


                    ◇


(こっから具体的な戦闘シーンが始まる)

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