(11月22日土曜日)

僕は、今日の晩ご飯がチャーハンになるためにあることを実行する。


この作戦が成功すれば、

「今日の晩ご飯がチャーハンである確率は

100%!」


僕の妹は占いが大好きだ。星座占いや血液型占い、顔占いなど、何かと占いを見ては、


「今日のラッキーアイテムは、何々だ~」

「お兄ちゃんは、今日出掛けるんなら、赤色の帽子を被っていった方がいいよ!」

とにかく占い結果を信じている。純粋に占い結果を信じるなんて可愛らしいじゃないか。


そんな純粋な妹には悪いが今日だけは利用させてもらう。すまない 妹よ!


妹が毎日のように、テレビで見ているニュース番組のニュースWTの人気コーナー

「マリアーナ川里の占い教室」


今日は、妹が見るのを様々な手を使って阻止した。妹は気になったはずだ、今日の自分の運勢を。そこで僕が噓の結果を妹に教える。そう これで、自分の思い通りの結果を妹に伝えることが出来るのだ。


「由奈、変わりにマリアーナ川里の占い結果見といたよ~」

「いて座は残念ながら、9位だってさ~」

「今日のおまじないは、晩ご飯にチャーハンをなんだってさ~でも、占いだから気にすることないよ」

気にすることないって言えば余計に妹が気にすると思っていった。少々強引だったか、今日のおまじないって言ってるのに、晩ご飯って……夜になるまでおまじない出来ないじゃないか。妹は多分 そんな小さなことは気にしないと思うけど。


「そうなの? 分かった 今日は、チャーハンを食べるといいんだね! じゃあ、お母さんに言ってくるね」


「お母さん、今日の晩ご飯は、チャーハンがいいなー」


「そうね、チャーハンにしようかね」

よっしゃー!ういーーー!

心の中でガッツポーズ!


うれしい、これで

「今日の晩ご飯がチャーハンである確率は100%!」

変な妨害が来ない限りは、100%チャーハンだ、今日の晩ご飯はチャーハンだ。


今日の晩ご飯がチャーハンだと分かれば、宿題も余裕だ。3連休の間にゆっくりとやればいいね なんて思っていたけど、今日一日であっさりと終わらせられる気がする。


数学のプリント2枚も日本史のプリント1枚も、普段なら苦戦する英語のプリント2枚も、教科書という強力な助っ人の力を借りながら終わらせることができた。3連休だからといって追加された国語のプリント1枚も今の僕にとっては敵ではなかった。


「終わった、終わった、終わった~」

宿題も終わり、もう僕は3連休を存分に楽しむだけ。自由に漫画を読むのもよし、ゲームをするのもよし。ああ、何してもいい。


「有人、漫画ばっかり読んで 宿題は終わったの?」

と母に聞かれてたとしても、何も恐れることはない。


「宿題? ああ、終わったよ」

こう返せばいいだけ。


噓でしょ? 見せなさいと言われても見せればいいだけだし。母もビックリするだろうなー。


昼飯もいつもより軽めに食べて、間食もしなかった。全ては、チャーハンを楽しむために。よく考えれば、休日にチャーハンって最高じゃん。多少無理してたくさん食べても、明日休みだし。


「有人、ご飯よ!」

と母に呼ばれる前に僕はもうすでに、台所にいた。チャーハンと分かっているならもう、目の前で待機しときたかった。


待機していると、運ばれてきたのはチャーハン。美味そうな匂いをまき散らせてこちらに近付いてくる。


テーブルにチャーハンが置かれた。

「やったー ついにチャーハンがきたぞ!」

待ちに待ったチャーハン、妹よありがとう。

マリアーナ川里もありがとう。


マリアーナ川里にも感謝の気持ちを込めて、

ニュースWTのホームページを何気なしに見た時だった。


「マリアーナ川里の占い教室 月曜~金曜 朝7時30分、土曜 朝8時10分」


僕は、知らなかった……

「マリアーナ川里の占い教室」のコーナーは、土曜日は普段より少し遅い時間になるらしい。毎日のように見ている妹がそれを知らないわけがない。


「由奈、変わりにマリアーナ川里の占い結果見といたよ~」

「いて座は残念ながら、9位だってさ~」

なんてのんきに言っていた時には、まだやってなかったんだ。おかしいとは思った。


朝ご飯を食べ終わったというのになかなか自分の部屋に戻らなかった。しかも家の中だというのに、妹は一日中ニット帽を被っていたな。本当のラッキーアイテムがニット帽だったのだろう。


そうか、そういうことか……

妹は、僕がそんな嘘をつくには、チャーハンが食べたいんだろうと思って、わざと騙されたふりをして僕のために、母にチャーハンを頼んでくれたのか……


僕がチャーハンを食べられたのは、本当に妹のおかげだな。ありがとう妹よ……


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チャーハンの確率 七寒六温 @nanakanrokuon

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