(11月20日木曜日)
今日こそは、チャーハンであってくれと僕は願う。あまりにもチャーハンが食べた過ぎて、昨日の夢の中に、チャーハンが出てきた。
なぜか、隣の鈴木さんが僕の部屋で明太子チャーハンを作っていて、何故かその上にミートソースをかけるという謎の行動に出る。
夢とはいつも肝心なところで終わりを告げる。大好きな女優さんが夢の中に出てきて、もう少しで彼女のほっぺたにキスをする所で目が覚める。宝くじが当たった 換金したお金を贅沢に使おうかと思ったところで目が覚める。全く身勝手過ぎる、期待させるだけ期待させといて最後に落とす。
恋愛で例えるならば、散々 アプローチを掛けられてきたのに、その子に告白をした瞬間 まさかのNo!
じゃあ 今までのアプローチは何だったのさ? ああ、簡単だよ。それは、小悪魔って言葉で全て片付けられるのさ。
さて、今夜の確率だが、
「今日の晩ご飯がチャーハンである確率は
30%!」
今回はあえて低く見積もった。
なぜ、30%という確率になるかというと、チャーハンの具材と思われていたチャーシューとネギとベーコンが昨晩一気にかっさらわれてしまったからだ。
残ったのは、エビと卵。
僕は、エビチャーハンでも全然いいが、何故か僕の妹がエビチャーハンを毛嫌いする。
妹は、エビが苦手なわけではない。普通にエビフライは食べる。いや、むしろ僕よりも定食屋でエビフライ定食を頼む確率が高い。チャーハンも出されたら食べるしな。シンプルな卵のみのチャーハンなら妹も食べるから、ワンチャン、シンプルチャーハンが出てくる可能性に掛けて、30%。
木曜日
魔の水曜日に比べたら授業内容としては楽。
国語、体育、家庭科、家庭科、理科、英語とバランスの取れている。だが、月火水からの疲れにまだ後 木金とあと2日もある!
授業中、寝ている生徒が1番多い曜日は木曜日。特に5限目の理科は「居眠り岩田」の異名を持つ岩田先生の授業だから、7割方の生徒が寝ている。小さな声でゆったりとした話し方で、怒られる心配もないから、眠りやすいのだ。
正直なところ僕も、毎週木曜日の5限目だけは、居眠りをしてしまっている。
でも、僕の場合は、最初から寝ようとしているつもりはない、月火水の疲れに加え、2限目の体育による疲れ、ヘトヘトな体に、岩田先生のやさしい声が子守歌となってしまい、ついつい、眠ってしまうのだ。
「だが今日は、今日ばかりは」
何となく、5限目 居眠りをせずに耐え抜いたら、今夜 チャーハンである確率30%から50%に上がるような気がした。
何度も、何度も眠くなったが、全てはチャーハンの確率アップのために、チャーハンのために!
普段なら、5限目で居眠りをするが、今日は、しなかったため帰宅時 いつもより疲れた感じがした。
「さてと、宿題をせねば!」
国語、家庭科、理科、英語の4教科の宿題が出ている。しかもうちの学校の鬼な所がこの毎日出る宿題の提出期限が次の日だということだ。教室の隅に置いてある宿題ボックスという箱の中に毎日朝礼が終わるまでに入れておかなければならない。
「今日は、4教科もある。とりあえず理科と家庭科をさっさと終わらせてっと。家庭科は比較的問題が優しい。理科は間違いが多くても空白が少なければ注意されることは少ない。例え注意されたとしても岩田先生だから全然怖くはないし」
僕はまず、家庭科と理科の2教科から取りかかる。僕は楽な方とキツい方があったらまず、楽な方からやり始めるタイプだ。ちなみに、好きな食べ物は最初に食べるタイプだ。1番美味しいときに、1番腹が減っている時に味わうのが好き。
家庭科と理科は比較的 早く終わった。
問題は国語と英語。厄介もんはこいつら2つ
英語はプリントが1枚だが、単純に問題が難しい。
国語の場合は、水曜日の国語の宿題はノートに問題として出された10個の言葉を漢字で書くだけでよかったが、何故か木曜日の宿題は、それに加えて、この1週間で間違えた漢字を5回ずつノートに書かなければならない。勿論、1つも間違えなければ、追加の宿題はないことになる。間違えた漢字を練習するのだから。
今週は、4つの漢字を間違えた。
4×5=20
すなわち20単語分漢字を書かなければならない。こればかりは、自分が悪いのだから仕方ないが、4つしか間違えなかったことに関しては自分で自分を褒めたい。よくやったぞと!
「裕福、裕福、裕福、裕福、裕福」
「渓谷、渓谷、渓谷、渓谷、渓谷」
「疎遠、疎遠、疎遠、疎遠、疎遠」
「繊細、繊細、繊細、繊細、繊細」
「それにしても今週の僕、画数の多いのばっかり間違えてる!」
ひたすらに書いたせいで、腕が疲れた。
木曜日に、何でこんなに、疲れなきゃならないんだ。
疲れた中で最後に残ったのは、わけの分からない英語。
「I don't speak English」
僕は日本人だというのに何で英語を勉強しなければならないんだ。今後 僕が、世界中を飛び回ってマルチに活躍する?ないない。
なら別に、いいじゃない。英語なんて勉強しなくなって。
グチグチと文句を言いながらやってやっと終わった。そしてふと気付く、今日もおやつを食べていない!まあいい、じきに晩ご飯だ。
「有人、ご飯よ!」
母に呼ばれて僕は急いで階段をおり、台所へと向かった。
「今日の晩ご飯は、3、2、1!」
「えっ?」
テーブルに置かれていたのは、皿うどん。
「あら、こんな所に!」
皿うどんの中に昨日のエビを見つけた。
エビチャーハンになるために生まれてきたはずのエビが、皿うどんの具の一部に。
そうだよな、そうだよな、お前もエビチャーハンのエビになりたかったよな?そう、エビチャーハンになれば、自分の名前が料理名に入る、ただ、皿うどんだと料理名の中には、エビのエの字すら入っていない。
皿うどんは嫌いなわけではない。チャーハンに比べたら劣るがむしろ好きな方だ。だから文句は言わずに僕は皿うどんを完食した。
確率は、30%から50%に上がったはずなのに……
結果、今日も晩ご飯は、チャーハンではなかった。
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