第4話
今日はお休みで平日のガクガクとした時とは違って別の国に戻ってきたかのようです。
ゆったりとした風が流れていて、そこには不安は何もないかのように思われました。昨日までが嘘だったかのように思えます。
そうやって図書館に来てみると、図書館ですから当然のことながら、本棚にたくさんの本が並べてあります。それらの本棚の並びは通路の壁を作り、小さな道を作っておりました。
それらの壁は、たしかに壁になっていましたが、その壁の中からレンガを一つ取り出すように本を取り出して開いてみると、それはやはり単なるレンガなどではなく、本の中には物語がありました。少し、おかしく思われるかもしれませんが、ああ、これは本物の本だったか、と気づくのでした。
そして、この壁を作るひとつひとつのレンガが本でできており、その中にはそれぞれの物語が詰め込まれ、そういったものが壁を作っているのがたいそう、不思議に思われたのでした。
ひとつひとつ本を取り出して開き、確かめたくなるような気持ちが浮かびましたが、それはすぐになくなりました。他の本棚の本が実は、本ではなく、本の形をしたオブジェやレプリカ、フェイクである可能性はゼロではないにしろ、とりあえずは、どちらであろうと、関係のないことのように思われました。
そうやって本棚の壁を歩いていると、鏡のついた柱に行きたあたりました。それはとても大きな鏡でした。鏡を見ると、鏡の世界には自分の姿と本棚が映し出されており、あたかも自分も世界を作る本の一部であるかのように思われたのでした。
いくらトースト @ogikura
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