第16話 無式 纒 ~転校生編~

「うぅ!」

僕は目を覚ます。

「おはよう。」

「なっ!」

目を開けると、真無がいた。

膝枕をした状態で。

「な 何してるんだよ。」

「何って膝枕だよ ひ ざ ま く ら。」

真無はあっけらかんと答える。

「まぁいいや。それよりなんのようだ!。」

久し振りに会った際、僕は真無に用があると言われた。

「簡単です。私と契約してください。」

「はぁ?」

契約ってしたじゃないか。

「実際はしていませんでした。小さい頃、あなたは契約することを拒んだんですよ。」

「どういうことだ。契約してないならなんで力が使えるんだ!」

本来ならあり得ない。確かに心霊装との契約を拒んだ人間はいる。

でも、その人が力を使えた試しがない。

「それは私のまぐれですね。」

「どうして?」

「それは 乙女から言わせないでくださいよぉー。」

体をくねらせながら言う。

正直キモい。普通に考えてナルシストかよ。

「しかし、それが不味かった。」

真面目になるけど、迫力ないんだよな。

「力を使うことに限界が来た。」

「それが暴走。」

「言ってしまえば神降ろしみたいな感じだね。」

確かにそれは大変そうだ。フレーズだけ見れば。

それと同時に僕だけに起きた暴走の意味も理解できた。

「じゃあ、早速契約に移りたいんだけど。その前に一人になりましょう。」

真無が別の方向に視線を向ける。僕もその方向に視線を向けると、そこには緑識森忠がいた。

「彼なら大丈夫。」

僕は心のなかで念じる。

大丈夫。僕は今から抑える。

そうして少ししたら退いてくれた。

「じゃあ行きましょうか。」

「うん。」





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