第17話 無式 纒 ~転校生編~

僕が着いたのは、なにもない平原だった。そしてここは僕が始めて暴走した場所だ。

「じゃあ始めようか。」

「うん。」

契約の方法は簡単である。それぞれの支部に行って契約の手続きを済ますだけ。

僕はどうやら例外な用だけど。

「契約です。あなたはわたしとの契約を望みますか。」

「うん。」

「あなたは、わたしとの契約に何を望みますか。」

「みんなが幸せに暮らせるようにしたい。」

「あなたの言葉 しかと受け止めました、最後に私の名前はなんですか?」

「・・・。」

僕はすぐに答えられない。

真無だと分かっているのに、口から出そうな言葉は違う。

「あなたの中で私は誰?」

「・・・無為識 真無。」

「正解です。そう私は無為識 真無 この名において あなたと久遠の時を共にし 苦楽を共にし 付き従って行きます。ですので、あなたはわたしを導いてください。全ては創造主のなのもとに。」

僕たちの回りを光が包む。

「その願い 聞き届けた。我が血 肉 全ては君と共に。いつかその手が血に染まろうと、導き 久遠の時を共に。」

「「今ここに 契約を交わす!」」

光が消えていく。

「心霊装 起動 おいで真無。」

「はい 私はここにおります。」

契約は無事に完了した。

「僕の力は何か変わったの?」

「はい、今までは他人の意識でしたが、契約が完了したので、任意で変えられます。」

最強の鎧と矛が出来たようだ。

「解放後も?」

「解放は、全てが発動状態となります。」

チート過ぎない?

「しかし、心霊力を常時消費して行うため、いつか限界が来ます。ここは主様の努力次第ですね。」

チート過ぎなくて僕は心のなかで安心した。

「それでは主様。」

「いや、主様はやめてくれ。むず痒くて仕方がない。」

「では、何てお呼びすれば?」

こいつ、こんなキャラだっけ?

「纒でいいよ。」

「分かりました。では纒 次は何をしましょう。」

「口調 戻ってるぞ。」

やっぱりふざけてたのか。

「まぁ、いいじゃないか。私だってむず痒くて仕方がなかったんだよ。」

「取りあえずは、無色の暴君の復活とか言ってるバカ達の殲滅かな。でも、学校も通いたいな。」

「ふふふ。」

人が悩んでいるのに、真無は笑う。

「何かおかしいことでも言った?」

「いえ、昔の君と比べたらずいぶんと楽しそうだなって。」

そうなのかもしれない。戦場が生きる場所で平和なんておこがましいほどの理想を掲げて人殺しをしていた頃に比べたら、笑い合える今は楽しい。

「それじゃあ帰ろっか。」

「そうですね。」

僕は学園の方へ歩みを向けた。




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