その247 一人時間差ツッコミ


 希望的観測を多めに含んていますが、実際私に出来ることはこれくらいしかない!

 そんなわけでイブンに託された身代わり紙を用いて紙飛行機を作っていきます。

 まさかこの紙もこんな風に使われることになるとは思わなかっただろうな……。


 推しが真剣に戦っている裏で紙遊びしてるオタク、なかなか絵面が酷いけれど私としては真剣そのものなので許していただきたい。

 さて、一口に紙飛行機と言っても色々あるのだけど今回はギネスにも乗った世界一の紙飛行機を思い出しながら作って行きたいと思います。


 これはなんと約70m飛んだ記録もあると言うとんでもない紙飛行機です。

 作り手と投げ手が私なのでそこまでは飛ばないと思うけれど、大は小を兼ねるし、きっとその半分くらいは飛ぶはず。

 頑張って作りましょう。


 必要なものは紙のみ!

 えーそれだけー!って言いたくなるけれど、さっきまでこの紙すらなかったのでイブンに感謝しても仕切れない。

 あと、本当はクリップなどがあればしっかり挟んで形を整えられるんだけど、今回は指で補います。

 頑張れ! 私のちっこすぎる指!


 しかしこうして紙を折っていると、友達がいなさ過ぎてひたすらに一人遊びにまい進していた過去も一緒に思い出されてしまう。そしてそれを引き金に様々な黒歴史が思い出され、私は致命的なダメージを負った。

 紙は折るし、ダメージは負うし、過去には追われるしで大変だ。往々にして、自分の黒歴史と言うのは不気味な泡のように唐突に浮き上がってくるものだけど、今は勘弁して欲しかった。


 かなり繊細な作業なんだからね! 紙飛行機作り!

 過去の羞恥にやられて枕に顔を埋めてジタバタしつつ「ああああああああああ!」なんて叫んでる時間はないんだから!


 その上背後では戦闘が続いており、ドラゴンの巨体から生み出される振動もかなりのもので、本当に紙飛行機を折る環境として駄目駄目すぎた。

 こんなことなら寝ている時に身代わり紙で紙飛行機を作ることを思いついておけば……。

 

 後悔先に立たず、振動に負けないように集中して紙を折っていく。

 轟音や竜の咆哮なども背後で響いている中、蹲ってモクモクと紙飛行機を折る私。

 シュールすぎた。

 傍から見てたら本当に意味不明な光景だよ、これ!


 そんなこんなのなんやかんやで、私はなんとか古傷と振動に耐えながら紙飛行機を折りきった。

 完成した物を眺める。

 真っ黒な紙で出来たそれは我ながらよく出来ていて、これから手放すのが惜しくなってしまう程だ。

 手放すけどね! 紙飛行機だし!


 ただ問題は手放し方である。

 本家ギネスの紙飛行機のフライトはアメリカンフットボールの選手だった人がやっていたのだけど、それに比べれば私はあまりにも頼りない。

 

 ただ私もアメリカンフットボールの漫画にハマって無駄にアメフトボールを買ったり、野球漫画にハマって投球フォームだけはしっかり練習していたことがあるという酷い黒歴史は持っている。

 ……負けていない!

 いや、ギネス本家様にあらゆる面で負けまくっているけれど、気持ちでは負けない!


 信じるんだ。鏡を目の前にひたすらタオルを振っていた雑魚すぎる日々を。

 その日々が今報われる!

 

 他にも将棋漫画にハマってパチンって鳴らしながら指すのを練習したり、自転車漫画にハマって登下校で無駄にダンシングというテクを練習したり、バレー漫画にハマって一人時間差の練習を本当に一人でしていた私だが、果たしてこれらが報われる日も来るのだろうか。

 ……絶対来ないな!!!!!

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