第十三話 「イツモノ日常ノ終ワリ③」
キーンコーンカーンコーン……
その日の授業はすべて終わり、放課後を告げる鐘の音が響く。
「ふぇ~シウ、もうげんかーいうごけなーい」
机の上で伸びているシュウカ。
「あはは、朝の体育相当響いてるねー」
「シウ一番苦手な教科だもーん」
「まぁ秋叶の場合、基本的に全部苦手でしょ?」
「うーそうだけど~……」
「おつかれおつかれー」
そう言ってシュウカの頭を撫でるユウ。
「あれ?ツーちゃんどうしたの~」
側にいながら会話に参加しないツナギに疑問を持ち投げかけるシュウカ。
ツナギは教室内をキョロキョロ見渡していた。
「あっごめんね。えっと、冬乃さん見てない?」
「冬乃さん?なんで?」
ユウが聞く。
「えっと……預かりものをしてて……それで渡そうと思ってたんだけど、その、体育終わったあとから見てなくて。」
「そういえばそうだね。見てない気がする。もう帰ったんじゃない?」
「えっ!どうしよう……」
「明日じゃダメなの?」
「あー、うーん、まぁ明日でもいっか」
ツナギはユウの提案で納得した。
「にしても珍しいね?冬乃さんって誰かと話してるイメージもないのに津凪が用事なんて」
「いや、私もそんなに知ってるわけじゃなくて……落とし物?というかそんな感じ……」
「ふぅーんそうなんだ?」
「あ、それよりシュウちゃんのほうが冬乃さんとこの前会話してたよね?」
「ふぇ?あ~そうだっけ?」
「うん、この前の移動教室の時に」
「うーん、シウ、あんまり覚えてないなぁ~」
「でもシュウちゃんどっか行っちゃってたから私探して、そしたら……」
ツナギが話し終わる前にシュウカは別の話題をする。
「それよりシウ、お腹減っちゃった!」
「わーでたよ秋叶の気まま発言ー」
ユウが茶化す。
「この前言ってたパンケーキ屋さん、みんなで行きたいな~」
二人をうるうるとした目で見上げるシュウカ。おねだりをする時に決まってシュウカはこの顔をする。
「今日は、まぁ定期検診があるけど、18時くらいだしそれまでならいいよ」
賛同するユウ。
「ツーちゃんもいいよね?」
「あ、うん!ずっと行きたがってたし、私も行きたかったから行こっか」
話を切られたツナギだったが、ユウも言っていた通りシュウカにはよくあることでそれ自体はあまり気にしていなかった。
(……でも、見間違い……じゃなかったし、覚えてないってことはないよね……)
ツナギは後で聞き返してみようかな。と密かに考えているのだった。
「わーい!じゃあ決まりだ~」
両手を上に伸ばして喜ぶシュウカ。
「あれー?さっきまで相当お疲れだったのにー?」
「甘いもの食べたら元気になるの!」
「まだ食べてないじゃん」
三人は笑いながら学校を出て、お目当てのパンケーキ屋に向かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます