第22話 初めてのダンジョン②

 ここは巨大な洞窟。

 どれくらい広いかというと、超大型の魔物と戦いになっても、余裕で暴れ回れるぐらいだ。

 まぁ、超大型の魔物は見たことも無いがね。

 地面にある鉱石が薄っすら光っているので、周囲は暗いが足元は明るい。


「ネクトすごいだろ~通称洞窟テッドて呼ばれててな、この光景がずっ~~と続いているんだぜ。アハハハ。俺もソロだから、よかったら一緒にダンジョンを回らないか?」


「ああ、助かるよ」


「ライト」


 ケンは杖にライトの魔法を唱えて明るくする。


「そうと決まれば、早々に行こうぜ~ところでよ~冒険者ならダンジョンでのルール、知っているよな?」


「ん?そんなのあるの?」


 ケンが説明するには、

 冒険者には冒険者ギルドから決められたルールがある。

 狩場などでは、仲間以外は冒険者同士接してはならない。

 視界に入っ場合、速やかに去ること。

 魔物の横取り、冒険者同士の闇討ちなどを避ける理由だ。

 そう言えば、そんな説明あったな~


「ネクト。ダンジョンは冒険者以外の一般人もいるけど、このルールは絶対だからな。一般人も常識の共通ルールだから、しっかりしてくれよ!」


「分かったけど、一般人も入れるのか?ダンジョンは危ない所と認識してたが、大丈夫なのか?」


「もちろん。めっちゃ危ないぜ。そこら辺の魔物討伐するより、ず~~っと危ない。けどな~洞窟デッドは比較的優しいダンジョンで、当たればどでかいお宝があるとなりゃ~誰だって来るぜ!」


「なるほど」


「ネクト。ところでよ~分け前は折半でいいよな?」


「勿論だよ。ケン」


 ケンはそう言って、先頭でダンジョンの奥に進んでいく。

 俺はアイテムボックスから杖を出し、魔法で明るくしケンに付いて行く。

 暫くすると、周囲にいた冒険者も確認できなくなり、魔物も出てきた。

 

 魔物はコボルト、Dランクの中でも弱小だが、やはり普通ではない。

 額に小さな角が1本生えている。

 普通のコボルトは角は生えていない。

 強さは変わらないみたいだ。

 武器は多彩で、弓を持ってるコボルトもいれば、盾を持っているコボルトもいる。

 コボルトが持っている装備もどっから持ってくるんだろう?

 素朴な疑問もあるが、


「ウインドカッター!」

 

 ケンは風魔法で倒していく。主にウインドカッターで攻撃している。

 俺も負けじと無詠唱で凍らせて倒していく。

 ケンが倒したコボルトは状態が悪いが、俺が倒したコボルトは状態が良いので、アイテムボックスに入れる。

 ケンは口笛を吹いて


「クールだね~ネクトは氷魔法を使うのか~魔物も高く売れるし、最高だぜ!」


 ケンは終始テンションが高く、冗談を言いながら話をする。

 洞窟を迷わず奥に進んでいく。コボルトを2人で15体倒したとこだろうか。

 突然、倒したゴブリンの真横に宝箱が現れた。


「ひゃっほ~来たね~お楽しみタイムだぜ!初めて見るか?驚いただろ。俺達は鑑定魔法があるので問題ないが、意外と罠が多いから、開けるのは大変なんだぜ~」


 なんだと!鑑定魔法の存在は知っているが、今まで困らなかったので習得してなかった。


「あちゃ~外れだぜ!ウインドカッター!」


 ケンはそう言うと、宝箱に風魔法で攻撃して壊した。

 これは猛毒がでる罠だったみたいだ。

 宝箱の周囲は毒煙が出ている。


「ネクト、宝箱が出たら、罠と分かっても開けるのまでが一応ルールだぜ~。わざと開けずに置いてく奴もいるけどな!」


「ああ、わ 分かった。ケン、ちょっと聞くけど、鑑定魔法どうやって覚えたんだ?」


「ハァ!?兄さん本当にBランクか?無詠唱だったしBだよな・・鑑定魔法なんて、覚えるだけなら下位クラスだが~特別だぜ~コツを教えてやるぜ~」


「ほんとか!ありがと~」


 ケンは歩きながら、鑑定魔法のコツを教えてくれた。

 かなり簡単ですぐ覚えたのだが、例えば宝箱を鑑定する。

 すると宝箱と認識する程度で、罠かどうかは分からない。

 鑑定魔法の精度を上げないと分からないとの事だった。

 

 ちなみに鑑定魔法は、魔物、武具、魔道具などにも活用できる。

 考えたらすげ~便利じゃん。今まで習得しなかったのが恥ずかしい・・


「ネクト。もうすぐAランクが発見された場所だぜ~そこには多分居ないが、討伐されればすぐ地図が更新される。ネクト地図見て見ろ。トロールキングと書いてないか?」

 

「ああ、書いてある。なるほど」


 暫く歩いて行くと、3m程のトロール2体が現れた。Bランクだ。

 通常のトロールは体が緑だが、このトロールは青色だ。

 片手にはこん棒を持っている。


「ネクト1体任せたぜ~」


 流石に3mのトロールを凍らせるのは一瞬ではないが、時間を掛けて凍らせて下位魔法だけで何とか倒した。

 強化された白い氷魔法使えば一瞬で凍らせれるが、ケンがいるから使わない。

 ケンはまだ戦っていた。しかも全然ダメージ与えてないで逃げている。

 仕方ないので加勢して、倒した途端、また宝箱が出た。


「ツイてるぜ~しかも当たりだ。なにが出るかな?」


 俺は自分の倒したトロールをアイテムボックスに入れて宝箱を見守る。

 宝箱の中身は大きいサイズの宝石だった。


「ネクト。俺はアイテムボックスが狭いから宝箱から出たのを入れるぜ~ネクトのアイテムボックス広いな~まだ入るのか?」


「ああ、もう少しだけなら入るよ」


 まだ全然余裕だが、そろそろ一杯と言わないとおかしいのか?アイテムボックスの基準が分かんねぇ~


「そうか。随分奥まで来たから、戻ろうぜ~」


 ケンと俺はダンジョンを出ることにした。

 戻る途中に、コボルトとトロールを何体か狩った。

 コボルトから運よく宝が出た。小さいサイズの魔道具だった

 あっという間に感じたが結構時間が経っていて、出てきたら既に丸1日経過していたのだ。


「ネクトは若いな~。おじさんはクタクタだぜ~馬でダンジョンに来たのか?」


「いいや、歩きだ」


「マジか~。俺は馬だからよ~イステッドの町のギルドに先行ってるわ。そこの乗合馬車で後から来てくれ。そこで落ち合おうぜ~」


「ああ、分かった。後でな」


 俺はそのまま乗合馬車に乗ってイステッドの町に行く。

 冒険者なら1日食事をしなくても特に問題ないが、今度から気を付けないとな~

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