第21話 初めてのダンジョン

 早速、馬車乗車場に行く。

 しかし、宿屋は2泊分しか使っていない。5泊にして失敗したな~気をつけよ。

 今回も高速馬車で行く。1度乗ると病みつきになる速さだ。

 

 町には4日で着いた。町の名はイステッド

 

 場所を教えてくれた受付の人は5日と言っていたが、あれは個人馬単騎でゆっくり走らせた日にちの事を言っていたのだ。

 乗合馬車なら、恐らく6日か7日は掛ったと思う。

 Bランクの冒険者ともなれば、普通は馬を持ってるのが当たり前の感覚である。

 今の俺なら買えるので、近々購入を検討している。

 

 イステッド町の印象だが、町を拡張する為、外壁を増築している。

 中に入っても建設中の建物が至る所にある。

 故郷リスタニア王国の首都には劣るが、それでも今まで見た町の中では遥かに大きいし、賑わっている。

 これが首都ではないのが驚きな程だ。

 まずは宿屋だが、問題が起きた。1件目満室、2件目も満室、4件目でやっと空き室があった。

 しかも通常より高いが、まぁ仕方ない。

 本当なら1泊ずつ泊まろうかと思ったが、こうも空きがないと確保したいので、7泊滞在することにした。

 最悪町で徘徊をし、どこかで瞑想するのもありかと思ったが、魔人だからな~目立つことは避けねばならない。

 今日はもういいや、疲れた・・明日から、町で本格的に情報収集しよう。


 翌朝、町を見て回り情報を集める。

 あちこちで情報を収集し、地図を購入して分かった事がある。

 エルゴエデン王国はダンジョンが3つもある。

 リスタニア王国とギスミート王国にもダンジョンはあるが、共に1つしかない。

 この町のダンジョン名は、イステッドダンジョン。そのまんまと思ったが、町の人は洞窟テッドと呼んでいる。

 イステッドの町から西に馬で半日らしい。

 イステッドダンジョン行き専用の馬車まであると言う。


 ダンジョンには以前から行きたいとは思っていた。

 故郷に居る時は、ダンジョンが遠く離れた場所にあったのと、一緒に行ってくれるパーティーが居なかったから、一度も行ったことがない。

 でも今は強くなっているから、ソロでも問題ないはず。

 

 情報収集をしていたら、いつの間にか夜になっていた。今日はここまで。

 俺の予定では、明日はいよいよダンジョンに行こうと思っていたが、情報を集めている内にワクワクが止まらなくなり、今からダンジョンに行く事にした。

 イステッドダンジョン行きの馬車を調べたら、昼間だけの運行らしい。

 だから俺は走って行く事にした。

 

 ダンジョンまでの道は、道幅も広く整備されている。

 書物からの知識や、町で聞いたダンジョンの情報を纏めると、ダンジョンの出入口はゲートと呼ばれており、24時間営業。

 ダンジョンの中は異世界と繋がってると言われてるが、まだ解明されてない。

 中はとにかく別世界になる。

 別世界は様々で、広い荒野、一面樹海、巨大な建物の中、灼熱の地と色々あるらしい。

 

 ダンジョンの魔物は少し変わっている。

 例えばスライムだが、色が通常は青だが、オレンジ色の個体とかになる。

 強さは変わりないが、特殊個体の扱いになる。

 冒険者は強さ基準だから、特殊個体と言われても扱いは変わらないが、生産業や飲食関係の職人からすると全く違うらしい。

 

 それとこれも謎の1つで、魔物を倒した後に、稀にだが宝箱が突然現れると言う。

 そこにはなんと、魔道具、宝石、武具が入っているという。

 しかも、魔物は倒しても倒しても、どこからともなく湧いてくる。

 全く理解できない。


 そんなことを考えながら走っていると、ダンジョンに着いた。

 時刻は昼前。途中、夜にも関わらず沢山の人とすれ違った。

 ダンジョンの周りには小さな町が出来ていて、賑わっている様だ。


 ダンジョンの出入口は大きく緑色に光っている。

 警備は厳重で、ダンジョンに入るのに10人程並んでいるので最後尾に並ぶ。

 俺の順番が来た。


「冒険者なら冒険者カードを出してくれ。入場料は銀貨5枚。地図は銀貨3枚」


「地図有で頼む」


 俺はアイテムボックスから冒険者カードとお金を出し渡した。


「Bランクか。見たところ1人だが、気をつけろよ」


「あ、俺ダンジョン初めてだから詳しく教えて欲しいのだが。中はどうなってるとかさ~」


「中に入れば分かる。お前、後ろを見ろ。お前みたいな奴が居ると混みだすから、早くしてくれ」


 管理員らしき男は、地図と冒険者カードを俺に渡して、サッサと中に入ってくれと言わんばかりだ。

 まぁ~確かに分かるが、そんな言い方しなくても・・


「ちょ~~とそこの仮面の~いいか~。チラッと話が聞こえたから、俺が案内してやってもいいぜ~今、入場料払うから待ってな!」


 真後ろにいた。中年か若いのかよく分からない外見の男が話しかけてきた。


「お、待たせたな。ここじゃ不味いから、歩きながら案内してやるぜ!」


 男は馴れ馴れしく俺の肩を叩きながら話してくる。

 俺は教えてくれるなら有難いので、軽く返事をして頷くだけだ。

 男の格好は派手で、片手には杖を持っている。

 垂れ目で片耳の上部が少し欠けていて、痩せ型で顎鬚が少し生えている。

 ダンジョンの入り口に入ると、長い異空間のトンネルになっている。


「この異空間のトンネルが長い程、別世界は広いと言われているんだぜ。アハハハ」


「へぇ~」


「買った地図を見て見ろ。端の方は記入されてないだろ?ダンジョンは未開の地が殆どだぜ~」


「ほ~」


 色々助かるな~地図は銀貨3枚で安かったが、恐らく頻繁に更新されていて、需要があるんだなと思った。

 地図を見たら、強そうな魔物が発見された場所も記載されている。

 トンネルを出て


「俺はケン。一応、Bランクの魔法使いだぜ!」


「ネクトだ。俺もBランクの魔導士だ」


「魔導士?若いのに随分古風な言い方してるな。俺の婆さんがそんな言い方してたくらいだぜ~」


「ああ、まぁね・・」


 そうなんだよな~みんな魔法使いとか言うけど、書物では魔導士って言い方は普通に出てくるから、若い頃は格好つけて言っていた。いい加減直さないとな~今ではこの言い方が癖になっている。

 

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