第2話レンズ後編

レンズ 後編。


「何で腕鈍ったのかなキョウのやつ」


キョウに気合を入れようって思ったけど居ないじゃん?まあいいかアイツの写真見てみるか。


「どれどれ?」


!?


「何コレ?パンチラ?」


私は思いがけないものを見付けた・・・愕然とした。


「アイツ何やってるんだよ!」


私の好きな人がよりにもよってパンチラ写真とは・・・被写体から見て、盗撮ではなさそうだけど?女の子が振り向いてポーズ取ってるし、ってか誰よこの女?前からキョウの写真に写ってる黒髪のロングの子なのは解るけど・・・一体誰何だ?


「キョウの奴会ったら問い詰めてやるんだから!」


私は怒り狂っていた。暗室を抜けると部室のドアが開いた。タイミングが良いのか悪いのかキョウが部室に入って来た。


「キョウ!あのさ?卑猥な写真撮ってるから腕落ちるんだよ!」


怒りをぶつけてみるテスト!


「見たのか?あー、その、なんだ?俺の自由じゃん?」


むっかー!


「パンチラ写真撮ってhshsしてる変態さんだ!お巡りさんコイツです!」


泣いてなんか、泣いてなんか・・・


「落ち着けってこれ彼女だし・・・その、良いじゃん!俺の勝手!」


むっかー!泣いて損した!戦う!戦うぞ!


「この子さ前から思ってたんだけど誰?学校に居ないし、見た事無い。部外者連れ込んでる?校則違反コイツです!」


「・・・今ここに居るよ」


は?


「え?誰も居ないじゃん?何言ってるの?」


「じゃあ俺が今からその子が居るって証明するね」


誰も居ない虚空にカメラを構えてって?何も無いじゃん?ハッタリ?


「ハッタリ乙!誰も居ないじゃん?」


「現像すれば解るから・・・」


えーと、まあハッタリだから見るだけ見るかな?


!!


「え?この子足が無い……嘘でしょ?」


「彼女は幽霊なんだ」


写ってるのは、紛れも無く幽霊だ。幽霊だよ・・・でも、だからこそ私は戦う!


「幽霊なんて、触れもしない女の子のどこが良いの?」


「彼女が傷つくから、それ以上は言わないで・・・」


幽霊女の心配!?むっかー!傷ついたのはこっちだっての!


「そんなモノばっかり撮ってるから腕も鈍るんだよ!」


「・・・」


何も言い返さないって・・・


「もういい、じゃあね」、



走って部室から出る私。廊下で一人泣きじゃくってる。


「うわーん!幽霊にキョウをとられた」


どうしよう?相手は幽霊だから、まだチャンスあるよね。。。何かいっぱい泣いたら、熱っぽいな。ってか体調悪いな・・・


「保健室で休もう」


保健室で休んでるとカコ君が来て私に優しく問いかける。


「どうしたんだ、アス?」


「ううん何でもないよ・・・」


「馬鹿何でも無い訳無いだろ?俺には話せない事なのか?」


「実は・・・」


私は想いの全てをぶちまけた。


優しい眼差しでじっと見つめるカコ君。長い話が終わると、カコ君は私を必死になだめながら、元気付けてくれた。


「話聴いてくれてありがとう。少しは楽になったよ」


「アスは何も悪く無いんだから、悪いのはキョウなんだから、気に病むな」



はー、アスにパンチラ写真の事ばれたな。どうするかな。


廊下を歩きながら考え事をする俺。そこに後ろからいきなり肩をグイッと掴まれた。


!!


「ってえ誰だよ?ってカコか」


「おいキョウお前の趣味ってさ、パンチラ撮る事だろ?変態!」


!?


「アスから聴いたのか?」


「いもしない幽霊にぞっこんだってな?2次元オタクよりキモイぜ!」


コイツ勝手な!むっかー!


「何も俺は悪い事してない!」


「ああ!?もっぺん言ってみろ?」


「うわ!」


カコは怒りに任せて拳を振り上げる。ボコボコにされる俺。「先生イジメです!」って女子生徒が職員室に先生を呼びにいって収まった。


「痛てーな、カコの野郎、何しやがるんだ・・・」



それから何日も、カコは俺を目の敵にした様にボコボコに殴りに来る。とうとう引き籠りになる俺。


「レンちゃん俺さ、ボコボコにされる。俺何も悪い事してないのに」


レンちゃんに話聴いて貰おう。何か解決の糸口になるかもしれないし。あれ?さっきから何も話さないな。


「なんで黙ってるのレンちゃん?」


「私の所為で、ごめん」


「何でレンちゃんが謝るんだよ?」


あ、そういえばレンちゃんも、同い年位だよな?まさかな?


「イジメられてるのは、私と付き合ってるからだよ?」


「ちょっと待って、別れるってのは無しだからね!」


レンちゃんは泣き出した。別れフラグなのか?


「・・・イジメって辛いんだよ、実は私はイジメが原因で自殺しちゃったんだ」


「初耳だよ。レンちゃんもイジメられてたんだ・・・何があったの?」


「男の子の取り合いしてて、私が勝ち取って、それが原因」


!?


ショックだ。レンちゃんに元彼が居たなんて・・・


「そっか、でも別れたんだよね?だってレンちゃんはもう幽霊だし・・・」


「うん、今はキョウちゃんだけだよ?でもキョウちゃんがイジメられてる原因が私なら、身を引くよ?」


「ダメ!それだけは絶対ダメ!」


「・・・」


沈黙にも色々な種類があるが、これは?


「じゃあ今度外でデートしよう、それから考えよう」


沈黙を破るのはレンちゃんからだ。取り敢えず大丈夫なんだよな?


「うん。じゃあ明日あの公園で待ち合わせな」



待ち合わせ場所に行くと、レンちゃんの横に男の幽霊が居る・・・嫌な予感しかしない。


「もう私の事は忘れて、実は彼氏もいるし」


って、適当に見つけてきた男の幽霊をさも彼氏らしく紹介するレンちゃん。騙されないぞ!


「えーと、やらせは良くないよ?」


「やらせじゃ無いよ?ごめんねキョウちゃん」


「いやさ?明らかに今捕まえた感じじゃん?」


男の幽霊はらしく振舞おうとしてるが、キョドってる。


「嘘じゃ無いよ!こんな事も出来るんだから」


!!


レンちゃんが他の男に胸を触らせてる・・・放心状態な俺。


「嘘だよね?レン?」


って問い詰めるけど、俺大丈夫だよね?


「ごめんなさい」


「いやだって、そんな、嘘だよね?」


嘘だろ?


「ごめんなさい。貴方とは遊びだったんだよ・・・幽霊と人間じゃ釣り合わないよ」


「嘘だ!」


無我夢中で走ってその場から去った。


嘘だ。嘘だ。俺のレンちゃんなんだ。きっと俺をイジメから守ろうとして、俺と別れるってポーズだろ?ダメだ。そんなのダメだ。


!!


考え事をしながら走っていたら、横からトラックが・・・



俺はトラックに跳ねられたらしい。意識が宙に浮いてる様だ。死んだのかな?俺も幽霊になるのかな?そしたらレンちゃんに触れるな・・・きっとさっきのは何かの間違いだろう。レンちゃんだって俺の事が好きな筈だ。


††


事故にあったキョウちゃんに会いに行く私。しかしカメラが無いから映る事も声が届く事も無い。


「キョウちゃん、ごめん私の所為だよね」


キョウちゃんは意識不明の状態だ。声は届かない。私は大粒の涙を流しながら一生懸命語り掛ける。


「私、嘘付いてた、私の心はキョウちゃんだけのものだからね。ん、ん」


キスしてみる。でも、感触は無い。でも心がポカポカになった気がした。


「お願い目を覚まして」



ここは夢か、幽霊になった訳じゃ無いんだな。俺はトラックに跳ねられたんだったな。この熱い感触は何なんだろう?凄く懐かしい。


ああ、そうか!俺が最初にカメラを買って貰った時に、綺麗なお姉さんが居て、写真を一緒に撮って、それから綺麗な想い出を残そうって必死になって写真の腕を磨いたんだった。


なんだ。俺は最初からレンちゃんに一目惚れだったんだ。俺が写真を撮る理由はレンちゃんだったんだ。



今キョウちゃんの瞼が動いた様な?目を覚ましたんだ!


「良かった、ごめんね私の所為で・・・」


「・・・」


「私以外の子を好きになってもいいんだからね?でも私の事忘れたら嫌なんだからね?」


「・・・」


「忘れない、覚えてる、ずっと、大好き、さよなら私のキョウちゃん」


††


俺は意識が戻ったのはいいけど、アスが見舞いに来て、バツが悪い。


「なんだよ俺を笑いにでも来たの?」


ビンタを張られた。


「現実ってか私を見て」


殴られて告白された。珍しい事もあるな。


「俺には彼女居るから、もう今は見えないけど」


レンちゃんは何で居ないんだろう?


「はあ?アンタ馬鹿?居ない恋人をずっと想ってるつもり?」


「悪いか?」


!?


ギュッと抱きつかれた。苦しいけど、胸当たってるけど、肋骨痛いけど。


「何だよ苦しいって」


「お願いだから私の事見て!きっと今彼女が居ないって事の意味考えてあげて!」


違う。


「今も、きっと、何処かで俺を見守ってくれてるんだ」


「報われないから身を引いた彼女の気持ちも汲んであげて!」


違う。


「俺の一番は譲れない」


「それでも私を見て!」


ダメだ。ダメなんだ。


「俺の初恋なんだ、だから、だから」


「いつか絶対アナタの一番になるから」


泣きだすアス。反則だよ・・・


「今は考えさせてくれないか、答えは出すから」


「分かった、私の事好きにさせてみせる」


††


それから、暫くして退院した俺。


今日は久々に登校する。


-学校-


カコが来て俺が事故にあった事を聞いて、イジメてた事を謝ってきた。


「悪かったな」


「気にしてない」


「そか」


「ああ」



-放課後写真部-


「あー、あのさアス、俺写真部やめる」


「そっかうん、他になにか見つかるといいね」


レンちゃんの事がトラウマになってる。っては流石に言えないしな。


「じゃあ、私も辞める空手の方にも力入れたいし」


「そっか、じゃあ写真部解散だな」


「じゃあさ、解散記念に今日はどっかで一緒に遊ぼう」


「学校終わったらファミレスに集合な」


こうして何となくだけど、距離を縮める俺達。


「ってか、この前言ったけど絶対振り向かせるからね?」


「お好きにどうぞ」


†††


-それから20年後-


レン。俺達の娘。今年15歳になる。


ある日レンが俺の書斎からある写真を見つけた。


日付は20年前だ。だが20年前の写真なのだが、そこには、レンの姿が映っている。


「あれ?この写真?」


「どうしたレン?」


「何でこの写真レンが映ってるの?」


「レン写真でも撮るか?」


「うん撮る撮る」


紫陽花の花が綺麗に咲いてる近所の公園に向かう俺とレン。


パシャ!


「わー凄い紫陽花綺麗」


「そか喜んでくれて良かった」


20年前もこんな景色で、初恋の子と写真撮った事を思い出すなぁ。


「パパ覚えてる?」


「どうしたレン?」


蝉時雨が木霊する。木々が震える。


「んーレンちゃんね大きくなったらキョウちゃんのお嫁さんになるのーー」


そこには、初恋の子が、昔のままの姿で立っていた。


「嬉しい事言うなレンは」


「何言ってるの?20年前に約束したよね?あー帰ったら一緒にお風呂入ろう!昔みたいにねー」


振り返るレンの顔は、あの頃の悪戯っぽい顔だった。


「え?レンちゃん!?」


「ママは今日遅いから楽しもうね?キョウちゃん!」


「え?ちょっ。レンちゃん!?」


「だって私ずっと好きなんだよ?」


ーfinー


後書き


初恋は実らない。このありきたりなフレーズを聞いた事はありますか?


初恋ってのは忘れられない想い出ですか?


言葉には上手く変換出来ない心情。だけど綴ってみた。


叶わなかった初恋。初恋の人を重ねた幽霊のヒロイン。初恋は一目惚れだった。うーん、甘酸っぱい青春だった。10年以上忘れられ無かった。まるで幽霊の如く俺の心に生きる初恋相手。


彼女以外を好きになったら悪い事が起こるから、って呪いの様に思ってた。あの頃の俺、結局2番を選ぶんだろうな?って感じでこの小説に想いを乗せて、でもいつか初恋相手に再会した時にカッコイイって言われたいって願望を込めたラストシーンにいました。


ずっと永遠に愛してるつもりだった。忘れる事だけはしないってのも主人公は俺を投影してます。


ーーーー


追加修正しましたので後書きもパワーアップ!してみるテスト!レンズ2やるかも?こうご期待!

こうなんての?男のやるせなさ全開のやつ書きたい!初恋は実らないのがテーマ!でさ?

いやさ?初恋の人がこれ読んだらヤバいだろ?いい加減忘れないとな!片想いしている人は、メンタル面注意な!結構気の毒な人多いよ?方想い続けてる人。いつまでも独身で周囲の目気にしない。まあ僕もその一人なんだが・・・10年20年30年・・・思い続ける事で報われるならいいけどさ?大半の人は報われないじゃん?ならいっそ行動あるのみって感じじゃね?この物語では、アスは行動して結果初恋の人を射止めてるからさ?「愛は行動」って先輩の言葉だけどさ?まさにそれなんだよな!僕にも行動力欲しい!


ーーーー


でもさこれさ?実はさお前のロリコン部分の現れのラストじゃね?どうなの?初恋の子と同じ顔の小さい子


からカッコいいって言われたいとか?お前の願望やばいだろ?


ちょっおま半年ロムってろwwwそこまでストレートに言わんでも良いだろ?


ってか作者はやっぱりダメダメだな?


おおうwwまあいいじゃん?


-fin-

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