第18話 恋人初心者

「それで、どうして今度は公園でソフトクリームを奢らいといけないんですか?」


「無論ウチが食べたかったからですよ~」


 ベンチに座って何を可愛く語尾を伸ばした所で嬉しくもない。

 嬉しく無いからな。


「これのどこが恋人を教えるのに繋がるのやら……」


「はい、書記さん。一口食べてください」


「食べてくださいって、君が食べてたソフトクリームを?」


「はいそうですよ。恋人同士がひとつのソフトクリームを食べ合うなんて最高じゃあないですかぁ~!」


 よくあるベタなシチュエーションだけどね。


「食べれるのは嬉しいけど、間接キスになるぞ」


「……あっ…!?」


 その一言で完全に石像の如く動かなくなった彼女に、声を掛けてみる。


「大丈夫ですか?」


「な、な、な、何でもありません!! それより、もうひとつストロベリー買ってきて下さい!」


「分かりましたよ」


 駆け足でソフトクリームを買いに行くのを内心文句を言いながら向かう。


「ありえない……ありえないのです! ウチがたかが間接キスという言葉だけで、ドキドキするなんて……ありえないのです」


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