第16話 書記に彼女が出来ました
俺はなぜか目の前にいる女子生徒にパンケーキとミルクティーを奢っていた。
こっちは、水だけどね。
「それで、どうしてこの写真を送って来たんですか?」
「どうしてだと思いますか?」
「大スクープだから……とか?」
学校の美人2人と電話番号を交換している写真だ。
新聞部に渡せば、大スクープとなって男子生徒の注目を浴びる事となるし、下手をすればあの2人も巻き込まれる可能性がある。
「良く分かっているじゃないですか。さすが生徒会長の偽の恋人候補ですね」
「どうしてそれを!?」
偽の恋人役の話は生徒会長と俺しか知らないはず、なのにどうして緑原さんが知っている?
生徒会長がわざわざ話す事はまずないだろう。
だとすれば、盗み聞きか?
「悩んでいますね? でもご安心を、偽の恋人役の提案をしたのは、ウチなんで」
「へっ?」
「最近だと、映画のチケットが当たった……とかね?」
「まさか……」
「それに、副会長に書記さんがデートに誘われてるなんて言って生徒会室に向かわせたのもウチなんで」
「まさか君が、全て仕組んだのか!?」
「まぁ、口喧嘩になったのは予想外でしたけど」
「どうしてそんな事を?」
「だって、面白いじゃないですか?」
「面白いだと?」
「そうですよ。面倒で最低限他人としか関わって来なかった男子生徒が、ある日美人のヒロインから手紙を受けて偽の恋人役として演じる内に2人は恋に落ちる……なぁんてね」
「人を弄ぶのも大概にした方がいいと思うよ?」
「まぁまぁ、落ち着いて下さい。そこで、お願いがあるんです」
「お願い?」
パンケーキを食べ終わると、フォークを俺に向けて話し出す。
「この写真を新聞部に渡されたくなければ、ウチと付き合って下さい」
「はぁぁ?」
この選択肢が決まっている状態で拒否する権利は俺に無いだろう。
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