第15話 まだ帰れない

 2人を駅まで見送り、そっと静かに財布の中身を確認する。

 余分に持ってきたが、もう財布にはほとんど入っていなかった。

 今月はかなりピンチになりそうだが、楽しかったし、それはそれでよしとしますか。


「さて、そろそろ俺も帰るか……?」


 帰宅しようと時間を確認するために起動した携帯に突然のチャットが届いた。

 写真付きらしく、気になって開くことにする。


「なっ!?」


 開いた写真には、さっきのカフェで電話番号を交換していた時の写真がばっちり撮られていた。

 こんな写真を送って来たのは、いったい誰だ?

 チャット欄の名前を確かめると、同じ生徒会の仲間である会計だった。


「さっきのカフェに集合……だと?」


 用件からして、あの写真の事だろう。

 一応、行かずに放置するという手もあるのだが、後が怖いのでとりあえず行くことにした。


「あっ、お疲れ様です。書記さん」


 片手を振ってカフェの入り口付近に居たのは、平均の女性より少女のように身長が低い学生服を来た女子生徒が出迎える。


「どうも、久しぶりだね。緑原みどりはらさん」


「はい。久しぶりですね書記さん!」


 片目が隠れている短髪の髪を揺らし、アイドルのような笑顔を向ける。

 愛らしい笑顔だが、写真について聞き出さなければいけない。


「それで、用件なんだけど……」


「まぁまぁ、それはカフェで話しませんか? もちろん書記さんの奢りで」


 何でカフェを誘ったか理由は、だいたい分かったが、腹立つなこの野郎!


「分かったよ」


 今月も来月も財布がピンチになりそうな予感がします。




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