第6話 謝罪の気持ち

 昨日、あれから謝罪の気持ちを伝えてくるとは言ったものの、この一週間生徒会室に会長が姿を見せる事はなかったし、伝えようにも同じクラスではないから、呼び出す訳にもいかず、放課後まで来てしまった。


「さて、どうしたものかなぁ~」


 結局今日も生徒会長に会う事もなく報告書をまとめるために職員室へ向かっている途中、仲の良さそうな男子生徒2人とすれ違う。


「また、生徒会長告白されるらしいぜ」


「まじかよ! どこで?」


「確か、中庭だったかな」


 そういや、中庭ってこの廊下の窓からちょうど見えるな。

 そんな事を思いながらも男子生徒2人が雑談しながら階段へ向かって行くのを確認してすぐに窓の外を覗き込む。


「……」


 複数人の男子生徒がどうやら生徒会長に告白しているらしい。

 そこには、周囲に野次馬が囲んでいた。


「確かに嫌そうな顔をしているな……」


 遠目からでも腕を組んで視線を逸らしているのが分かる。

 これは、以前生徒会長がイベントの催し物を考えている時に生徒会長が関係した催し物が案に出た途端にしていた仕草だ。


「嫌な時の仕草……あっ!?」


 生徒会長があの時、俺と話していた時に一度でもあんな風な表情や仕草をしていた事なんてないじゃないか。

 彼女は、彼女なりに俺と真剣に話をしたいがために何度も見てきた生徒会長自身の字で書いた手紙を俺は、知らない子からの手紙だと勝手に思い込んで……。


「俺は、なんて馬鹿なんだ!」


 廊下に居たはずの俺は、いつの間にか階段を掛け降りていた。

 これが俗に言う身体が勝手に動いたというやつなのだろうか。

 そんな事よりも今は、副会長が言った通り謝罪する良い機会だ。

 野次馬が居ようが告白する奴らが居ようが関係ない。

 やっと、会長を見かけたんだ逃す手はないだろう。

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