第4話 何でも承諾するような男じゃない
まさか、美人生徒会長である
「なるほど。それで自分しか男子生徒の友達が居らず、仕方なく選んだ訳ですか?」
「その通りよ」
そうはっきり言われると傷つくのですが。
「まぁ、確かに偽の恋人役を引き受けて毎日会長と話せるのは個人的にはかなり嬉しい事です」
「そうでしょ? こんな綺麗で可愛い私なのだから当然引き受けて……」
「ですが、それは会長がただ書記である自分の気持ちを考えずに利用するだけを考えているのでは?」
「それは……」
まぁ、だいたいそうだろうと思っていたさ。
下駄箱に手紙とか何十年前のやり取りに浮かれて春の訪れが来るなんて一人で舞い上がってその結果が偽の恋人役をしろだと?
確かに、生徒会長は美人だ。
だが、だからといって、俺は可愛くて美人の頼みを何でも承諾するような男じゃない。
「なら、はっきり言いましょう。俺は、会長と偽の恋人役を引き受ける気はない」
「た、確かに嘘の手紙まで出して呼び出したのは悪いと思っている」
「悪いと思っているのなら、最初からしなければいいだけじゃないですか?」
「そ、それは……」
「とにかく、俺はもう帰ります。これからは、友人ではなく、ただの生徒会長と書記の関係でいましょう」
席から立ち上がり、扉の前まで進む。
引き戸に手を掛けた瞬間、生徒会長が震える口で声をかけた。
「な、なら、もし正直に君に話していたら、引き受けてくれたの?」
「例え、正直に話していたとしても、断っていたでしょうね。まだ友人として、ですけど」
「書記く……」
引き戸を開けて一直線に廊下から帰路へ走って行く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます