25話:東京五輪とウクライナ、シリア問題

 東京は2016年大会で、2回目の決選投票で、1964年以来56年ぶりの夏季五輪開催にこぎつけた。安倍晋三首相は「状況はコントロールされ、東京にダメージはない」と訴え、福島原発の不安一掃を図った。


 11月8日、フィリピン中部を超大型の台風30号が直撃し、レイテ、サマール両島を中心に甚大な被害をもたらした。死者と行方不明者は合わせて7500人を超え、被災者総数は1220万人を上回った。


 両島には日本人133人が居住しているが、外務省は全員の無事を確認した。日本はフィリピンの被災地に自衛隊員約1180人を投入し、物資輸送や医療・防疫など国際緊急援助としては過去最大規模の活動を展開した。


 2014年、佐野達夫は、12月22日、昼過ぎ、横浜中華街のS飯店に入り、佐野家の両親と2人の子供の計6人で忘年会を開き、今年の旅行などについて雑談した。


 ケアハウスの建設については、中心となるNPOや社会福祉法人、役所の補助金許認可の問題が、残っていて、決定に至っていなかった。数日後、2015年となった。2015年は、初詣に近くの神社に行き、家内安全を祈願していた。2014年、ウクライナで2月に親ロシア派のヤヌコビッチ政権が反政権デモで崩壊した。


 そして、親欧州連合「EU]派政権が発足、それを受けロシア系住民が多数を占める南部クリミア半島にロシアが軍事介入し3月に編入に踏み切った。武力を背景に領土拡大を強行したロシアの行動に冷戦後の国際秩序は大きく揺らいだ。その後、戦闘は激しさを増していった。


 ウクライナ東部でもロシアが後ろ盾の親ロ派武装勢力と政府軍が激しい戦闘を続け、死者は4000人を超えた。7月には東部上空でマレーシア機が撃墜され、298人が死亡する悲劇も起きた。


 ヨーロッパ、アメリカ、日本は、ロシアが事態収拾に応じていないとして制裁を発動した。イスラム過激組織「イスラム国」が6月、イラク第2の都市モスルを制圧。指導者のバグダディ容疑者をカリフ「預言者ムハンマドの後継者」とする「イスラム国」の樹立を宣言した。


 シリア内戦でアサド政権の統治が及ばない北東部やイラクの北西部で活動し、少数派や他宗派の迫害などの残虐行為を続けた。米軍は8月、イラク領内でイスラム国を標的とした空爆を開始。オバマ政権は有志連合を形成し、9月に開始したシリア空爆にはサウジアラビアなどの中東諸国も加わった。


 イスラム国は、3万人超の戦闘員を擁するとみられ、壊滅には、かなりの時間がかると思われた。さらに、シリアでは、2012年頃から自由シリア軍は拡大を続け、やがて内部でも意見が対立。


 武闘派の急先鋒に立った人々は、政権打倒を掲げ、自由シリア軍から独立する形でヌスラ戦線という過激派組織を結成した。自由シリア軍とヌスラ戦線の台頭によりアサド政権と政府軍に壊滅的な打撃を与えた。


 一方、アサド政権もロシアやイランの後ろ盾を受け反撃に転じた。さらに政府軍側のシーア派過激組織であるヒズボラもこの内戦へ参戦することとなりました。これにより、両陣営の過激派組織が台頭し、参戦したことで戦況が激化。シリア国内を混乱へと陥れることとなりました。


 これをさらに混乱させたのが当事勢いを増していたイスラム国「IS」の介入。イスラム国はイラクを拠点としていたスンニ派のイスラム過激派組織。世界的にも猛威を振るっていたがシリア内戦にも介入し支配地を広げようと画策。


 イスラム国が内戦に介入した事で、アサド政権政府軍、反政府軍、イスラム国という三つ巴の戦いが内戦を泥沼化させた。シリア国内は各地で戦火が起き抵抗する力を持たない国民は、大量の難民となってあふれ出した。


 しかし内戦の中には長期化し、アサド政権政府軍と反政府軍だけでなく、その後ろ盾となっていた欧米諸国やロシアを敵に回してしまった。そしてイスラム国は集中的に攻撃を受けることになり実質的な崩壊へ向かった。


 それでもイスラム国がシリアに残した傷跡は悲惨なものとなった。またこのイスラム国の崩壊により、勢力図に変化が起こった。これまで三つ巴だった戦いは、再び政府軍と反政府軍の戦いの形になった。


 しかし、同時に政府軍を支持するロシアと反政府軍を支持するアメリカとの対立構図へと変わってしまり、戦いは長期化した。

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