いずみ野のきら星

13話：リーマンショックと福祉アパート建設

　２期連続の２けたマイナスは戦後最悪の状況と言える。主な要因は輸出と生産の急減。これにより企業収益が悪化し雇用不安や賃金の低下で個人消費も冷え込んだ。

　さらに、日本航空にも昨秋の金融危機後に業績が一段と悪化し経営危機に陥った。需要の激減が響き２００９年３月期の連結決算で電機大手８社は合計２兆円超の純損失を計上。

　トヨタ自動車も純損益が２兆円以上悪化し約４３６９億円の赤字に転落。各社は過剰な在庫の絞り込みに加え経費の圧縮を迫られた。ソニーが１万６０００人の削減に踏み切るなど、雇用不安は非正規労働者に留まらず正社員にも波及。

　この頃、佐野達夫の住む、横浜でも生活保護を受ける人が、急増した。その内訳は、不況でリストラされた人たちと年金の少ない高齢者、シングルマザーだった。

　この影響は、瀬谷区でも大きかった。その状況を見て、飯田商会では、後継者不在の高齢化した農家の人達に現状渡しで古家付きの農家を購入し始めた。

　５００坪以上の土地を２か所、それぞれ３千万円、合計６千円で２００８年１２月に購入し、夫妻の大きい農家に、現金を渡した。２００９年２月２４日、早朝、証券会社の担当者から電話、入った。

　オリックス株の気配値が、１９２１円と安いので、買いと言われ、４万株ずつ佐野夫妻が合計８万株を２.３億円で購入し、２人の残金が１.７億円となった。

　２００９年３月初旬、横浜市の福祉課から連絡が入り飯田商事に電話が入った。用件は、飯田商事の所有地にアパートを建てて生活保護者や貧しい高齢者、シングルマザーに安く貸してもらいたいのでぜひ協力して欲しいと連絡が入った。

　そこで、具体的な話を聞きに、佐野達夫に言って欲しいと、父から頼まれて横浜市役所に出かけた。そして、今まで、建築したアパートの図面を見せてもらった。

　この制度は、横浜市は国の「地域優良賃貸住宅制度要綱」に基づき民間事業者と協力し高齢者世帯が安心し格安家賃負担で入居できる賃貸住宅を供給するため「横浜市高齢者向け地域優良賃貸住宅」制度を実施。

　整備費の一部補助、家賃減額補助により民間の土地所有者等が整備したバリアフリー住宅を公的賃貸住宅として活用。最寄りの鉄道駅から徒歩で概ね、２０分以内である事。

　「バス交通等によりこれと同等の利便が確保されている圏内を含む」敷地から徒歩で概ね２０分以内に医療施設及び生鮮食料品・日用品等の販売を行う店舗等があること。

　最寄りの鉄道駅や医療施設、店舗に至るまでの道路に、入居者の歩行に支障をきたす坂や階段がないこと等。その他、整備費補助として３階以上で住宅建設費の１／６、または１，２階で１／９を補助する。

　住宅の内容は、５戸以上「共同建か長屋建て」、バリアフリー仕様、２５平米以上、緊急通報設備を就寝室・便所・浴室に設置。入居対象者は、高齢者「６０歳以上」単身世帯・高齢夫婦世帯等。

　市内在住または在勤の方、収入計算後の世帯月収額が３８万７千円以下の方となっていた。飯田商会がを購入した５００坪超の土地を１か所に木造３階建を建設の計画をたてた。

　以上の条件に、あてはまり、飯田商会が、直接、または、地元の不動産屋に維持管理をお願いすることであった。飯田商会でも横浜市の地域優良賃貸住宅制度を利用できないか佐野達夫が、市役所へ行って交渉をしに行った。

　すると地元の不動産屋で維持管理をしてくれる所があれば、可能だと言われた。そこで候補となる不動産屋Ａ社とＢ社に電話して、訪問予約を取り出かけて交渉に臨んだ。

　すると両社とも承諾してもらったが、Ａ者の方が歴史が古く、株式会社であること、社長の人柄が、真面目そうなので、こちらに決定した。すると、アパートの建設工事も請け負う条件で受けますと言ってくれた。

　その後、ＲＨ建設がアパートの建設を請け負うと伝えてきた。土地の整地料金と敷地面積２０５坪、建坪総３階建て１室５０平米で合計２４室、建坪４０８坪を２棟で８億円で建築してもらう事で決定。

　横浜市から建設費８億円の１／６の１.３３億円が補助され６.６７億円で建築できる事になった、これで４８室を供給できる。家賃を単身者３，４，５万円／月、２人で６、７，８万円とした。

　この条件で公募すると飯田商会への電話が頻繁にかかった。年収、身分証明書、入居理由などを書いてもらった。高齢者、人数、年収、入居理由の順番に、入居者を選択した。

　すると高齢の妻帯者で一番多い。中には、障害を持つ３人兄弟が５組含まれた。そこで３人の場合は、８万円に統一した。４０日後の２００９年１０月２０日に最終決定し入居した。