第23話 『次の日』
1日経って俺は柔らかいベットを名残惜しく思いながらも起き上がった。
「あ、起きたんだ。 ゴメンね、途中で寝ちゃって」
「おん? ああチズ、起きたのか。 別に気にしなくていいよ、ソレより体に異常はないか?」
「うん、まあ今の所は異常ない、かな?」
「そうか、んじゃスバル起こして飯にしよう」
俺は言いながら椅子にチョコンと座って見守ってたらしいチズを抱き上げると扉を開けてスバルを寝させた部屋に入った。
部屋には棺桶のゾンビみたいに静かに眠るスバルが、最初は少し不気味だったが数日で慣れてしまった。
コイツを起こすのにコツなんてない。
大きな音じゃまず起きないコイツに目覚まし掛けたり耳元で大声出したりは無駄努力、起こすときは静かに、凄く静かに強烈な異臭を嗅がせてやればいい。
俺は固有空間からボロボロの汚い雑巾を取り出してスバルの鼻に押し当てた。
人間の俺でも鼻が曲がるような悪臭だ、元来鼻の良い蟻種の上位互換みたいなスバルには天変地異にも等しい厄災だろう。
実際、穴で過ごしてた頃は3番とよく行動を共にしていたがその業務に付き添う過程でコレの効力はヒシヒシと実感している。
なにせ、、、
「かっぐっほあぁぁぁぁぁ⁉︎」
あの見栄っ張りで弱みを見せるのが嫌いなスバルが目をカッ開いて外聞もなにも関係なく絶叫しちまうんだからな。
「よっ! 起きたなっ!」
「は、ハルよ! 3番は居らんのじゃから少しくらい多めにみてくれても良かろう!」
「いんやダメだな、スバルは甘やかすと際限なくダラけるから厳しくするようにって言われてるんだから」
「そうだよ〜 スバルは直ぐ甘えるんだから〜」
「ち、チズまでっ⁉︎ そんな殺生な、、、」
「ほらほら、起きたらすぐ出るぞ!」
「む? 行く、? ああ、そういえば今日は、、、」
「そうそ、色々あって後回しになっちゃったから結局今日やることになったけどギルドに登録するぞ〜」
そう言った俺は宿を出ると少し遠くに見える大きな建物を手で太陽光遮りながら見やる。
色々と立て込んだから結局翌日ってことになっちゃったけど本来は初日で済ませたかった。
ギルドってのは全世界に展開する様々な分野の統括機関だ。
討伐師ギルドとか商業ギルドとか魔術師ギルドとか大手の世界的に展開するギルドもあればエリアス教ギルドって所みたいな宗教団体の国家規模で展開するギルドとか街規模の小さなのもある。
大手のギルドは待遇がいい分選考が厳しいのが特徴だ。
特に俺たちみたいな信用や人脈の薄い連中は大手じゃ門前払いされてしまう。
そうゆう連中や分相応に小さな店を運営したい人とか街の警備員とかは街規模の小さなギルドや入っても国家レベルまでだ。
俺たちが足を踏み入れたのは街規模のギルド。
名前はジハードギルド、確かサウジアラビアか何処かでの討伐を指すはずだ。
つまり魔獣とか魔虫、魔族を相手にした討伐を受け持つギルド。
小規模だけど街規模だから周辺の討伐状況とかに関しては大手よりも詳しい。
街を出ないならここの方が便利だろう。
まあ報酬とかは大手ギルドの方が良いんだろうけど。
「すみませ〜ん、登録をお願いしたくて〜」
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