第22話 『ボスとの交渉、、?』

「肝が座っとるのは結構じゃが、あまりふかした態度を取っていると知らんぞ人間?」


「そんなこと言うなって、な? 俺もアンタと同じ穴のムジナなんだからさ!」



 俺はそう言いながら逃げる人々を横目で見る。



「どうゆう意味だ、? 我と主が同じだと? 挑発なら相手を選べよ小僧、、、?」



 深い怒りを包み隠すような震えた声で言ったボスは宙に浮く連中に目を向け指を鳴らしてみせた。


 瞬間、俺らに背を向けてた連中が空から降ってきた巨大な影に潰され絶命する。


 絶叫と俺への怒号が一瞬聞こえて途絶えた。


 どうせ誰かが何とかしてくれる、とでも思ってるんだろう。


 こう科学が発展すると人は社会に依存するらしい。


 日本にいた頃よく面倒臭い友人が話の種に持ってきたソレは多分テレビか本の受け売りだったんだろう。


 でも俺はその考え方が嫌いじゃなかった。


 だってそうだろ?


 今だってそうだ、自分を守ってくれた人間を罵倒して当たり前と思ってしまう大衆心理。


 誰かが助けてくれるってゆう曖昧で希望的な考え方。


 自然に生きてそんな考え方をするのは人間だけだ。



「俺は別にアンタを邪魔したいわけじゃないんだ。 ただ言ってんだよ、敵に回さない方がいい、って」


「どうゆう意味だ?」


「分かんないのか? アンタだって厄災と敵対したいわけじゃ無いだろ?」


「厄災、? なんの話だ?」


「気付いてなかったのか? たしかに隠すように言ってるけど気付けないことはないだろ」



 俺は言いながら後ろを指す。


 そこにはスバルが、普段の態度で忘れそうになるけどコイツは今代の厄災だ。


 スバルを見つめ目を細くしたボスは一瞬目を見開くと直ぐに平静を取り戻して溜息を吐きながら傅く。



「済まない、厄災の家畜小屋とは知らなかった」



 そう言って直ぐに立ち上がり撤退命令を出して飛んでった。


 知能の高い魔物はシバシバ自身の街を作ることがある。


 食料の自動供給をするためだ。


 もちろんこの街はスバルの物じゃない。


 正真正銘ここの領主のもんだ。


 だが、客観的に見て厄災が街にいて襲撃した魔人のボスと対面してる構図は厄災がこの街を守っているように見えるだろう。


 別に考えてた作戦とかではないけどパッと思いついた中では最適解だろう。


 俺たち以外みんな逃げたんだから目撃者だっていないし。



「帰ったの、ワシそんなに怖いかの〜?」


「はは、まあ厄災の件で敏感になってる人間と厄災の軍勢いっぺんに相手取るほど命知らずじゃなかったってだけだ。 部屋戻ろうぜ? 誰もいなくなったことだし」


「うむ、そうじゃな。 しかし驚いたぞハル! まさか群衆の対処をしながら厄災のボスを呼び寄せるとはのう!」


「どうとゆう事もないさ、ただシグナルを送っただけだし」



 俺は言うと宿に入って部屋へ向かった。

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