第21話 『災厄の再現』
なあ、これからどうする?
そう聞こうとした俺は言葉を飲み込み無言でスバルを見つめる。
「、、、のうハルよ、奴を知っているんだろう? 申してみよ」
重く響く声で言うスバル、そう。
俺は奴を知っている、見た目も口調も歩き方や気配。
何もかも違うけど何故かわかるんだ、アイツは、、、
「いや、しらねぇよ、、、」
「そうか、分かった。 それで、今からどうするのじゃ? チズも寝てしもうとるが?」
顔の陰りを消したスバルが聞く、本当に物分かりの良いやつで助かるな、、、
「そうだな、取り敢えずは、、、」
「いや良い、言わずとも分かる。 憂鬱じゃな、後始末など、、、」
「そうだな、正直言って超メンドイ。 まあとは言っても放って置ける騒ぎじゃ無いしな」
「ソレは分かっとるんじゃが、嫌じゃのぉ〜 後始末なんぞ」
「そうだな、早く終わらせちまおうぜ」
俺は言いながらドアを開け、宿の主人と思われるずっとドアを叩いてた男に会釈して一階に降りた。
エレベーターで降り宿を退出した俺の耳と目に叩きつけられる人人人、、、
そう大きくもない道を埋め尽くす百余りの人間が怒声を上げ、かと思えば感謝を告げ、様々な声を俺にぶつけてくれる。
これを治めるまでが街中で戦闘をおっ始めちまった俺たちの責任って奴なんだろう。
怒声は魔人やチズや俺の余波で店とか家を吹っ飛ばされた人とか軽傷や重傷を負った人、他にも警備員とか色々だな。
感謝してくれてんのは全体の1割もいないくらいかな。
社会は理不尽だ、なんて今更言う気も無いけど温室育ちのバカに何を求めていたのかって少し自分が馬鹿馬鹿しく思えてしまう。
こんな連中が、助けられたからと感謝するだけなんて安易だったよな。
警備員とかは単に仕事を奪われて御立腹な感じか、勝てもしないのに営業妨害も無いだろうに、、、
「え〜っと、俺はハルって者です。 今回は、まあ周囲に気も使わず済みませんでした」
俺は何で謝ってるのかイマイチ分からないまま言って軽く頭を下げる。
それを見て自分方が上だとでも思ったか、半数以上が更に盛り上がる。
壊したのは殆どが魔人だけど、まあ皆んなそんな正論に興味はないらしく、、、
やれ「家を弁償しろ」だの「慰謝料払え」だの「あなたが何もしなければ我々警備の者が迅速かつ損害なく対処したんだぞ!」とか、、、
ネットを思い出すクソな奴らを下げた頭で見上げると、、、
「そうですか、勝手を言ってくれますね。 そうですか、では、やってみて下さいよ?」
俺は頭を上げながら嘲るように言うと、スバルを見やる。
スバルは軽く頷くと指を鳴らした。
「奴の長が群れを率いてきたらしいのう、行かぬのか?」
注目を集めたスバルが言いながら指す先、空には数十の同じ魔人が飛んでいた。
少し説明すると、、、
あの鹿はグラヂュールって魔物だ。
コイツがかなり厄介な奴で数十の群れを作り行動する。
群れのボスは配下が死ぬとタイムラグ無しで感知し、正確な場所を把握できる。
そしてグラヂュールはボスに忠実だ、ボスが命令しないのに街を襲ったりしない。
アイツみたいな下っ端が来るってことは、此処は既に狙われてた訳だな。
そして、偵察に出されるのが1匹である筈がない。
その証拠に、空を飛ぶ鹿どもを黒い煙が妨げている。
町の各所で同じのが暴れたのだ。
そして何匹倒されたか知らないけど、ソロソロ奴らが動くだろう。
そう俺が考えた瞬間、浮いていた集団が消え僕と真反対のところで、爆発音が鳴り響いた。
そしてボスは、、、
「お前か、儂の子を殺したのは?」
「「「「「「「「「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」」
俺の眼前、数人を押し潰して言ったグラヂュールのボスは俺を見据える。
対する俺は恐怖し逃げ出した奴らを見据えながら、、、
「ソイツらがアンタを迅速に殺すそうだぞ」
と、軽く助言してやった。
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