第4話「Loveデート」

昼食を済ませた後、冬姉とショッピングに行った。

どこに行きたいか聞いてきたので、ゲーセンと答えた。

近くショッピングモールにあるゲーセンはアーケードゲームが減った。その代わりにUFOキャチャーやリズムに合わせて叩く音ゲーやメダルゲームが主流となった。

俺はゲーム好きだ。スマホでするアプリは無料だが課金要素が強くゲームをしてる感覚にならなかった。だから、時々はゲーセンで羽を伸ばしている。結局はお金を使ってるわけだが。

「大地君あのぬいぐるみ取って!」

「どれだよ」

「やわやわ人形」

最近流行りのやわやわ人形。戦車や航空機や戦艦と言った軍事的な要素を加えてあざらしのようなマスコットで売りに出している。

「それじゃぁ、取るよ」

そう言って、俺はやわやわ人形ではなく、その隣にあった戦隊物の人形を取った。

「もう、それじゃないってば!」

「これもかっこいいだろ」

冬姉はがっかりとしていた。

「でも、上手だね。私、こういうところあまり来ないから、大地君が楽しそうで良かったよ」

俺は冬姉に楽しんで貰いたかった。

彼女はさっきから、俺のすることを見ているだけだった。

何か一緒にできるものはないかと考えた。

「冬姉、プリクラを撮ろうぜ」

「私、それやってみたかったんだ」

最近のプリクラは肌、唇といったメイク補正ができる。派手な加工も楽しめる。

また、ハートや絵柄付きのフレームといった背景も付けたすことができる。

俺と冬姉はプリクラの中に入った。密着する感じがして胸が高鳴った。

撮り終わったあとに冬姉は写真に何か書いていた。

「はい、どうぞ」

手渡されたものをみると『大地君Love』と書いてあった。

それと小さな文字で『家族Love』とも書いてあった。

冬姉の顔を見ると少し照れた様子だった。

「冬姉はさ、なんで俺の家で住み込みとして働いてるんだ?」

「私、両親から勘当されちゃったの」

「なんで?」

「私、今二十歳なんだけど、二年前に駆け落ちしてね。家を出たのよ」

こうして、俺の家で住み込みをしてるということは上手くいかなかったのだろう。

これ以上は深く掘り下げることは言わないことにした。

「だから、私は大地君とも仲良くなりたい。それに大地君のお父さんとお母さんとも」

冬姉の手が震えてた。恐らく不安なのだろう。自分がいる立ち位置が不安定でいつ店をやめてもおかしくはない。うちの店が今は繁盛してるがこの先どうなるかわからない。

そうなった時は彼女の行く当てがなくなる。

俺はプリクラに文字を書いて冬姉の頬に貼り付けた

彼女は『わぁ』と驚いたものの俺の書いた文字を見て『ありがとう』と笑顔だった。

『冬姉は家族』と書いた。

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