第14話 べくとる




 


 再開の連絡を受けたカヨさんは、

 ――ええっ?!

 自分の意外な反応に驚きました。


 3月1日からオンラインでの交流に変わっていた会を旧に復す。

 以前のカヨさんだったら、もろ手を挙げて歓迎したはずですが、

 ――なんで? せっかく変革のチャンスだったのに。

 残念な思いが先立ったのは、4か月の距離を置いている間に、会や組織の在り方を考える余裕ができ、ベクトルの方向性が変わってきたからにちがいありません。

 

 こんな場面、どこかで見たような。

 糸を手繰り寄せてわかりました。

 かつてスタッフと仕事をしていたころ、年末年始やゴールデンウィークなど長い休み明けの初日は、決まって、みんなの視線が少しひやひやしていたような……。

 じつに遅ればせに、あのころのスタッフの気持ちに思い至ったカヨさんです。

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