第28話 ゲテモノ喰い - 1
ウサギというが、その実この生物は肉食なのだと分かったのは、ギースが皮を剥いで切って内臓を出してさらにはその中身がポロリしたからである。
(斬撃の魔術回路が組まれてる。ただの包丁にするには大仰だ。曰く付きなのだろうね)
切れ味が良すぎる包丁はなにがしかの魔力を帯びているらしく、ちょっとかすっただけで切れてしまった。
中身は………あの、恐怖の食人花だった。
神様が言うにはこの花は生きている肉らしいので、肉食と言えるだろう。
花肉という言葉を思いついた。神様の顰蹙は買わなかったのでギャグセンスをみがいてもいいかもしれない。
それにしても全く溶けていないあたりこの花の生命力がわかるというものだ。
「気ィつけろよ食われるぞ」
「んー…」
俺は向日葵のように開いた双葉のしなっているのを引っ張った。
形からしてあの時のアレとは違う。口部分はザクロのように瑞々しく紅い。
「これ、食えるかな」
「…いや無理だろ……ブレンシアだぞ」
「無理?」
「……………………」
「…出来ない?」
首を傾げて、見上げる。
………だめ?
「………だーっクソ、やりゃいいんだろやりゃァ! 今回の主人はゲテモノ喰いかっての!」
やけクソ気味に茶髪を掻いて、それからの行動は速かった。
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