第23話 タコ風呂
そんな感じで温泉へ。
彼はホクホクとした表情…というか、表面がビビッドピンクに染まっているのを隠そうともせずに俺を案内してくれる。
テントを三つほど過ぎるとあったのは、俺の知るものとは違う温泉だった。
……地面にボコボコと人間大の穴が空いててそこに湯が湧いてる、っていう…自分で言っていても信じられないが事実だ。
(初めて見たなぁ、皮膚の触覚も借りるよ)
神様も温泉(……)には興味がおありのようである。
俺は新感覚な温泉を満喫して、しっかり風呂後のヤギ乳も頂いて、またピエブさんの後に続いていた。
「食事代など引いてもお釣りが山ほど出ますよ。うちの団には技師がいませんので今はどうにもなりませんが………ところでヒコ様、報酬は奴隷で、と言いますが理由を伺っても?」
「………ほら俺、非力なんで…」
「なるほど、用心棒ということですな」
この世界での自分の強さの序列がかなり低いことは自覚している。だからこそ力の強い用心棒が欲しいのだ。
俺は貰ったばかりの麻っぽいネルシャツの糸を取りながら、地面に居座っている檻を眺める。
「飛んでいないんですね」
「アレは主人を見極めさせるためにしていることです。今は相手があなたしかいませんから」
セ界での奴隷の立場は俺の知っている奴隷とはだいぶ違った。
なんでも、主人の選択権と価格の指定権があり、いつでも契約を切れるらしい。
「それ以外の命令には絶対服従ですが。ですから主従は主従です」
なるほど、理にかなっている。
奴隷に契約を切られないためには金を弾むかうまくコミュニケーションをとるかしないといけないのだ。
俺はそんな無茶なことを言うつもりは無いので、ほどほどの価格で対等の関係を築いていきたい。そういう関係の主従もいるだろう。
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