第11話 天上にお取り寄せ - 2

くく、と笑ったその表情の中には、神秘的ながら少年らしさのようなあざとさもあった。


「食事に冒涜、とは…キミの故郷は随分…」

「ええ、日本人は食べること大好きですので。ちょっと神様の状況は許せませんね。どうにかならないんですか?」

「どうにかか。この場所は必要最低限のものしか置けないことになっているからなぁ」


やはりこれは彼への罰、のようなものなのだろうか。それだとしたら本当に惨い。

神様だから食事など趣味みたいなものだとしても、俺だったら自決を辞さないレベルである。


俺はそこで、先ほど彼が言っていた言葉を思い出した。皿が出てくる直前に、彼が途中で切った言葉。


「降りることは出来ない、でも、やりようはあるんですね?」

「そうだね、方法はある、が、それを試す機会が無かった。……詳しく聞きたいかい?」


悪巧みをするような顔でのたまった彼を見る。


およそ神のするような顔とは思えないその表情に首肯しつつ、俺は、この人と自分がきっと相性がいいとだけ、思った。


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