第2話 混ざり合う ①
眩しさで意識が戻ったら、全く知らない天井だった。
起きようとしても身体の痛みと怠さで中々思うように動かない。
独特な消毒液の匂いがするから、ここは病院ということなのか。…民家の部屋のようにも見えるが、田舎の診療所のようなものだろうか。
目を左右に動かして、何とか情報を得ようとしたが、如何せん目線が低いために、窓からは空と木しか見えない。
誰かに聞きたい所だか、人の気配も無さそうだ。
さっき見た窓から、外を眺めることしかできなくて、雲の流れる様や風で木の葉が揺れる様子を眺めていた。
チリン。
どこからか澄んだ音が聞こえる。
ドアベル…か。
バタンとドアの閉まる音と共に、ギシギシと軋む床の音がする。
音がだんだん近くなるにつれて、誰かのボソボソと話す声が聞こえてきた。
「…そうなんだ。東二画の肉屋の爺さんが、肉の塊を台に乗せた時に、下に落ちていた切れ端で素っ転んじまったらしい。」
「まあ!あのお爺さん、一年に一度はあるわね。この時期肉屋は忙しいから、仕方がないのかしら。」
「ああ。打ち身で済んだが…ま、季節の風物詩みたいなもんだ。」
ハハハと笑い合う声と共に、この部屋のドアを開けた音がした。
後ろを見ていた白髪混じりの男性が、部屋の中へと振り返ったことで、僕と目が合う。
「ソルト!!」
誰?というのが最初の感想で、その次は、この男性の顔をどこかで見たことがあるという既視感だった。
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