第一章 過去と種
第1話 最後の記憶
『ボク』が覚えている最後の記憶は、男の人の叫ぶ声、激しい揺れと、誰かに強く抱き締められた暖かさと苦しさ、そして大好きな匂いだった。
揺さぶられる様な上下の激しい揺れのあと、身体中の痛みと寒さが襲ってきて、『僕』は、洗濯機の中にある洗濯物ってこんな感じかなぁという、妙に冷静な感想が頭の中を過った。
…洗濯機って何だっけ?
目の前は暗いけど、前からも後ろからも何か暖かいものに抱き締められている。
ああ、手足が寒いな、眠くないはずなのに目を開けてられないよ…。
何度も瞼をぎゅっと瞑って閉じないように耐えていたけど、もう限界だと目を閉じてしまう。
その時、微かに、
「…や、くそく…だ…。」
と、聞こえたような気がしたけど、考える前に意識が沈んでしまったから、誰が言ったのかはわからなかった。
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