第3話 放課後

あの日のことは決して口に出してはいけない

夢だと信じたかった…

あの恐ろしかった出来事を…


朝のホームルームで担任は「ちとせは”行方不明”になった」と伝えていたが

本当は…もうこの世に存在していないことを私は知っている。

だって、ちとせを殺したのは、

紛れもない…私の友達だから。


あの日の放課後、私たちはいつものように他愛無い話で盛り上がっていた


ねぇ愛美~。今度の期末試験っていつだっけ?


え、知らなーい。ゆりな分かる?


確か、来週の水曜日からだよ。


うげー、赤点覚悟だわ…。


とか言いながら、楓っていつもギリギリ大丈夫だよね(笑)

でさ、テスト終わったら、うちで女子会しない?


ちとせの家に行くの初めてじゃない?

賛成に一票~。


楓の後に続いて愛美、ゆりなも賛同


ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。


楓がトイレに行くと校内放送が流れた


―もうすぐ完全下校の時間です。

校内に残っている生徒は速やかに下校しましょう。―


放送流れたってことは、先生来るんじゃない!?


なら、隠れよーよ(笑)

楓だけ置いて帰るのも嫌だし

ちとせの一言で私たちはそれぞれの場所で隠れた


私は教卓の中、ちとせは廊下から一番遠い席の影、愛美は掃除用具入れの中へ…


階段を一定のリズムで登る足音を私たちは息をひそめながら

徐々にこちらへ迫ってくるのを感じていた


この時、私は妙な違和感を感じていた。

何とも言い難い違和感を。


ガラガラ…


誰かいるかー?よし、誰もいないな。


担任はざっと教室を見渡し、別の教室へと向かった


危なかったね~(笑)


バレたら「ちさとが言いました」って言おー(笑)


大丈夫だって(笑)

てかさ、楓遅くない?大丈夫かな?


迎えに行こ!


そうして私たちは楓を探しに行くことにした…

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