第17話 濁す思考と電話の相手
「おいおい昨日、そんなことがあったのかよ…」
俺は昨日の黄泉菜との出来事を一部始終竜に話した。
理由は一つ、竜に相談に乗ってもらいたかったんだ。
「なんか最近黄泉菜ちゃんと仲いいじゃん。もしかしてそういう感じ?」
「そ、そんなんじゃないし……」
だんだんと声が小さくなっていく俺に竜はニヤニヤしている
こういうところは鋭くなくていいんだよ…
「そんで?話聞く限り自分もあまりゲームのことを知らないからなんでも知っていそうな俺にオススメのゲームを教えてもらいたくて相談に来た…そういう事?」
「そう!そういう事。」
昨日、黄泉菜から『また面白そうなゲームあったら私に教えてくれる?もしあれば今度一緒にやりたいね!』と言われてしまったので、現在面白そうなゲーム探しの旅をしている。
俺の気に入ってるゲームを教えても良かったのだが、FPSゲームをいきなり進めるのは気が引けてしまった。
そこで、現代っ子である竜に聞けばなんでも面白いゲームが出てくると思って、今こうして聞いている状態だ。
「竜って結構ゲームとか好きでしょ?意外と流行に乗ってる感じするし、いろいろなゲームをしてるのかなぁって思って…。」
「お前、俺をなんだと思ってるんだ。」
竜は呆れた声で俺に呟く。
「いやぁ…ウルファーウェイゲームを教えてもらったのと竜だし、俺にも教えてくれないかなって思ってたんだけど…」
もしかして墓穴を掘ってしまったか…?竜の機嫌が良くない気がする。
「お前、俺のことよくわかってるじゃねぇか!」
前言撤回、どうやら竜は怒ってないみたいだ。
俺はあの呆れた目を見た時勝手に機嫌が悪いのかなと判断してしまったが、どうやらあれはネタだったそうだ。
(俺にネタは通じないんだって、、本当に間に受けちゃうから中学時代は人それでよく揶揄われるんだよ…)
ネタが通じない俺はそれで中学時代苦しんだ経験がある。これも直さないといけないな。
「先週だったかな、リリースされたオンラインゲームがあってよ。壮太にぴったりだと思うぜ!」
期待に応えてくれる竜に俺を食いついて話を聞く。
「それこそ、めちゃくちゃ面白いゲームだし俺も今やっててみんなに広め中だからグループで近いうちにやるかもしれねぇぞ?」
あのグループ…おそらくウルファーウェイをやった竜のイツメンのことだ。
「そう?それならまた誘ってくれると嬉しいな。」
前回のウルファーウェイでイツメンと仲良くなった俺はゲームでグループに呼ばれることの楽しさに気づいてしまった。
「おう!でも今週は部活でウルファーウェイをやるし、まだそのゲームを入れたとしても始めたばかりで弱っちぃままじゃ何も楽しめないからするとしたら来週かな。」
竜は考えながら唇を触って話す。
多分竜の癖だ。
「来週でもいつでも誘ってくれるだけでありがたいよ。」
昔はこんなことがなかった。
だからこそこうやってゲームを誘ってくれたりしてくれることは俺にとって嬉しいことに他ならなかった。
「おう!みんなにリークしておくから、壮太もある程度強くなっとけよ!」
竜は俺の方を指を差してそう話すのだった。
「そんで、そのゲームなんだけど———」
「楽しそうだね。なーに話してんの。」
対面で座りながら話しているところに一人の男が割り込んでくる。
三巳伸也だ。
竜のイツメンで、前回の通話で俺と仲良くしてくれた子だ。
高身長のイケメンでちょっとくせっ毛の長い髪をしているのが特徴的だ。
伸也は俺を見るなり何かを思い出すように話出す。
「あ!そういえば壮太くん前回のウルファーウェイ楽しかったよ!まさかあんな風に騙してくるなんて思ってなかったよ。」
伸也は前回の通話で話した時も俺に優しく対応してくれる
「伸也くんだってだいぶ上手だったよ!まぁ全部竜にバレてたけどね。」
「そうだよ!竜はウルフの時は弱っちぃくせに俺がウルフになるとすぐに見破るんだよなぁ。」
前回の出来事だ。
竜はウルフになると明らかに行動がぎこちなくなるのですぐにわかってしまうのだが、伸也がウルフになった時にすぐに竜が見破っていた。
簡単に言えば竜は伸也キラーだ。
「だってそれはお前が隠すの下手くそすぎるからだろ。」
前回、二、三試合目に連続で伸也がウルフになった場面があったが、竜はそれを簡単に見破ってすぐにゲームが終わることがあった。
「まぁ次回やる時は対策してるからな。楽しみにしとけよ壮太!」
そう言って伸也は俺のの胸を軽く叩いた。
竜に叩かれながらもこういうスキンシップが久しぶりの俺にはなんだか嬉しく感じる
「で?さっきなんの話ししてたんだ?」
「あー、そうだ!ゲームの話なんだけどさ…伸也に聞こう。お前新しいゲームでなんか面白いやつって言ったら何が浮かぶ?」
伸也の質問に答える事なく竜が質問を投げる
「んー、そうだな…」
伸也は沢山あるアプリケーションをスライドしながらゲームを探す
「お!あったぜ、これだろ!」
そう言って伸也は俺たちにスマホの画面を見せる
伸也のスマホの画面には、
『サバイブ・ハント』というゲームが表示されていた。
「そうだよな!やっぱり『サバイブ・ハント』だよな!伸也は分かってるなぁ!」
どうやら竜が思っていたものと一致したらしい。
だが俺はというと、、
「あ、あー…サバイブ・ハントね。ふーん、」
全く知らない。
だが白熱してる二人を見ている限りここで知らないとも言いにくいのでとりあえず知ったかぶりをする。
「お前知らないだろ。」
「……知らないです。」
こうやって結構竜にバレるのがオチだ。
「壮太知らないのか!?まだリリースされて間もないのにダウンロード数は半端じゃないめっちゃ人気なゲームなんだぜ!」
伸也が熱血してスマホ画面を見せつけながら俺に情熱をぶつけてくる。
この情熱っぷりから伸也は意外とゲーム好きなんだと想像がついた。
「そのゲーム、そんなに面白いの?」
「いや、俺もまだそんなにやり込んでない。」
「なんだそれ」
そう言って俺らクスクス笑う
笑いもとりながら優しく接してくれる伸也…なんだか自然に仲良くなりすぎてとても居心地が良かった。
「だから今度みんなでやらないか?って話をしてたんだよ。」
「おお!それいいな!もしみんなでやるなら今のうちにレベルを上げて一番強くなっていないとな!」
よっぽどなゲーム好きなのか、伸也からはやる気がオーラとして溢れ出ているのが何となく感じられた。
「じゃあ決定だな!とりあえずメンバーみんなにこのゲームを宣伝するか!」
最初の話からだいぶ趣旨がずれてしまったが、まぁ聞きたいことは聞けたし問題ないか。
(あとはこのゲームがどんなやつかを一回やってみて、面白そうだったら黄泉菜にも紹介してみるか。)
俺は心の中でそう思った。
まだ竜のメンバーとの会話は慣れない部分こそあるものの、こうやって少しずつ話せるようになればそれでいいだろう。
ただ心配なのは羊だ。
今は遠い存在かもしれないが、いつか仲良くなれればそれでいいかな…なんて思っている。
とりあえず今は竜のイツメンと少しずつ仲良くなれているこの環境で、誘ってくれたことに精一杯楽しむことが一番だ。
そう思った。
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