第1話
ブロロロロ
汚れが目立つ、年季の入ったバスから降り、オレは周囲を見渡した
目の前にはだだっ広い田んぼが続いていて、その間に1本の道がある。
「うひゃーThe・田舎って感じだな〜」
期待と不安に胸を弾ませ、祖父母が待つ家へと歩き始めた。
20分ほど歩いただろうか、道が十字路になっている
「えーと、ここの十字路を右だな」
背負ったリュックから地図を取りだし、道筋を確認する。
よく見れば、右の道を進んだ先に建物がある、おそらくアレがオレが通う予定の学校だろう。
歩き始めようとすると、前から声を掛けられた
「こんにちは〜どうかしましたか?」
少し茶色が混じった髪を肩口で切り揃えた、人懐っこそうな可愛い女の子だ、年はオレと同じぐらいだろうか
オレは慌てて返事をする
「あ、いや、今日こっちに越してきた者です。少し道を確認してまして。」
「あ、そうだったんですね〜。良ければ集落まで案内しますよ?」
「えっ、いや、大丈夫、ですよ」
少女の笑顔につい緊張して片言になってしまう
「そんなこと言わずに一緒に行きましょうよ〜私、あなたと喋りたいんです。ここら辺、私と同じ年代の子供少ないので」
少女は少し頬を膨らませて言った
拗ねた顔がコレまた可愛い、自分と喋りたいと言われだけなのにドキッとしてしまう。だって、男の子だもん
「あ、あり、がとう。それじゃ、道案内をお願いするよ。えっと、オレの名前は波風蓮斗って言うんだ、これから宜しく頼むよ」
「え、波風?」
少女は少し驚いた表情でオレを見つめる
「もしかして、集落の丘の上に住んでる波風さんの親戚さんですか?」
丘の上に住んでる波風...オレの祖父母で間違いないだろう
「うん。多分、オレの爺ちゃんと婆ちゃんのことだよね?」
「あっ、そっか〜だから何となく顔付きが似てるというかなんというか...
あっ、そういえば自己紹介まだだったよね」
少女は元気な笑顔でオレに自己紹介をし始めた
「私の名前は藤咲珠葉、16歳。皆からはたまちゃんって呼ばれてるよ、コレからよろしくね、蓮斗くん」
最後にオレの手を握ってウインクしてくれた
これがこれから長い付き合いになる女の子との出会いだとは、当時のオレは全く知らなかったのだ。
成仏屋 @Kasisa
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