【ロリババア】をテーマにした小説
「……あー、みこちんちゃん、かな?」
「あっ、はい、みこちんでいいですよ~」
待ち合わせ場所は都会の駅前、ちょっと離れて人通りが落ち着くところ。
一人は若々しく短いスカートを履いており、もう一人は小綺麗でシャレたスーツに身を包んでいる。
「コハダです、どうも」
「よろしくおねがいしま~す」
「じゃあ、行こうか」
「ん。今日はどこに連れてってくれるの?」
「パスタでいいかな? 美味しい専門店あるんだ」
「やった、パスタ好きなんだ~私」
スカートの方はパンと両手を合わせて嬉しいのポーズ。ニコニコとした笑顔を絶やすことはない。
一方、スーツの方は口角をゆっくりを上げて笑う。
「それはよかった」
「コハダさんは普段何されてるんですか~?」
「んっとねぇ、あんま大きな声で言えないけど、お金を数える仕事かなぁ」
「え~、それって儲かるやつです?」
「ははは、まぁそれなりに、ね?」
「すご~い」
その台詞でスカートの方はにっと表情を変えて、媚びるように背を丸めて上目遣いを作った。
「じゃあ高いやつ頼んじゃっても平気ですね」
「もちろん、好きなのを好きなだけ頼んでいいよ」
ランチタイムのパスタ店、しかし半地下になっているそこに日差しはあまり入らないため、まるでディナーのような雰囲気を纏う店内。スーツの方が予約の旨を伝えれば、用意されていた席に二人は着いた。
「う~ん、おススメはあります?」
「ここはトマトソースがウリでね。イタリア産のものを使ってるんだよ。他にはボロネーゼも好きかな」
「じゃあそれと、キノコのクリームパスタが気になりますね。半分づつってできますか?」
「もちろん、言えばやってくれるよ。なら私はボロネーゼにしようかな」
店員を呼んで注文。暫く歓談しながら待てば四角い皿と丸い皿が並んでくる。
合間合間の会話――といってもほとんどはスーツの方が喋っており、スカートの方は聞き手としてリアクションと質問を投げるのが主であるが――を続けながら麺の巻き取られたフォークが口に運ばれる。
40分ほど経てばそれぞれの皿は空になり、会話も切りどころがやってきた。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま。ああ、ちょっと待ってね……はい、これ。今日のお礼」
スーツの内ポケットから封筒が取り出される。それを受け取ったスカートは中身を確認してから笑みに切り替えた。
「わ~、ありがとうございます~」
「今日は付き合ってもらってありがとう。機会があったらまた美味しいもの食べようね」
「は~い、そのときはよろしくおねがいします」
会計は既に済ませてある旨を言えば、身支度をして店を出る。そのまま駅まで向かえば、改札の前で二人は別れた。
◆
「ふう。いやぁ、やっぱり若い娘と話すのはいい刺激になるなぁ」
スーツを脱いで部屋着に着替える。脱いだものは隣に立つ巫女に預けてしまえばよい。
「神子原様、またSNSで声かけた女の子に会って来たんですか」
「パパ活、すっかりハマってしまったわ。誰とでも簡単に知り合える、良い時代だになったものよ……いや、私の場合ママ活になるのかな?」
上機嫌で着替え終え、居間に行こうとする。
「……ババ活の間違いでは」
「あ゛?」
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