【一人称によるキャラクターの自己紹介】
ジリジリと電球が音を立てる。埃の匂いが立ち込める中で、私は目を覚ました。
手は後ろで縛られて動かない。足は椅子の脚にくくられている。
はて、見覚えのない倉庫であるが、一体何事であろうか。
目の前に置かれたカメラが一台、繋がれた先のノートパソコンの画面に黒字で白い文字が表示された。
「ああ、ごきげんよう。今は何月何日の何時かな? 答える義理はない、か。ふむ、状況から察するに、貴殿は私に訊きたいことがあるんだろう。さっさとそれを述べたまえよ。答えられるかどうかは――――内容次第だがね?
自己紹介? 妙なことを……まぁいいだろう。私は霧ヶ島峰子、しがない産業スパイさ。ちょうど今はパシフィック・エレクトロニクスに潜入して……嘘。なんだ、そんな怒らなくていいだろう。ちょっとした冗談を楽しむ余裕くらいもったらどうだい?
オーケーオーケー、では改めて。私は
こういうことははじめてか……? 流石にこんな、古典的な拉致監禁にかかったのは初めてだよ。私としたことが、とんでもなく油断していたらしい。ああ、困った困った。
魔法を学んだ切っ掛け……? そうだな。小さい頃、先代の
その後は在野の魔術師として、学業の傍ら個人的に研究をしていたくらいだったが、ある日どういうわけか人事局の目に留まったようでね。監察局で働かないかと勧誘された。暫くは通常の捜査部門にいたが、特例係の設立に伴い晴れて警視庁に席をいただけた。いやぁ、魔法界の影響力ってのはすごいもんだね。公務員試験を受けてなければ警察学校にも通ってないのに、捜査一課にデカいツラしてられる。まぁあいつらにとっては勝手にいい顔してるいけ好かない連中なのかもしれないが。
さて、大まかに語ればこんなものだと思うのだが――――は? 恋人?
いないよ。昔、気まぐれに告白を受けたことはあったが、大して縁が続かなかったさ。……ああ。奴の名前は
どうして、だって? 単純な話だろう。私の肩書はさっき言った通りだ、当然、登録済みの魔法少女の名簿には目を通してある。その上、君の魔法は拘束だ。かの救世主が如く、人を磔にする魔法……天上院がこれを抱えてると聞いた時には大笑いしたもんだが。
……さて、君は私をどうしたいんだい?」
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