7回目 家族の肖像

私の家には肖像画が沢山ある。それらの題材は決まっていて、代々の私たち家族の集合画だ。

おじいちゃんのおじいちゃんのそのまたおじいちゃんが遺言で残したらしい。

「代々家族の肖像を残してくれ」

不思議なことにその人は絵を描く人でも、絵が好きな人でもなかったそうだ。

それでもその人はとてもやさしく、尊敬を集めたひとだった。なにせ現代の私にもそれが伝わっているほどだ。

滅多に頼みごとをしないその人の頼み事だから、と。そのおじいちゃんでも多分びっくりするぐらいの肖像画が作られている。

そして今日は私の代の家族の肖像画を描いてもらう日だ。


「でもいいのですか?書くのが私のような学生で」

今日の画家さんはまだ若い女性の人だ。

「ええ。おじいさんのおじいさんのそのまたおじいさんの言いつけなんです。出来るだけ若い画家さんに機会を与えてほしいんだそうで」

「まあ。そういうことなら頑張って書かせてもらいます」


現代の私たちも、少し楽しみだ。どんな風に描いてもらえるだろう。

「そうだ、あなたのお名前、なんでしたっけ?」

「はい。わたしは――――」

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