021 圧縮言語
「圧縮言語って知ってる?」
「圧縮言語? えっと……なんか、プログラミングで使うやつのこと? あれは文法圧縮だっけか」
「え? それは知らん……ので、それとは別だと思う。まあなんていうのかな、文脈や場面によって、原義以上の意味を単語に複数付与されているものとして成立した文章や単語、というか……」
「いやごめん、ピンとこない」
「うーんと、『月が綺麗ですね』みたいなのというか」
「あー……はいはい『お前のかーちゃんデベソ』みたいなやつ?」
「いやそれは圧縮言語とは言えないかな……それくらいだと普通に日常会話の範疇っていうか、文字で示された意味から容易に類推できる事柄までの内容だと、圧縮言語とは言えないかな……いやまあ、ちゃんと学説的? な感じで圧縮言語の定義が決まっているワケではないけども」
「あー、『夜道に気を付けろよ』は圧縮じゃない?」
「うーん、多分圧縮じゃないね」
「『ん』の一言だけで醤油を取るよう要求するのは圧縮?」
「あーそれは圧縮だね」
「『
「そりゃ只の方言だ。ある意味圧縮言語だけどな」
「『ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん』は?」
「あ、それも圧縮だね」
「『ゆとぅくるが えすのぶゆ るるいえき れとかみいいお れすたん』は?」
「あーそういうのは全部圧縮」
「なるほど圧縮完全に理解した」
「その言い回しは理解できないときの圧縮言語っぽい」
以上の文章は日本語をベースとした圧縮工程を経たコンテキストです。上記の文章は圧縮行程により、原文から読み取るべき意味の99%以上を喪失しています。既読者半数致死量となる喪失割合は49%で、21%以下では既読者の全員が死亡しました。
未圧縮状態の原文にあたるには、新コペンハーゲン宇宙干渉保護条項に基づき、該当の条項の認める条件を満たす場合において、対象の人格の平行同一意思が半数以上閲覧を希望した場合にのみ許可されます。閲覧希望者の人格が量子的独立状態であるとき、如何なる場合に於いても該当文書の閲覧は許可されません。
原文閲覧を希望する場合は、アクティベーションキーをご用意の上、平行意思認証シークエンスを選択してください。入力フォームは新コペンハーゲン宇宙干渉保護条項が満たされている場合のみ解放され、そうでない場合は入力欄が黒塗りの状態となっております。認証シークエンスへと進めない方は、条件を再度確認の上、アクティベーションキーを発行した該当の団体・機関へご連絡ください。
認証 【■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■】
文字数:1052(本文のみ)
時間:1h
2020/12/30 お題
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