005 仮想脱出遊戯
【指定されたログオンセッションは存在しません】
【そのセッションは既に終了している可能性があります】
【2045年12月14日20時40分以降の量子接続は復元されませんでした】
「……ん?」
「どしたー?」
「え、なんか……落ちてるっぽい……」
「え? マジ?」
「いやなんか接続切れたって……えーこんなん初めてなんだけど」
「他ので生きてるのはある?」
「いやないよ……ここ量子接続しかしてないし……」
「……あれ、じゃあ、もしかして、ここから出られない……?」
「……………………………………」
「おい……おい! 黙るな!」
「……黙られるのと、嘘を言われるのとどっちがいい?」
「なによりも雄弁な回答をありがとう……」
「いや、えっと、多分死にはしないから大丈夫。こっちからなんとかして活きてる世界線を経由してアクセスすれば多分復旧できる、多分……」
「多分がいっぱいあってこわいよー……え、そこの扉から出て行けないの?」
「いや、あれはモジュール的なのじゃなくてガワしか出来てないやつだから……開けたって無が広がってますよ……」
「こーれだから仮想空間はクソ、リアルが一番でございますわのよ」
「乙女が汚い言葉使うんじゃないんですのよ」
「……えー、で、ぶっちゃけどうすればいいの?」
「とりあえず緊急時に組み込んで動かすバッチ用プラグインがローカルで保存されている筈…………どっかにない?」
「……ん、え、これなんか、コマンド的なのをアレしてデータ的なのがシュゥンって出てくる感じじゃなくて、この部屋の中にあるのを手動で探さなきゃいけないの?」
「ふんわり理解だけどまあそういうこと……」
「ええー? まあそんな広くないからいいけどさーあー」
【OPEN:Chest004】
【OPEN:Chest003】
【OPEN:Chest002】
【OPEN:Chest001】
「躊躇いなく箪笥を下の段から開いていくの、家捜しに手慣れすぎてて引くわー」
「しょ、しょうがないでしょ! 緊急事態なんだから!」
【OPEN:safe】
【ACTIVATION KEY:**************】
「あ、これかな? 5……9……6……3……」
「呟くなよ! バレるだろ!」
「ああごめん……」
【COMPLETE ACTIVATION】
「あったよ、バッチが!」
「でかした!」
「早速起動してくね」
「あー出られる目処が立ってよかった。こんな味気ない仮想空間の部屋に閉じ込められちゃたまったもんじゃないっすよ」
【plug-in:Emergency call SETUP file】
【WARNING】
【このアプリケーションは対象のモジュールに不可逆的な更新を実行します】
「え、なんかコワ……」
【plug-in001:ACTIVATION BAR】
【plug-in002:ENTRY HALL】
「え?!? ……え!?」
「なになになになになになにこれ!?」
「股間……え? え!? なんか生えてきた!?!!?!!? 気持ち悪ッ!」
「え……まさか……そんなまさか……」
「どしたの? え、これどうすんの!? ねえ!?」
「……設計者のばかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!! 馬鹿な機能付けとくなよぉーーーーーーーーもぉーーーーーーー!!!!!!」
「え!? なにこれ!? どうすんの!? どうしたら出られるの!?」
【接続完了】
文字数:1353(本文のみ)
時間:1h
2020/12/14 お題
任意のBGMをテーマにした小説を1時間で完成させる
使用BGM Mittsies - Epitomize (Sinner's VIP)
https://www.youtube.com/watch?v=fAR1Wbw9ZmE
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