「この世で最も美しいもの」についての思い出
今書いている小説のエピソードに「この世で最も美しいもの」というタイトルを付けたのですが、書くにあたって関連した思い出があるので書きます。
ちなみに小説はそのエピソードだけ読むと完全に意味不明の上、激しくネタバレしますので内容は割愛します。すみません。
高校生の時電車で通学していたのですが、帰りの夕方の電車の中にとても美しい容姿の女性が居ました。
多分二十代後半位でしょうか。
背はそんなに高くないのですが姿勢がとても良く、黒髪のベリーショートで、すらっと身体にフィットした感じの紺色のワンピースを着ていて、その人の元々の目鼻立ちの美しさと凛とした感じの雰囲気を活かすような、その人自身に非常に適切なメイクをしていました。
そこまでなら、美人ではありますが正直こんなに長年に渡り印象に残るほどではないと思います。
でも私がその人に激しく心を掴まれたのは、その人の右頬にものすごく大きな紫色の痣があったからでした。
もし私が顔にそんな痣があったら全てを諦めていたと思う。絶対に化粧を頑張ったりもしないし、外に出るのも嫌になるかもしれないし、おしゃれも、何もかも諦めていたと思います。学校では絶対に何か言われるだろうし。最悪の場合そのせいで死ぬことも考えられる気がしました。
その人の美しさは、その人が乗り越えてきた人生そのものだったのだと思います。私は一人、まあまあ混んでいる夕方の中央線で泣きました。もちろん、その女の人にはばれないように、ちょっと離れてから。普通のやばい奴だったと思います。
私はその女の人の佇まいを、生まれてから今まで見たものの中で一番美しいと思っています。あの時からもう何年も経つのですが、未だにそれより美しいと思うものを見たことがありません。
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