第十八話 高校三年順子、恭子

 一口にクスリ、と言ってもさまざまなものがある。


 沢尻エリカが主に使っていたのは、人工的に作られた合成ドラッグやデザイナーズドラッグの一種類であるMAMD。カラフルな錠剤タイプが多い。見るものすべてに感激するようになったり、皮膚感覚が鋭敏になる。だから、セックスドラッグとしても使われる。それで、エクスタシーなんていう名前でも呼ばれる。依存性は低めだ。


 合成ドラッグの仲間には有名なLSDやエンジェルダストなどもあるが、依存性が高く、中毒症状・禁断症状はひどい。沢尻は手を出していない。

 沢尻は、おぼれずに楽しめる程度の中毒症状を抑制的に維持していたんだろう。順子も同様だ。二人共賢い。

 

 元グラビアアイドルでストリッパー、ポルノ女優などで知られる小向美奈子は三回の逮捕歴がある。彼女の場合は、覚醒剤ひと筋だった。最初、その当時の彼氏が「付き合って一ヶ月目くらいに注射器でシャブを打っている場面を目撃した。おまえもやってみるか?と誘われた。一回やってからは、男がやたらとシャブをやらせたがったそうだ。覚醒剤を使ったシャブセックスも仕方なく受け入れるようになったという。キメセクだ。覚醒剤を使ったキメセクは、全身が性感帯になったように感じる。ちょっと触られただけでイキそうになるし、イッても、またすぐにイケる。二十四時間ぶっ通しでセックスしてもへいちゃらになる。

 

 沢尻の場合、映画「ヘルタースケルター」の撮影現場でもキメていた。絡みのシーンは前貼りなし、撮影前から裸で歩き回っていた。映画に出てくるアブノーマルなSEXや薬物依存による精神錯乱などのシーンは、すべて彼女が実際に薬物使用の経験から導き出したもので、撮影現場でもMAMDを使っていた可能性が高い。沢尻の場合は、元から露出趣味があったのだろう。キメて、裸に近い姿をパーティー参加者などに見せて興奮する。視姦される喜びで自分の体が十分熱くなったところで、恋人と部屋にしけ込んでキメセクする。


 順子の場合、セックスには淡白であるので、キメセクにはあまり興味を持たなかった。逆に、自分で自分を管理できない、人であれ物であれ自分をコントロールされるのに忌避感があった。彼女の場合、クスリは商売物であり、金儲けの道具だった。極めて抑制的であり、恭子、敏子、恵美子の三人組や堕とした女の子に対しても、日常生活に差し障りがない程度の量と時間間隔を管理していた。細く長くでバレないように儲けるのだ。だから、順子が管理している限り、この売春組織めいたデートクラブは安泰なのだ。

 

 順子は知っている。ある限界を超えると中毒性がまし、当人の精神状態には目まぐるしい変化があらわれる。そしてそれは傍から見てもわかるのだ。やたらテンションが高くなる。瞳孔が開いたままになる。興奮状態で勉強していても徹夜などヘッチャラになる代わりに疲労が蓄積し、目の周りにはクマが出て、食欲がなくなる。痩せる代わりに顔色が青白くなる。やたら汗をかくようになる。

 

 順子は、恭子の話を聞きながら、女の子に与えるグミや栄養剤の個数やヤクの濃度を調整して、恭子を通じて彼女らを管理していた。恭子が有能なセールスウーマンだったとしたら、順子は極めて抑制的で有能な医師兼薬剤師だったと言える。だから、このグループの維持には、ヤクの供給だけでなく、順子の管理能力と恭子のマーケッティングの双方が必要だった。

 

 美久が節子と紗栄子、佳子を大切に見守っている愛情とは少し異なるが、順子は順子なりに、恭子と敏子、恵美子を大事にしていた。この商売だって未来永劫続くわけじゃない。もうちょっと儲けたら、足抜けしして、美容室やネイルサロンでもやって、この三人と一緒にビジネスするか、などとも思っていたのだ。


 さて、その三人組の恵美子。


 東京都の都立高校の場合、教育委員会の重点支援校に指定された場合、土曜講習などがある。美久、順子、美久と順子の三人組六名のA高等学校も重点支援校に指定されているので土曜講習はある。


 ただ、それは大学進学を目指す特進クラスに選ばれた生徒だけであって、生徒のほぼ八割には関係ないのだ。順子の三人組の一人、恵美子はもちろん特進クラスには選ばれていないし、本人も高卒認定もらって働くという考えだ。恵美子は土曜日は暇な曜日である。


 ある日、土曜日だった。学校の授業のない恵美子は家でゴロゴロして漫画を読んでいた。順子からの呼び出しもなく、自由な時間を満喫していた。最近は男が切れていて、デートの予定もない。


 恵美子は三人組の中ではオシャレな方だ。敏子は170センチと背が高くいつも猫背でおどおどしている。スェットの上下が多い。あまり肌を露出しないファッションだ。恭子は背が152センチと低く、ちんまりと可愛い顔をしている。ファッションは、コスプレっぽい露出の多いファッションを好む。メイクは濃いめで髪型は前髪をかき上げたロングヘア。どう見てもロリ系だ。


 それに比べると恵美子は身長も160センチと平均的で可愛い顔をしている。ガーリー系のファッションが好きだ。美久と彼女の三人組のギャル系ヤンキーそのものという格好に比べるとオシャレな方だ。


 その日は、恵美子は赤のヨットパーカーに紺と白のツートンのスタジャン、ショートパンツに黒のレギンスという格好だった。ベッドにうつ伏せになって、脚をバタバタさせながらスマホでマンガを読んでいた。


 恵美子のスマホがブルッと震えて鳴った。だっれだろう?と画面を見ると『YASUO』と表示されている。あれぇ、珍しい、康夫さんだ。順子ネエ絡みの呼び出しかな?と思って通話ボタンを押した。


「もしもし、恵美子でぇ~す」

「おぅ、恵美子、康夫だ」

「康夫さん、なんっすか?順子ネエの呼び出し?」

「違う、違う。いいもんが手に入ったからな、意見を聞きたくてよ。恭子と敏子も呼んであるんだ。順子のマンションにおまえ来られるか?」

「順子ネエは?」

「あいつは用事でいねえんだよ」康夫は今日明日と順子が千住にいないのを知っていた。

「うん、わかった。15分くらいで行くよ」と恵美子は答えた。いいもんってなんだろうな?新しいグミかな?

「おぅ、俺はマンションにいるからな」と康夫が言う。


 もう外出支度のできていた恵美子は、軽く化粧を直すと、スニーカーをはいて、順子のマンションに行った。順子のマンションはセキュリティー設備がしっかりしている。エントランスで各部屋へのビデオフォンで連絡して、エントランスのドアを解錠する仕組みだ。基本的に無人管理である。金持ちに囲われている風俗の人間の入居者も多く、普通の家族連れの入居者は少ない。プライバシー重視なのか、エントランスのCCTVは切ってある。恭子は女の子の連れ込みのために合鍵を持たされているが、恵美子と敏子は持っていない。

 

 ビデオフォンで201号室を呼び出す。高い階にしなかったのは、逃げ出す時にすぐ降りられるためだろう。オジサマの友人などが利用する時にそれが便利なことがある。康夫が出て解錠した。恵美子は二階に上がっていく。


 201号室は角部屋だ。かなり広い。玄関を入ってすぐの右手が八畳間。リビングとダイニングからL型に12畳、10畳、6畳の三部屋。玄関すぐの八畳の部屋はいつも施錠してある。物置だと言われている。恵美子がオジサマの友人に売りをする時は、たいがい、クイーンサイズのベッドのおいてある12畳を使う。恵美子はかなりセックスが好きだ。男好きのするポチャッとした体をしている。

 

 康夫が玄関のドアがあけた。「よぉ、来たな」というと玄関横のいつも施錠のしてある八畳の部屋に入った。あれ?この部屋、一度も入ったことがないや、と恵美子は思った。その部屋にもキングサイズのベッドがあり、壁際にデスクトップパソコンと24インチモニターののったデスクがあった。


「恵美子、ベッドに座っていてくれ」と言って、康夫はキッチンに行く。冷蔵庫のドアをあけて、ドアのポケットに入れておいたキャップ付きの注射器四本を手に取る。グミや栄養ドリンクよりもスピードの濃度も量も多い。栄養ドリンク2パックもあったが、それはそのままにしておく。

 

 康夫は恵美子の待っている部屋に入って、扉を閉めた。「康夫さん、私、この部屋初めて。ふ~ん、物置かと思っていたら普通の部屋なのね?ねえ、恭子と敏子は?」「あとで来るよ。まだ早かった」

 

「ねえねえ、康夫さん、いいもんってなあに?」「おぅ、これだ」と康夫は手に持った注射器を恵美子のに見せる。「え?ポンプ?」と恵美子は注射器の隠語を言う。「そうそう、これは濃いんだぞ。おまえ、いつも順子にはグミぐらいしかもらえないだろ?」

「うん、それも二個か三個だよ。あんまり食うな、って言われてさ。ちょっと物足りない」

「そうだろ?だからな、このポンプに入っているのはどう効くか?と思ってよぉ。試してみないか?」

「ええ?順子ネエに怒られない?」

「順子は試させればいいじゃん、っていってたぜ」と康夫はウソをつく。

「なんだ、順子ネエも知ってるんだ。やりたい、やりたい。でも、中毒、大丈夫?ポンプ、痛くない?」

「こんなもん、一本くらい全然問題ないぜ。ちょっとチクッとするだけだ。針のあとだって、一本くらいじゃわかんねえよ」

「うん、わかった」

「じゃあ、恵美子、スタジャン脱いで、パーカーの袖をまくりな。左手がいいな」

「うん」と言って恵美子は康夫の言うとおりにする。パソコンデスクから康夫はクリップ付きのゴムの止血帯と茶色のガラス瓶をだした。ガラス瓶にはアルコール消毒綿が入っている。


「これで止血するからな」と慣れた感じで恵美子の左腕に止血帯をとめる。人差し指と中指でパンパンと静脈を浮き上がらせる。アルコール消毒綿でさっと消毒すると、ポンプの針を恵美子の静脈にあてがう。冷蔵庫で冷えた覚醒剤が恵美子の血管に入っていく。康夫も自分で自分に注射した。分量は恵美子に与えた半分にして。


 グミや栄養剤パックに仕込まれた覚醒剤は、この注射器一本で何個も何パックも注入している。普段、グミ二個か三個を与えられるだけの恵美子にとって、ポンプ一本分の覚醒剤は強烈だ。おまけに胃壁や腸壁を通じての摂取ではなく、血管に直接なのだから、効果が出るのはあっという間だ。

 

 最初、恵美子はとまどった。グミなんかとぜんぜん違う。冷えた覚醒剤が音を立てて全身を駆け巡るようだ。脳みそにも浸透するみたいだった。中枢神経が興奮して、高揚感で不安がなくなる。自分に自信が出てくる。頭のもやもやや心配が一気に晴れてすっきり爽快な感じになった。


 ベッドに腰掛けている恵美子の横に康夫も座った。「どうだい?恵美子?どんな気分だ?」と聞く。「もう、バッチリよ。何でも見えちゃう!すごい!」

「そうだろう?な?いいもんだったろ?」と康夫は恵美子の肩を横抱きにした。康夫に触れられて恵美子はビクッとした。触られた肩から電流が走るようだ。康夫は恵美子の茶髪をかきあげて耳をだす。フッと息を吹きかける。「あ!あ!」と恵美子はそれだけで感じてしまう。あそこがジュワッとしみてしまう。


 恵美子は、いつものグミを食べたのと全然違う!と思った。Tシャツに乳首がこすれる。固くなったからだ。脇腹をゾワゾワと快感が立ち上ってくる。体にピッタリとフィットしたレギンズとパンツで圧迫されたあそこが勝手に開いてくる。私のクリが固くなってくる。開いたあそこから濃い液がジュワジュワと溢れ出して、パンツを濡らしだす。欲しい、康夫が欲しい。


「どうだ、恵美子?感じるかい?」「や、康夫さん、これ、たまんない!我慢できない!」「そうか、じゃあ、これは?」と耳たぶを口に含んで吸う。「あ!やん!やん!」と男好きの声を恵美子は出す。「恵美子、おまえ、可愛いなあ。なあ、俺の女になっちゃうか?」「や、康夫さん、順子ネエが・・・」「あんなやつ、おまえは気にすんのか?黙っていればいいじゃんか?」


 覚醒剤で自信がついてきた恵美子は、順子ネエなんて怖くないわよね、そうよね、と思う。それよりもあそこがますますウズウズする。康夫にどうにかして欲しい。康夫がキスしてくる。恵美子は康夫の唇にむしゃぶりつく。自分から舌を絡ませんて、康夫の舌を吸い、康夫のつばを飲み込む。キスが凄く美味しく感じられて、ジュボジュボ嫌らしい音を立てながらずっと康夫の口を吸い続ける。

 

 息苦しくなって口を離して恵美子が言う。「そうよ、康夫さん、順子ネエには内緒にしておけばいいのよ!」康夫は「そうだ、そうだ、恵美子、これからもっと気持ちのいいことを二人でしような」と言って、恵美子のパーカーを脱がす。Tシャツを脱がした。ショートパンツも脱がす。恵美子は、ブラとレギンスだけになった。康夫も服を脱ぐ。アンダーパンツだけになった。


 パンツの上からも恵美子にはその膨らみがわかった。私の知っている彼氏たちよりも大きくて固そう。そうよね、順子ネエさんの男だもんね。立派なはずだわ、と恵美子は思った。自分からそれを握りしめた。これが欲しい。


 康夫は恵美子を愛撫していった。しばらくして、ブラとレギンスも脱がしてしまう。下着は染み出した恵美子の体液でビショビショになっている。恵美子は康夫がさわっていないのにピクピクと全身を痙攣させ、腰を突き上げている。


 康夫は恵美子の脚を開いた。デスクの引き出しに入れておいた粉を取り出し、その粉を恵美子のあそこにすりつける。覚醒剤の粉は、恵美子の性器の粘膜からも吸収される。ビクビクと体を痙攣させ、腰を突き上げ続ける恵美子に「さあ、仕上げだ」と康夫は脚をグッと開かせて、彼のものを突き挿れた。恵美子は、血という血が毛穴から蒸発しそうだった。全身の毛が逆立った。


 二時間ほど康夫は恵美子を堪能した。覚醒剤は時間の感覚を麻痺させる。恵美子にとってはあっという間だった。体液をベッドに溢れさせ、恵美子は力なく横たわっているが、快楽の感覚が体にずっと残っていて、あとを引いている。康夫のものが体内に残っている気がする。まだ腰を突き上げている。


 康夫は、ベッドから離れ、パソコンのスイッチを入れた。マンションの各室に隠してあるCCTVのソフトを立ち上げる。そうすると、玄関とリビング・ダイニング、他の三部屋の様子がモニターに六分割の画面で現れた。「そろそろかな?俺のお目当てが来るのは?」


 そう、今日の康夫のお目当ては恵美子じゃない。レズの恭子だ。康夫は順子に内緒で、もう彼の女になっている敏子に言って、恭子をマンションにおびき寄せるように指示したのだ。しばらく経って玄関のドアが開くのがモニターに映った。


 玄関のドアを開けた恭子からマンションに入ってくる。「敏子からお誘いなんて珍しいじゃん?」と恭子が言う。「生理が近くて、体がうずいて仕方がないんだよ、恭子」「それで、わたしにいじめてほしいって?」「・・・は、恥ずかしいこと、わたしにして・・・」「ああ、わたしの敏子ちゃん」恭子は背伸びをして、背の高い敏子の顔を手ではさんでディープキスを玄関でする。敏子は前かがみになって恭子のキスを受けている。


 恭子は、敏子の手を引いて、キッチンへ行く。冷蔵庫を開けると、康夫が残した栄養剤パックがあるので、それを手にとった。「あるじゃん!栄養剤!ラッキー!」ストローを刺してチューチュー飲む。敏子にも渡す。チューチューと覚醒剤入りの液体を飲みながら、恭子は敏子の手を引いて12畳の部屋に入った。

 

 モニターを見て、まるで、逆だな、と康夫は思った。152センチが170センチを操っているぜ。面白い見世もんだ。今日の栄養剤はいつもの二倍量をぶちこんである。そのうち、恵美子と同じに二人に効いてくるだろう。

 

 12畳の部屋では、恭子が敏子の着衣を剥ぎ取っていく。全裸にしてしまう。自分も脱いで、ブラとパンツだけになる。ベッドのサイドテーブルの引き出しから、オジサマたちがいつも使うオモチャを取り出す。ピンクのローター、電動マッサージ器、それにエゲツない両端がUの字に曲がったツインディルドー。女性二人で使うおもちゃ。


 恭子は敏子の体で遊びだす。康夫は一時間ほど恭子が敏子の体を堪能して、両端のディルドーが二人に突き刺さり、恭子が敏子の上におおいかぶさって、ビクビクと体を痙攣するまでほっておいた。いつの間にか恵美子が這ってきて康夫の股間に貪りついている。「おお、恵美子、もうこれがないとダメになったか?恭子と敏子も出来上がった頃合いだ。さあ、恵美子、乱入するか」

 

 康夫は残りの二本のポンプを手に取り、止血バンドとアルコール消毒綿を持った。「しぃー、恵美子、黙ってろよ」と恵美子の唇に指を当てて、恵美子を立たせる。二人で素っ裸のまま12畳の部屋に行く。恵美子はフラフラと康夫についてきた。敏子にはドアは開け放しにしておけ、と言ってある。部屋に入る。恭子と敏子は気づかない。

 

 敏子の上に突っ伏している恭子のケツを触る。恭子が顔を上げた。康夫を見た。目を見開いた。素っ裸でベッドの横に突っ立っている恵美子を見た。


「や、康夫さん?なんで、こ、ここにいるの?え、恵美子まで。裸で!」と言う。「驚いたかい?俺と恵美子はあっちの部屋でよろしくやってたんだよ。こっちの様子は隠しカメラでずっと見てたよ。すごかったな、女同士は。あのな、今日は恵美子にいいもんを持ってきてやって」と注射器を恭子に見せる。「俺らで試していたんだ。もう、恵美子、ビクビクだぜ。な、恵美子?」


 恵美子はまだ体の中に康夫が残っているような感覚がする。あそこから二人の体液が太ももを伝ってたれている。恵美子はうなずくだけだ。話せないのだ。「それでな、恭子と敏子にもこのポンプを試してもらおうと思ってな」


「や、康夫さん、順子ネエはどこ?」「どこに順子がいるんだ?ここには俺たち四人しかいないよ。恭子、おまえが今はこの二人の頭だよ。さ、手を出しな」と言って、敏子の体の上に突っ伏したままの恭子の腕を強引にとると、手早く止血帯をあてがい、消毒して注射してしまった。敏子にも同じく注射する。あっという間だ。


 恵美子と同じように、覚醒剤は止血帯を外した途端、全身を駆け巡った。恵美子はポンプ一本と粉だが、恭子と敏子は二倍量の栄養ドリンクにポンプ一本だ。「どうだ?恭子?効いてきたかい?」と康夫は恭子の耳元に囁いた。


 恭子の体を覚醒剤が駆け巡り、血液が沸騰する。胸と胸が触れている敏子の乳房を感じてしまう。敏子も同じだ。乳首が膨れ上がるような気がした。康夫に囁かれた耳から全身にゾクッとした快感が走る。恭子と敏子は体をビクビク震わせる。

 

「恭子、どうだ?」と康夫が恭子の耳たぶを親指と人差指で優しくひねる。いつもの恭子だったら、男に触れられただけで怖気をふるうだろう。しかし、覚醒剤が効いている。全身が性感帯になっている。


「あ、ああ」と耳たぶを触られただけでエクスタシーに溺れる。「恭子、男にさわられてるんだぜ?男に?それで感じるのかよ。じゃあ、ケツはどうだ?」と康夫は恭子の臀部をサワサワと触る。恭子の体がビクビクと痙攣する。


「これはどうかな?」と恭子の尻を両手で広げた。恭子と敏子に突き刺さっているディルドーをゆっくり引き抜く。二人の腰が跳ね上がりぶつかる。敏子とのプレイで充血したきれいな恭子の恥部があらわになる。「男とやってないから、きれいなもんだな、恭子」と康夫は下から上に恭子の恥部の割れ目を人差し指ですりあげた。康夫の指に恭子の白濁した体液がねばりつく。恭子の腰が敏子の上でガクガクはずむ。


 康夫はラリった女の扱いに慣れているのだ。もちろんだ。ヤクの元卸しなのだから。順子にヤクを与えているのは康夫だ。順子はそれほどヤクを使わないので、康夫には順子は操れない。しかし、順子にヤクの調達能力はない。

 

 康夫は思った。順子も美久と似たようなもんだ。同じ穴のムジナだ。順子は悪さをするにしても寸止めだ。そこまで踏み込まない。俺にも操れない。それと比べると、このチビのレズ娘は悪そのものだ。順子だって、恭子がいなければなにもできない。もちろん、俺がいなければヤクは手に入らない。


 男に触られているのに、恭子は臀部から快感が押し寄せてくるのがわかる。もう、立ってられないとばかりに恵美子もベッドに突っ伏した。もう誰でもいいと恵美子は恭子にのしかかられている敏子の胸をさわりだし、敏子を舐めだす。

 

 康夫は恭子を抱えて、敏子の横に仰向けに投げ出した。恭子の横のベッドに腰掛ける。すでに康夫のあれは反り返っている。ポンプ半分を使ったから、まだまだ効いているのだ。「どうだ?恭子?ポンプ、いいだろう?おまえ、レズもいいが、たまには俺もいいんじゃないか?俺の女になれば、順子みたいにグミを二、三個なんていわずに、もっと強いのをやるよ」


「俺がヤクを卸すんだから、おまえに直接与えれば、おまえの女の子をたぶらかすコネと合わせて、おまえがぜんぶグループをいただきってわけさ。順子はいらなくなる。俺は順子のオジサマには話をつけられるしな。恭子が男とやってくれれば、オジサマのコネもおまえのもんだよ、なあ、恭子」と康夫は恭子の腹を優しく揉んだ。

 

 恭子は、男に触られているのに気持ち悪いよりも先に快感が襲ってくる。頭が妙に冴えて働く。順子ネエ抜きで?わたしが?全部?仕切る?「おいおい、恭子、おまえの考えていることはわかるぜ」と康夫は恭子に囁く。


 恭子のうしろでは、クスリが極限まで効いて酩酊している敏子と恵美子が抱き合い、恭子と敏子が使っていたディルドーをお互いに刺しあって絡み合っている。

 

「わたし、男としたことない。嫌いだもん」と恭子が言う。「知っているよ。おまえの処女奪ったのは年上の女だろ?おもちゃでやられたんだろ?」と康夫。「え?なんで知ってるの?」と康夫を見上げて恭子は言う。「敏子が教えてくれた。敏子は俺の女だからな。ずっと前から。さあ、触ってみろよ。おもちゃよりも生きてるこういうのがいいかもしれないぜ?」と康夫は恭子に自分のものを握らせた。


 あれ?イヤじゃないかも?この硬いのでもいいかも?、と恭子は思った。「さあ、恭子、お試ししてみよう」と康夫は恭子を優しく抱いた。康夫に触れられるだけで快感が全身を襲う。体中を触られて愛撫されるだけで恭子はなんども逝った。恭子の全身を康夫が愛撫している。男とするのを嫌悪していたのに私が愛撫されて感じている。


 やがて、恭子は康夫に貫かれた。さすがに康夫はうまい。入り口で焦らし、急に突き入れず、浅く、深く、緩急をつけてゆっくりと恭子の奥まで貫いた。恭子はあそこから全身に快感が走り、腰を突き出してのけぞってしまう。康夫は恭子の体に自分を覚えさせようと彼女の腰を抱えて激しく突き出す。


 康夫は恭子に覆いかぶさる。康夫は腰を動かしながら、恭子の口を吸う。恭子は今まで男に与えたことのない口を吸われて答えてしまう。舌を激しく絡める。康夫のつばを飲み込む。康夫にも自分のつばを与える。


 意識が遠のく。その中で、恭子は思った。順子ネエ抜きで?わたしが?全部?仕切る?恭子はクスリの作用で気が大きくなっている。わたしのことをチビとバカにする順子を抜きにできる!わたしが頭だ!


 恭子は肉体的にも精神的にも極度の満足を覚えた。わたしのあそこから、オモチャじゃない、康夫のあれが、生身の快楽が、襲ってきている。止めどがない。順子の男も私のものだ!


 康夫はほくそえんだ。これで、順子が仕切っていた部分も俺のものだ。恭子はクスリを仕込めない。だが、女の子の調達は恭子だ。そして、恭子は今から俺の女。敏子も恵美子も俺のもの。生意気な順子に顎で使われることもない。順子に入っていた金も俺のもの。


 恭子にもたっぷりやろう。女の子を調達するのはこいつだからな。俺は気前が良いんだ。これで、恭子も敏子も恵美子もポンプの味が忘れられなくなったろう。都合がいいことに、恭子が敏子にレズを仕込んでいる。恵美子ももうレズもいけている。三人一度よりも、俺がしている間は他の二人はレズっていればいい。いいチームワークだぜ、と康夫は思う。


 この恭子をオジサマ達に差し出せば、そりゃあ、ヤツラよろこぶだろう。中学生と言っても通るからな。ガタイが小さい分、順子よりもあそこははるかに締まりがいい。こいつがこれから俺のナンバーワンだな。順子はいらん。


 ベッドシーツはもうビチャビチャだった。マットレスまで染みている。三人の溢れたものと康夫のそれが混じっている。こりゃあ、タオル敷いておいた方がいいな、と康夫は冷静に考えた。ポンプ半分だけなので、三人組よりも冷静だ。まだ、溺れていない。

 

 クスリが効いている間に一度三人に掃除と洗濯をさせておくか。切れたら何にもしたくなくなるはずだからな。こいつらのメスのフェロモンの匂いで部屋中ムンムンだ。匂いでこっちまでおかしくなりそうだ。消臭剤も吹いておかないと。順子にバレないように、終わる前にキレイにしておこう、と思いつく。

 

 土曜日だけでは済まず、翌日の日曜日も四人は続けていた。康夫は冷凍庫に仕舞ったあったクスリを切れる前にもう一回三人に注射した。これくらいならまだ大丈夫だろう?俺もこの三人に溺れそうだよ、と思って自分にも注射した。底知れない力がみなぎるようだった。順番に三人を平らげていった。何度も何度も。

 

        ―★―★―★―★―★―★―★―★―★―★―


 康夫は完全にカン違いしていた。康夫のヤクの供給と順子の管理能力、恭子のセールスの三位一体で、このオジサマたちのデートクラブは維持されているのだ。順子を外してうまくいくわけがない。おまけに、順子が中毒寸前で止めていた三人組に、中毒になってしまう量のヤクを与え、ヤクとセックスでコントロールしようとしたのだ。グループの崩壊は目に見えている。

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