(三)-3
「それでは、絵はどうするんだい。彼の手に戻らないよ」
羽田さんが言った。私も「そうですよ」と続けた。
しかし、「そうですね、それ、いいかもしれませんね!」と南平さんが言った。
「私が盗むんですよ。このギャラリーから。実際には盗むというか、盗まれることにする。そうすれば、八尾も諦めるんじゃないでしょうか。どうせ二束三文で買い取った物です。損失は大したことないはずですし、そもそも詐欺同然で買いたたいたもの。警察に届け出ることもしないんじゃないでしょうか」
(続く)
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