(三)-2

 しかし、南平さんが連絡しても、八尾が電話に出ない、または話せても会わない可能性が十分にあった。そうなるとお手上げだ。

 次善の策をどうするか。四人は悩んだ。その上で、オーナーがふと「いっそのこと、誰かに盗まれてしまえばいいのに」と投げやりに呟いた。

「いやいや、勘弁して下さい」と南平さんはすぐに言ったが、後を追うように浜島さんが「それで行きましょう」と続けた。

 私たち三人は思わず浜島さんの顔を見た。浜島さんは満面の笑みだった。


(続く)

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