(三)-4

「いや、でもギャラリーとしては盗難届を出さなきゃいけません。そうしたら警察が来ますよ。しかもそもそもの持ち主であるあなあたが真っ先に疑われてしまいます」

 私がそう言うと、南平さんは「大丈夫ですよ、黙っていれば」とこぶしを握って見せた。

「いや、そういうリスクは避けた方がいいかもしれない」

 羽田さんが言った。そして羽田さんは私を見た。

 私はその視線に気づいた。気づけば全員私の方を見ていた。

「もしかすると、あなたが適任かもしれませんよ、西原さん」


(続く)

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