第11話 楓に御馳走を!おいしそう?♪①

 オリエンテーションは無事に終わった。

 コンクールの結果は、僕たちのクラスは校長賞だった。

 この賞は果たして、一位なのか?

 と言うのは、他の賞の名前は、普通の審査員奨励賞に始まり、楽しく歌いま賞、一番で賞、全国に行けるで賞、やっちまったで賞、あんたが大賞など・・・誰が考えたの?まぁ、伝統らしいから笑


 でも、赤1(有栖川薫子)は、校長から賞をもらう時、うれしそうだったな。

 まるで、自分のお手柄みたいな感じで・・・いや、ホントは、彼女のそんな純な笑顔にちょっと、グッときてしまった。いきなり指揮や指導をさせられて、いろいろと彼女も頑張ってたからね。今にして思うと、オレ、めっちゃ、迷惑かけてたしな。今度、謝っとこう!


 そして、日曜日がやって来た。

 楓はお昼前に来いと言っていたにも関わらず、朝からウチに来ていた。

 楓「おはようございます、そして、お邪魔します!」

 母「楓ちゃん、おはよう、どうぞ上がって!日曜日なのに、朝早いのね」

 楓「女子高生に日曜日はありませんから」

 ナニ、わけわからんことを言う?


 母「相変わらずね、楓ちゃんは、オホホホホ」

 楓「お母さん、私、良いお嫁さんになりますね」

 母「そうね、アナタの旦那さんが羨ましいわ、オホホホホ」

 楓「そんなこと、恥ずかしいわ、お母さん、オホホホホ」

 僕の前で不毛な会話が繰り広げられる。

 楓もホメられて、謙遜するというより、さりげなく肯定してるしw


 母「朝ごはん、食べた?」

 楓「まだです、お母さん」

 お前、食べる気満々で来たのかい!


 母「じゃあ、食べてね、大したモノではないけど」

 楓「とんでもないです、お母さん!お母さんの作ったモノは、私、大好きです」

(母:この子がウチの嫁になると、私がずっとご飯を作ることになりそう)

 母「あらあら、オホホホホ」

 楓「オホホホホ」

(楓:この会話で勇気のお母さんの心をガッチリつかんだわ!)


 早くも、嫁姑の練習をしているのかな?でも、楓が嫁だと浩二も大変だろうなw

 思わず、ニヤッとしてしまった。

 でも、楓、オマエ、なんでお母さんを連発するんだ?

 なんか、オレの嫁って感じで、ちょっと、こそばゆいぞ!



 ~~楓視点


 ユー、うれしそう!

 私、このお母さんとなら、きっと上手くやってみせるよ。

 ああ、今日は、ステキな一日になりそう!


 それにしても、浩二からの〇イン『御馳走を食べるときには、あらかじめゴムを用意するように』って、意味不明なんですけど~~。


 コイツ、大丈夫?

 自称天才とか?

 ハァ?って感じ。

 御馳走食べるときに輪ゴムを持って行けって言われても?

 つまり、食べ物の残り物をパックに入れるときに必要ってことかな?


 なんか、浩二って、主婦?いや、主夫?

 アイツのセコイ性格が丸出しのアドバイスだわ。

 デートで残り物を持ち帰るJKって、どうなのよ?

 アリなの?

 でも、こんなことをイチイチ言われる浩二の嫁って、マジ、無いわ~~。

 地味ちゃん、かわいそう。

 でも、なぜか、笑えるけど・・えへへへ。


 ※筆者:歌コンは、結局、みんなに賞を与えるというモノでした。順位をつけるために校歌を歌わせてるんじゃないってさ。なんだかね。そして、楓も勇気のように赤メガネ2をイジルような、そんな一面が見られた。やっぱ、楓と勇気って、似ているね。



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