第17話 ウィテナイエモート(賢人会議)
「いつになったらグランモナルク殿が出世するのだねミスター・ナボよ」
巨大な円卓テーブルを囲んで、密談が執り行われている。
「もうすでにアーモンドの花は咲きました。彼が望めばいつでもといったところです」
わたしは経過報告をする。
「ボウスハウトくん」
議長のエイゼンシュテインは、メシヤくんのビッグブラザーに問い掛けた。
「本来なら、ハイパーループの建造は数十年かかる大事業でした。これが大幅に短縮できたのはメシヤの力です。ですが、プロミネンスウイルスの発生で、ニューアトランティス計画は停滞しております」
「まったくザイオンも性根が悪いわね」
頬杖を付いてオブライエンが嘆息する。プロミネンスウイルスの感染源は、ザイオンのバイオ研究所からと判明している。
「旧世紀の難問がいっさいがっさい噴出して、ごった煮状態ですな。これらをまとめあげるというのだから正気の沙汰じゃ無い」
アーロン首相もどうやらメシヤくんがお気に入りのようだ。
「ねえ、ボウスハイト。もうそろそろメシヤくんへのアクセス制限を解除してもいいんじゃないかしら?」
ジェニーとボウスハイトは同じキャンパスで学んだ仲である。
「いや、それならすでに制限レベルの段階を徐々に下げている。ただし、メディア規制は据え置きのままだ。ネット上でメシヤの存在を知っても、テレビで流れることはまだ無い」
「テキスト上にメシヤくんの集団免疫が及ぶシステムの構築でしたな、オブライエン博士」
私は議論を早く切り上げようとした。エイゼンシュテインは両手を組んでいる。
「言葉は神である、か」
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