第18話 八広
気がつくと、目の前にエミがいて、航治の両肩を強く掴んでいた。
「あんた、本気でそんな人間になりたいの?」
真っ直ぐに航治の瞳を見、エミが言った。
「嫌だ」しばしエミを見つめ返した後、航治は声を喉の奥から絞り出した。
「僕は、僕はそんな奴じゃない。もう絶対に逃げないって、そう心に決めたんだから」
再び二人は見つめ合った。短い沈黙の後、エミは目を逸らすと、どっと息を吐き、呆れたような口調で言った。
「じゃあさ、あんた、こんなところで白眼剥いて、うわごと口走ってないで、とっととしゃきっとしなさいよ」
「う、うん。そうだね。そうするよ」
航治はゆっくりと周囲を見廻した。どうやら自分は、さっき出てきたばかりのアパートの階段に、斜めに横たわっていたらしい。おそらくエミが運んでくれたのだろう。
エミが訊いてきた。
「何?今のが、前にあんたの言ってたフラッシュバック?」
「そうだと思う。多分」
「厄介な癖ね」
「まったく。僕もそう思うよ」
航治は四肢に手を当て、状態を検分してみた。幸いなことに、特に痛む部分などはないようだった。航治はエミに言った。
「ありがとう。ここまで運んでくれて」
「別に。あたしは運んでないよ」
「じゃあ、どうして僕はここにいるのさ」
「あんたが勝手に歩いてきて、ここに倒れ込んだ」
嘘つけ、と言おうとして、航治は言葉を飲み込んだ。そんなことを言っても、エミは決して自分が運んだことを認めようとはしないだろう。
「なにニヤついてんのよ」
「いや、別に」
エミは不服そうに舌打ちをすると、航治の隣に座りこんだ。
「ところで、さっきあんたをぶっ倒れさせたあれってさ、もしかして、マンホール?」
「そう。下水が雨水で一杯になって、内圧が上がり、下から蓋を押し上げたんだ。内水氾濫ではよくあることさ」
「よくあること? だって?」
エミが怒気をまるだしにした。
「あんな、地雷みたいな物凄いのが、『よくあること』なの? あんたの頭、どこまでおめでたいのよ。運が悪けりゃあんた、頭打つか穴に呑み込まれるかして、死んでたかもしれないのよ」
「わかってるよ。それは。でもとりあえず、僕は運がよかった。それで今、こうやって生きている」
「あのさ」
「何?」
「あんた、筋金入りの大馬鹿よ」
そう言って、エミが肩を落とした。
「とりあえず戻ろ。折口のところへ。あたしらが見つけられなくても、あいつが見つけているかもしれないし」
再び探り棒を使って前をつつきながら、二人は来た道を戻った。
所どころ、マンホールの蓋が外れている場所を見つけては、そのたびに慎重にそこを迂回して進んだ。
「言ったけどさ」
さっきとは逆に航治の手に引かれ、後ろを歩いているエミが言った。
「あんたさ、本っ当に馬鹿だよね。こんな大冒険したら、自分のほうまで死ぬかもしれないって、計画立てた段階でわかってたんでしょ?」
「そうだね」
「やっぱり」エミがまた、心底うんざりしたような溜息を吐いた。
「一つ訊きたいんだけれど」
「何?」
「一回も会ったことのない人間のために、どうしてこんな危険に身をさらそうとするの?」
航治はわずかに立ち止まると、また歩きはじめ、言った。
「それはもう話しただろう。『彼』は自殺しようとしてた僕に、生きる理由をくれたんだって」
「それにしたって、あんまりに無謀なことなんじゃないの? あんたはもう、生きる自信も、母親と言い合う勇気も得たじゃない。そいつに恩を感じるのもわからなくはないけれど、いくらなんでも、これはやり過ぎなんじゃないの?」
「そうだね。実を言うとさっき、眼を覚ますまで、僕もそう思ってた」
「やっぱり」
「でもね。やっぱり、思ったんだ。自分は彼を失いたくないって。友達がいないことには慣れることができても、失うことには、いつまで経っても慣れられない。君にはただのネット上の関係にしか見えなくても、僕にとって『彼』は、ずっと言葉を交わしつづけてきた、ものすごく大切な友達なんだ。僕は、そんな彼をなくしたくないんだ」
「そんなの、あんたのエゴじゃん。さっき読んだあのメールでは、あんたの大切な『彼』は、上手く楽に死ねれば、それに越したことはないって言っているように思えるよ?なら、放っておいてあげればいいじゃない」
「そうかもしれないね。でも、君だって本当は、僕の気持ちを理解できているんじゃないのかな」
「どういう意味よ」
「君は、もしかして自分の周りから人が去っていくのが怖いから、そうやっていつも独りでいる道を選んできたんじゃないの? 独りでいることよりも、人に置き去りにされることのほうが、辛いから」
瞬間、エミはちぎるようにして航治の手を振りほどいた。そして、振り返って見ている航治に向かって、噛みつくような眼差しを送った。
しばしの睨み合いの後、航治は目を伏せながら言った。
「ごめん。偉そうなことを言って」
「――いいよ」
しばしの間の後、エミが言った。
「あんたの言った、その通りだから」
ジープには折口が座って待っていた。航治たちの姿を認めると、悄然とした表情で声をかけてきた。
「よう。ちと遅かったな」
「色々事件があったのよ。マンホールの蓋が飛んだりとか」
「それは大変だったな。で、見つからなかったのか?」
「見りゃわかるでしょ。ここに戻ってきたんだから。そっちは?」
「見つからなかったよ」
「台風の上陸時間は?」
「あともう少しだ」
「台風が過ぎれば、決壊の心配はなくなるの?」
「なくならない」航治は首を振った。「通過した後も、水位が下がらない限り、危険は続くんだ。台風通過後の破堤なんて、いくらでも例がある」
三者三様の溜息が口から漏れた。
ああ、とうめくような声をあげながら、エミがジープのシートに腰掛けた。
「何?あたしたちって今、要するに八方ふさがりってわけ?」
そのとき、折口がうなだれていた頭をあげた。
「姉ちゃん。今、なんて言った?」
え、とエミは戸惑いつつ、「だから、八方ふさがりって」
「それだ」
折口が言った。
航治がジープの座席に座ると、先に運転席に座っていた折口が、せっつくように訊ねてきた。
「兄ちゃん、『彼』の耳は凄くいいのか?」
「ええ、それはまあ、前にも言ったとおり、絶対音感を持っていて」
「いや、そういう意味じゃないんだ」折口は首を振った。「音程についてのことを言っているんじゃない。俺が訊いているのは、普通の人間にでもいえる耳のよさ、つまり『音に対する敏感さ』のことだ」
「音に対する敏感さ?」
航治は繰り返した。折口は頷き、
「音量についてさ。小さい音でも聞き取ったり、感じたりすることが、普通の人よりも優れているのか、ということだよ」
航治は戸惑いつつ答えた。「それは、まあ優れていると思いますよ。じゃないと、窓を閉め切った状態で、外の虫の鳴き声を五線譜に書き取っていくなんていう芸当はできないんじゃないでしょうか?」
「なら、駅、この八広駅と、そこにかかる鉄橋から割と離れた場所にあり、なおかつ土手に近いところにあるアパートから、『彼』は電車の音を聴いていた可能性もあるわけだな?」
「はあ、まあ、可能性としては、それはあるでしょうね」
「でもさ、爺さん。そんなこと今から言い出してどうするの。ここから動かずに、探す範囲だけを広げるつもり?そもそもこの鉄橋近くに『彼』が住んでいるかどうかも、今はわからないんだよ?」
「『彼』は住んでいるよ。ここ八広のどこかにな」折口の言葉は、なぜか確信に満ちていた。
「兄ちゃん。ここ一帯をあらわす、八広っていう町名の由来を知っているか?」
「さあ、わかりませんが。すいませんけど、それと今の状況と、なんの関係があるんですか?」
航治は苛立ちつつ答えた。折口はそんな航治の様子をまるで無視し言った。
「八広っていうのはな、昭和四十年に、以前はバラバラだったこの付近の街区を合併して作られたところなんだ。そしてその合併のとき、元の町々の数が八つだったことから、この国ではめでたいとされる末広がり――八方広がりにちなんで、人々はここを『八広』と名付けた」
「だからぁ、それがなんだって言うのよ!」
エミが癇癪を起こした。折口はあいかわらず意に介さずに、
「兄ちゃん。そして姉ちゃんも思い出すんだ。『彼』のハンドルネームを」
「ハンドルネーム?『H_direction』のことですか?」
「そうだ。以前、ガレージで話し合ったときには、この頭の『H』の意味がわからず、この文字列の意味も不明だった。だが――」
「もしかしてわかったの?意味が?」エミが後部座席から大きく身を乗り出した。髪から飛んだしぶきが、航治の顔にばらばらとかかった。折口は頷きながら、
「そうだ。わかったんだ。ところで姉ちゃん、『direction』の意味はわかるか?」
「英語なら『方向』とか『方角』だけど――」
「そうだ。ちなみにフランス語でもその意味は同じだ。ところで、そして肝心の『H』、フランス語では『アッシュ』と呼ぶんだが、これがアルファベットで数えて、何番目にあたるか、数えてみな」
「ええっと、A、B、C、D、E、F、G、H――」そこでエミがあっと声をあげた。
「8! 八番目だ」
折口は口元で笑うと、「符合はそれだけじゃないぞ。『彼』が以前やっていたっていう音楽グループ『
今度は航治が叫んだ。
「『
「そうだ。そしてこの『H』が頭につく数字は、フランス語では1から100まで数えても、この『huit』、8ひとつしかないんだ」
「じゃあ、『H_direction』の意味は、『八つの方角』つまり『八方向』。八広のことね!」
「そうだ。だがもしかするとこれは、ただのこじつけかもしれない。だが、他に手掛りのない今は――」
折口を遮り、航治は言った。
「行きましょう。この辺りのもっと広い範囲を探してみましょう」
一度行った道をもう一度通っていくのがいい。そのほうが土地勘もできていて、危険に遭う確率も少なかろう、という折口の言葉にしたがい、再度折口が駅の北、航治とエミは南側をあたることになった。
各人荷物を持ち、ジープから降りて出発しようとしたときだった。三人の前に、人影があらわれた。
年の頃、三十くらいの女だった。合羽は着ていない。濡れそぼった普段着の胸に、娘らしき四、五歳ほどの女の子を抱き、背中には水分を吸って重くなり、垂れ下がったナップザックを背負って、航治たちの前に棒のように立ちつくしていた。街灯の白い灯りの下だというのに、女の顔は土色だった。彼女の疲労が極にまで達しているらしきことが、航治にも一目でわかった。
「あの」
と、女が声を発するのと同時に、腕の中の女児が、激しく泣き始めた。わんわんと甲高い声をあげ、泣きつづける娘を懸命にあやしつつ、自らも声をふりしぼり女は、航治たちに話しかけてきた。
「あの、すみません! 十歳くらいの男の子、見ませんでしたか?」
折口が首を振った。
「いや、見なかったが。あんた、もしかして自分の子とはぐれちまったのか?」
女はくしゃりと顔を歪めると、一気に泣き声になり、話しはじめた。
「わたし、わたし、一時間くらい前に、近所の人たちと一緒に家を出て、避難所に行こうとしたんです。けれどももう、あたりじゅう水がきていて、歩きにくくて、風に吹かれた拍子に転んでしまったんです。やっと立ちあがったと思ったら、それまで注意して一緒に歩いていたはずの息子が、いなくなってしまっていて。わたし、一生懸命、近所の人たちに訊いてみたんです。でも皆、自分のことで手一杯みたいで、全然とりあってもらえなくって」
女はいっそう涙声になり、
「夫も、会社から帰ってこないし、電話も全然通じなくって、わたしひとりで、どうしたらいいか」
そこまで話すと、女はついに我慢できなくなったのか、ぼろぼろと大粒の涙をこぼし、激しく嗚咽をはじめた。
「この娘も、あの、さっきからずっと怖い怖いっていって、泣きやまなくって、わたし、息子を探さなきゃならないのに」しゃくり上げながら話す女に、折口は強い語調で言った。
「あんた!しっかりしろ。落ち着け。そうしないとこの娘も泣きやまないぞ。ほら、息を深く吸って、吐いて」
だが女に折口の言葉が届いている様子はなかった。わたし、わたし、とまるで迷子の童女のように泣き続ける女に、折口は近寄ると、がっしと両腕をつかみ、再び強い声で言った。
「おい! しっかりしないか! あんた、母親なんだろう? 息子さんを見つけるために、落ちついて、俺の訊くことに答えてくれ。まず、あんたと息子さんがはぐれちまったのは、どこらへんなんだ?」
「それは、あの、駅の北近くの、ガソリンスタンドのある通りの辺りです」
「よし、ありがとうよ。答えてくれて」
折口は微笑を浮かべた。
「それでもう一つ質問だ。あんた、避難所のほうには、一度行ってみたのか?」
「それは、まだです」
女は首をふった。
折口は少しの間、これまで航治が見たことのないような険しい表情で女の顔を覗き込んでいた。が、やがて小さく溜息を吐くと、意を決したように航治たちのほうを向き、深々と頭を下げ、言った。
「すまない。兄ちゃんたち。俺はこの人を放って行くことができそうにない。一緒に息子さんを探して、見つけて避難させてから、『彼』のことを探しに行きたい。こんなぎりぎりのところで、あんたたちを裏切るようなことになっちまって、本当にすまないと思う。俺のことを嘘つきだって、罵ってもらってもかまわない。だから、行かせてくれないか」
「行ってあげてください」
航治が言った。
「あたしもそう思う」
エミも言った。
「行きなよ。折口」
すでにもう水は、膝下のあたりにまできていた。
航治とエミは、手を固く握り合いつつ、探り棒をつつき、以前よりも更に猛々しい雨風にゆさぶられながら、家々の塀にしがみつくようにして、前に歩いた道を、再び歩いていった。
やっとのことで往路の半分を過ぎた頃、停電が起こり、街は闇に包まれた。
二人はヘルメットのライトが描き出す、たよりない光の円だけを道しるべに、じりじりと道を進んだ。
灯りが失われたせいだろうか。街はさっきにも増して、破壊の気配に満ちているように航治には感じられた。倒れた垣根、ばらばらになった物置小屋、ただよう犬舎、ガラスの割れた無人のコンビニ、崩れ落ちた瓦屋根。
マンホールの蓋が外れる、あの嫌な音がそこかしこで聞こえ、そのたびに水柱があがった。
「ねえ」
「なんだい」
「一体、いつまでこんな嵐が続くの?」エミが訊ねた。その声は、ぬぐいようのない不安で満ちていた。
「多分、今、台風の目に近いところにまで接近してきているんだと思う。だからこんなに風雨が激しいんじゃないのかな」
「それで」そう言おうとしたエミの顔に、いきなり白い何かがぶつかった。エミは悲鳴をあげ、ヒステリックにそれをむしり取った。白いものは、レジ袋だった。エミは舌打ちをし、それを足下の水面に叩きつけた。
「大丈夫かい?」
「ああ、うん」
荒くなった息を整えつつ、エミはさっき言いかけた言葉を続けた。
「それで、台風の目がくると、どうなるの?」
「すべてが止む。雨も、風も、いったん止まる」
「目を抜けたら?」
「嵐が戻ってくる。でも、今よりは弱くなる、と思う」
「それでも、決壊の危険性は変わらないんだよね」
「そうだよ」航治は頷いた。
闇の中、条件に合う建物を探すのは、難しかった。
そして同時に、この南側で『彼』を見つけられなければ、本来折口が真っ先に探すはずだった、駅北側へも向かわなければならない、という思いが、航治を強く焦らせた。
焦るあまり、知らずしらずのうちに探し方が粗雑になっていた航治を我にかえらせたのは、エミだった。
「ちょっと航治! あそこにあるの、アパートじゃない?」
そう叫び、手を引いてひきとめた。航治は危うく行き過ぎてしまうところだった建物の前で、足を止める。それはまぎれもない、出入口共同の木造アパートだった。
どうしてこうやって、ここら辺には古びたアパートが多いのだろう、と航治は思う。再開発をしようという案は出てこないのだろうか。こんな地震にも水にも脆弱な、危険な場所なのに。
二人が、開け放された玄関扉からアパートの中に入って、数歩進んだときのことだった。
「ちょっと、耳をすまして!」
エミが叫んだ。
どうしたの――と言おうとして振り返った航治は、口を噤んだ。
もはや聞き飽きた風雨の唸りとは全く別の、ざわざわという、無数の魚たちが水辺でどよみ合うような音が、耳に飛び込んできた。
考えをめぐらせる間もなく、さっきくぐった玄関前に、真っ黒な水の壁が立ちあがってくるのが見えた。
「溢水だ!」
航治は叫び、エミの手を引いて、奥に見える階段へと駆けだした。
次の瞬間、二人の背中に、水の塊が激突した。航治は倒れ、水中に沈んだ。口の中に、泥の臭いをした水が思いきり流れ込んだ。
いけない、溺れる!
頭の中が吹き飛び、思考が空白に陥りそうになる。
が、かろうじて意識の端にしがみつき、航治は必死で水の中から立ちあがった。水はすでに胸近くにまできていた。
「エミ!」
航治は絶叫しながら、周囲を手でかき回すと、手に触れたもの、エミの身体を抱き寄せ、上に向けて渾身の力を込めて持ち上げた。エミの顔が、水面に浮び上がった。
「エミ! 大丈夫か! エミ!」
二人して建物の奥に向かって流されながら、航治はエミの身体を揺さぶった。
まもなく、げふ、という音とともに、エミは水を吐き出した。
むせかえるエミに、よかった、と声をかけようとしたとき、航治の背中は、建物の奥の壁に、したたか打ち付けられた。激痛に呻きをあげる航治に、エミが咳き込みながら言った。
「こ、航治、階段」
航治は眼を見開いた。今まさに目の前に、半ばまで水没した、アパート二階への階段が、ヘルメットのライトによって照らし出されていた。
「登る!」航治は叫び、水上に露出している階段に手をかけた。
水はちょうど二階の床の高さまで上り、止まった。
二人は二階の壁に背をあずけたまま、しばらくの間、荒い息を繰り返していた。
航治は階段の降り口を見つめつづけていた。今にもまた、水位が上がってきそうに思えて、怖くてたまらなかった。
そのときだった。背後から、聞き覚えのない男の声がした。
「誰? 君たちは」
はっとして航治は振り返った。
色の白い、痩せた、二十代半ばくらいの男がいた。
彼はけだるそうな、疲れたような、そしてこんな危機に面しているのに、どこか上の空のような表情を浮かべ、航治たちと同じように、壁に背をもたせて座っていた。
膝の上に置かれた男の指は、関節が晴れあがったように、不自然に節くれだっていた。
航治は声を震わせながら訊ねた。
「もしかして、『
「男はぼんやりとした表情に、はっとしたように驚きを灯すと、航治に言った。
「なぜ――どうしてここにいるんだい? 『
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