第3話 もう一人のジェシック
「サラナ、キスしてくれてありがとうね」
「いえっ、私もキスしたいなって思っていたので」
「やっぱり私とサラナは愛という絆で結ばれているのねっ!!」
「そうですね……」
「どうしたの? サラナ」
そう言われるとサラナは頭の中である事を考えているのです。
そうそれはジェシックと永遠の愛を誓ったけれど、裏切ろうかどうかを
悩んでいるのです。
そうするとサラナは不敵な笑みを浮かべながら
「あっははははっ、ジェシック様、貴女の事を裏切りますっ!!」
「裏切りってどういう事?」
「そのままの意味ですっ!!」
そうすると詠唱を始めるサラナの真下には魔法陣が描かれて
おりまして、そこから1つの
出てくるとそれを手にしたサラナがジェシックににじり寄ると
こう言うのです。
「ジェシック様、永遠の愛を誓いましたがごめんなさいっ!!」
そう言いながらサラナはジェシックに
振り下ろすとジェシックは斬られ致命傷を負い、この世から他界して
あの世へと行くのです。
「私はジェシック様を亡き者にしたよっ!! したんだよ!! あっははははっ」
今のサラナは正常ではないし、何処か可笑しい感じではあるのですが
それでもジェシックに手をかけたのは事実です。
しかし、サラナ自身は青い瞳を潤ませて涙が頬を伝って落ちると
何故か泣いているのです。
「ジェシック様……ごめんなさいっ……本当にごめんなさいっ……」
ジェシックの亡骸を見てサラナは泣いているのでした。
サラナは四大精霊を操れるのに何故ジェシックの事を蘇生しないのか?
蘇生すればなかった事には出来ませんがジェシックは戻って来るというのに……。
「さぁ、起きなさいよ、ジェシック様」
そう言いますとジェシックの身体がピクリと動いて
ゆっくりと起き上がり、立ち上がると息絶えたジェシックがサラナの目の前にいるのです。
「これで妾も表舞台に立てるというのか」
「はい、そうでございます」
「サラナではないか、久しいな」
「お久しぶりです、ジェシック様」
「そう呼ばれると嬉しいのじゃ」
そう、ジェシックの心の中には二つの魂がございまして
その中の1つの魂を息絶えさせてもう1つの魂を呼び出しただけなのです。
「ジェシック様、私と永遠の愛を誓い合っておりますので
私の事を存分に愛して可愛がって下さい」
「ふむ、そうするとしようかな」
そう言ってジェシックはサラナの身体を抱きしめるとサラナの耳元で
こう囁くのです。
「愛しているよ、サラナ」
「はい、私もジェシック様の事は愛しています」
そう言うとサラナもジェシックの背中に両腕を回して
抱きしめているのです。
「あぁっ、ジェシック様の温かい温もりが感じられます、幸せです」
「妾もサラナとこうする事が出来て幸せじゃ」
そして、二人はお互いの顔を見つめ合うと惹かれ合い、
自然と唇と唇が重なり合い、深いキスをしているのでした。
何度も何度も深いキスをしている二人は本当に幸せそうにしているのですので
至福のお時間を味わっているのでしょう。
深いキスが終わると二人は離れジェシックがこう言ってくるのです。
「そういえば、何故ショーツ姿なのじゃ?」
「それはですね、私がそうさせたのです」
「随分とエッチな事をするのじゃな、サラナは」
「エッチでごめんなさいっ、ジェシック様」
「いやっ、そういう所のサラナも大好きじゃ」
「は……はい……」
ジェシックとサラナは二人して笑っているのです。
花嫁は貴女で皇帝は私~二人は永遠の愛を誓う~ 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019
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